表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/241

フリータイム イン 台湾

台湾オタク探訪記 ~自由行動の日~

 朝の陽光が差し込む台北のホテル。文化部メンバーはそれぞれ自由行動を楽しむ日だ。琴美 真平 勇馬 は

「さぁ!!! 今日はオタクの聖地巡礼だーーー!!!」琴美の声が響き渡り、真平は半ば呆れながら尋ねる。

「いや、どこ行くんだよ?」

 琴美は期待に満ちた眼差しでシャオを見る。

「パォパォ~♪ そこはお姉ちゃんにお任せです~♪」

 そこへ現れたのは、シャオの姉・王豊明。台湾の人気アナウンサーであり、実はガチのオタクでもあった。

「まずは西門町シーメンディンからね。」

西門町——台湾の秋葉原とも呼ばれる場所。アニメショップ、ゲームセンター、フィギュア専門店が立ち並ぶ。琴美の興奮は最高潮に達した。

「昭和レトロのゲームショップだぁぁぁぁ!!!」彼女は一直線にレトロゲーム店へ飛び込んだ。

「これはチェリコのクリエイトビジョン!!」勇馬は興奮気味にレトロゲーム機を手に取る。

「これ、幻の台湾製コピーソフトじゃねぇか!? こんなのレアすぎる!!」

 ゲームを起動すると、画面に映るのは見慣れない中国語のメニュー。

「なんだこれ!? どこ押せばスタートできるんだ!?」

「Bボタンじゃないの!? まさかの中国語カセット仕様!?」

 戸惑いながらも、琴美と勇馬は台湾ゲーム文化の奥深さを味わっていた。


 次に訪れたのは光華商場グァンホア・マーケット、台湾の電脳街。

「ここは台湾の秋葉原の電脳街みたいなもんね。」豊明の案内で足を踏み入れると、勇馬の目が輝く。

「レトロPCのパーツがめっちゃ安い……!」琴美もファミコン改造キットを見つけ、興奮を抑えられない。

「台湾、恐るべし……」真平は圧倒されるばかりだった。


 そして最後の目的地は、台湾のコスプレカフェ。

「えっ、メイドカフェ?」

そう思いきや、店の扉を開けるとそこにいたのは——

「……男装執事!?」

燕尾服に身を包んだ執事たちが、優雅な笑みで迎え入れる。

「えぇぇぇぇ!? なんで執事!?」

琴美も勇馬も困惑しつつ、豊明は余裕の表情でお茶を楽しんでいる。

「台湾には男装カフェも人気なのよ?」

「いや、俺たち萌えメイドを想像してたのに!!!」


「せっかくだから、コスプレしてみない?」豊明の一言で事態は一変。

「しまった豊明のワナだ!」真平は突っ込んだ。

 琴美は昭和アイドル風のドレスを手に取り、目を輝かせる。

「……これ、伝説の昭和アイドル異称!?」

 勇馬は台湾伝統武侠スタイルの衣装を着せられ、剣を手にした瞬間、驚くほど自然な動きを見せる。

「おいおい、マジで剣術の達人みたいになってるぞ!?」

そして、真平。

「真平くんは執事服ね。」

「なんで俺だけ執事!?」だが、身にまとった燕尾服は驚くほどしっくりきていた。

「お嬢様、お茶の準備ができております。」

キャーーーー!!!

