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シャオ、日本の文化を体験する!

 市子先生と生徒会を見送った後、部室には穏やかな空気が広がっていた。夏休みの思い出話が一段落したころ、真平がふと思い立ってシャオに問いかけた。

「日本で一番驚いたことって、何?」

 シャオは少し考えた後、にっこりと笑った。「コンビニですね~!」

 彼女は続ける。台湾にもコンビニはあるが、日本のコンビニの便利さは別格だった。おにぎりの種類の多さ、レジ横のホットスナック、スイーツコーナーの充実ぶり。24時間営業で、ちょっとした日用品もそろう。まるで小さなデパートのようだった。

 琴美は「おにぎりのバリエーションがすごい!」と感動し、勇馬は「ファミチキがあれば生きていける」と断言する。沙羅は期間限定のお菓子の豊富さに驚き、美優は手軽に買えるコンビニカフェのコーヒーを絶賛した。

「それと、電車が時間通りに来るのもすごいです!」

 シャオは目を輝かせる。台湾では電車の遅延は珍しくなく、十数分遅れるのは日常茶飯事。それに比べ、日本の電車は数分の遅れでもアナウンスが入り、運行スケジュールが厳格に守られていた。

「それが普通なんじゃ……?」と真平は首を傾げるが、台湾では「10分遅れならセーフ」と聞いて、一同は驚きを隠せなかった。

 さらにシャオは「エスカレーターの片側を空ける文化」についても不思議そうに語った。台湾では両側とも立って乗るのが一般的で、日本のように急ぐ人のために片側を空ける習慣はなかったらしい。

「どっちが正しいのかは難しいですね」と美優がしみじみとつぶやいた。

 最後にシャオは「日本は住みやすい」と笑顔を見せた。だが、一つだけ恋しくなるものがあるという。

「台湾の屋台飯が恋しいです~!」

 彼女は夜市の活気と、美味しい食べ歩きグルメの話を楽しそうに語る。胡椒餅、牡蠣オムレツ、甘くてもちもちの芋圓――話を聞くだけで、どれも魅力的だった。

 琴美が「台湾旅行はすごかったもんねぇ~シャオにも昭和と日本の観光地を知ってもらわなきゃ」

 琴美がニヤリと笑いながら言うと、シャオは「パォ~?」と小首をかしげる。

「え? つまり?」

「つまりだな……次はシャオが ‘日本の昭和文化’ を体験する番ってことだ!」

 真平が腕を組みながらまとめると、琴美は勢いよく頷いた。

「そうよ! 昭和レトロな街並みとか、温泉街とか、純喫茶巡りとか、まだまだ ‘シャオの知らない日本’ がたくさんあるんだから!」

「せっかくだし、テーマ決めて ‘昭和文化探訪ツアー’ をやるのはどう?」

「おっ、それいいじゃん!」沙羅が腕を組みながら乗り気になる。

「それなら、まずは ‘日帰りで行ける場所’ から選ぼう!」

 琴美がホワイトボードを引っ張り出し、マーカーを握る。

「昭和レトロな観光地、例えば……」

候補地リスト

1.川越 - 小江戸の街並みと菓子屋横丁

2.日光 – 世界遺産 日光東照宮

3.伊香保温泉 - 石段街&射的場で昭和気分

4.台場・レトロテーマパーク - 昭和の遊びが体験できる

5.都電荒川線沿線 - 東京で味わう昭和レトロな風景

「おぉ~どれも昭和感たっぷり!」琴美が目を輝かせる。

「パォ~♪ どこも楽しそうですね!」シャオもワクワクした様子でホワイトボードを見つめる。

「んじゃ、まずは ‘一番近場’ から行ってみるか?」真平が提案すると、琴美が即答した。

「決まり! まずは 日光 ね!」

「えへへ~♪ ‘和’ と ‘昭和’ を楽しめそうですね~♪」美優がほわほわと微笑む。

「よし、文化部の ‘2学期最初の遠征’ は日光だ!」

 こうして、シャオの『昭和文化歴史体験ツアー』が幕を開けるのだった。


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