 店内の女性客たちが歓声を上げる。

「え、なに!? なんでこんなに反応されてるの!?」

 琴美と勇馬は大爆笑。

「真平くん、執事属性ありすぎる!!!」


 日ノ本文化部のスイーツ&ファッションチーム。案内役はもちろん、シャオ。

「パォ~♪ 今日は ‘台湾スイーツ’ と ‘ファッション巡り’ ですよ~!」

 その言葉に、萌香の目がキラキラと輝く。

「スイーツぅぅぅぅ!!!」

 興奮しすぎて飛び跳ねる妹を、沙羅が慌てて押さえる。

「落ち着きなさいって……」

 しかし、美優もほわほわした笑顔を浮かべ、楽しげに頷く。そこへ、巫鈴が合流した。

「で、こっちは何してるの?」

 すでに萌香は全開モード。台湾スイーツへの期待で、すでに小さな嵐が巻き起こっていた。

「スイーツぅぅぅ!! もう ‘台湾の全部’ 食べるぅぅぅ!!」

「やめなさい!! まだ ‘朝’ だからね!?」

 沙羅の必死の制止も空しく、旅は活気に満ちたままスタートした。


 最初の目的地は、台湾スイーツの聖地・永康街ヨンカンジエ

「うわぁぁぁ! ‘本場のマンゴーかき氷’ ふわっふわ!!!」

 美優はスプーンを手に、嬉しそうに微笑む。

「えへへ~♪ 口の中ですぐ溶けます~♪」

 巫鈴もスプーンですくいながら感心した。

「台湾のスイーツって ‘素材の味’ がちゃんとするんだな~」

 一方、萌香は両手にスイーツを抱えて次々と平らげている。

「ん~~~!? これ、 ‘日本に持ち帰りたい’ レベル!!」

 その食べるスピードに、沙羅は思わず目を丸くした。

「……っていうか、 ‘食べるスピード’ 速くない!?」


 次なる目的地は、台湾の最新ファッションエリア・東区ドンチュー

「ちょっと!! これ ‘おしゃれな台湾服’ じゃん!!!」

 沙羅の目が輝いた。色鮮やかなチャイナ服やモダンな台湾コーデが並ぶ店内を歩きながら、美優がふわっとした微笑みを浮かべる。

「えへへ~♪ 沙羅さん、このワンピース似合いそうです~♪」

 その様子を見て、萌香が姉に詰め寄った。

「お姉ちゃん!! おそろいの服買おうよ!!!」

「い、いや、それはちょっと恥ずかしいって!!」

 まさかの姉妹コーデ提案。沙羅は困惑するが、萌香はまったく引かない。

「いやいや、絶対 ‘双子みたいで可愛い’ って!!!」

「やらない!!! 断固拒否!!!」

 姉妹コーデバトルが勃発した。


 最後の目的地は、台湾コスメの宝庫・忠孝復興ジョンシャオフーシン

「うわぁぁぁぁ!! これ ‘台湾のオーガニックコスメ’ じゃん!!」

 ここで、巫鈴の「コスメオタク」モードが発動。

「これ、 ‘オーガニック台湾茶’ の成分が入ってるんです~!」

 シャオがスキンケアアイテムを紹介すると、美優はアロマクリームを手に塗り、幸せそうに微笑んだ。

「えへへ~♪ なんだか ‘いい香り’ ですね~♪」

 沙羅は普段使わないコスメに興味津々。

「な、なんか ‘女子力が上がりそう’ な雰囲気だな……」

 すると、萌香が提案した。

「お姉ちゃん、メイクもしてみようよ!!!」

「し、しないしない!!!」

 沙羅は猛反発しながら店を飛び出していく。


「それでは、鄭成功の歴史を辿る旅に出よう。」  王子涵が静かに告げた。

 その言葉に、博美は手元のメモ帳を開き、真剣な眼差しでページをめくる。 「なるほど……台湾の英雄ですね。」

 巫鈴はそんな博美の様子を横目に、王子涵の隣で小声で囁く。 「生徒会長、めっちゃ真剣じゃん……。」

 最初の目的地は、延平郡王祠。鄭成功を祀る、台湾でも重要な史跡のひとつだ。

「ふむ、ここが延平郡王祠か。」  王子涵が小さく頷きながら、正面にそびえ立つ立派な門を見上げる。

「鄭成功の功績を称える祠ですね。彼は明の遺臣として、清朝に抵抗し続けた英雄です。」  博美は淡々と資料を読み上げる。

 文化部、ガチの歴史研究モードに突入。

「……あれ?これ、私のいる意味ある?」  巫鈴はふと気づく。

 王子涵は博美をじっと見つめながら歩いている。

 博美は完全に歴史モードで、それに気づいていない。

(えっ、これ……もしかして、私、邪魔なのでは!?)

「……あの、私、スイーツ組に合流してもいいですか?」

「えっ、本当にいいのか?」

 一瞬驚いたように目を見開いた王子涵だったが——パァァァァ……

 明らかに顔がほころんでいた。

(いや、これ……完全にデートじゃん!?)

 巫鈴は思わずツッコミを飲み込みながら、そっと歴史組を離れた。

「ふむ……鄭成功の史跡は、台南を中心に多く残っているが……」  王子涵は歩幅を合わせながら、博美の横を歩く。

「ええ、台湾の明朝時代の影響も強いですね。」

 二人の会話は、淡々とした歴史談義のはずなのに——

 遠くから見守る巫鈴には、それがまるでデートのように見えた。

(いや、普通に歴史の話してるだけなのに、なんでこんな雰囲気なの!?)

オタク組:台湾のアキバで "コスプレ事件" 勃発!!

スイーツ組:台湾デザート & ショッピングで女子力アップ!

歴史組:博美 & 王子涵、まさかのロマンスの香り……!?

「いや~~!! 最高の1日だった!!!」  琴美はオタク魂を炸裂させ、大満足の様子。

「えへへ~♪ お洋服もスイーツも楽しかったです~♪」  美優はふんわりと微笑む。

「ふむ……鄭成功の歴史はやはり興味深い。」  博美は真剣な表情のまま、研究成果をまとめていた。

 一方で——

「……で、王子涵は ‘ニヤニヤ’ してるけど、何かいいことあったの?」  巫鈴がチラリと王子涵の様子を伺う。

「……いや、まぁ……」微妙に照れくさそうな表情。

 それを見た巫鈴は、そっと目を細めた。(……やっぱり、歴史デートだったんじゃん!)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