雨の日の別荘でのすごし方
翌朝、雨音が静かに響く中、別荘の窓から外を眺めていた琴美が「うわぁ、今日の天気、がっつり雨じゃない!」とため息混じりに言った。
萌香も同じ窓から外を見つめ、「これじゃあ、外で遊ぶのは無理だね」と残念そうな声を漏らす。 だが、次の瞬間、萌香は意外な一言を口にした。
「今日は宿題日だ…」
その言葉に部屋の空気が一変。
姉の沙羅が目を丸くし、「あんた、遊びすぎておかしくなっちゃったの?」と真剣に問いかける。
真平も驚きながら、「萌香が自分から宿題なんて言い出すなんて、台風でも来るんじゃないのか?」と茶化す。
「台風じゃなくて、雨!」と萌香がムキになりながら反論すると、琴美は苦笑いしつつ「まあ、どうせもともと夜は宿題のはずがこの二日全然だったし、いいんじゃない?」と同意した。
そんな妹の様子に、沙羅は「まあ…それはそうなんだけど」と肩をすくめつつ、「意外と正論言うじゃないの」と感心したように呟いた。
琴美は窓の外の雨を見ながら、「確かに、昨日もその前の日も遊びまくりだったし、今日は宿題デーにしちゃうのもいいかもね」と苦笑いで同意。
その一言をきっかけに、部屋の中は少しずつ「宿題をやる空気」に包まれていった。琴美が「よし、今日はみんなで宿題を片付けちゃおう!」と声を上げると、萌香は「うん! これで明日晴れたら、また思いっきり遊べるもんね!」と笑顔で応えた。
沙羅は腕を組みながら「まさか、こんな風に宿題を進める日が来るなんてね…」と半ば呆れたような顔をしていたが、心の中では少し感心している様子。
琴美は窓に張り付くように外を見たまま、「じゃあ、この雨が上がるまでに全員、宿題を進められるだけ進めちゃうってことで決まりね!」と振り返り、勢いよく宣言した。
「わぁ…本当にやるのか…」と真平がやや呆れた表情を浮かべるが、琴美は「遊びも宿題も全力でこなすのが昭和の精神よ!」とよくわからない名言をぶち上げた。
「まだその“昭和”理論、続いてるんだ…」と沙羅が苦笑しながら腕を組む。
一方、萌香はもう机に向かってノートを開いている。
「やる気満々だね~」とシャオが声をかけると、萌香は「だって、雨が止んだら絶対に外で遊びたいもん!」と顔を上げずに答える。
それを見て、姉の沙羅が少し驚きつつも「まあ、いい心がけじゃないの」と小さく微笑んだ。
「さて、どうやって効率よく終わらせるか…」
琴美は腕を組みながら考え込む。
「ただやるだけじゃつまらないでしょ? みんなで協力し合いながら、楽しく終わらせる方法を考えるわ!」
「まーた余計なこと考えてない?」と真平が怪訝な顔をするが、琴美はすでにホワイトボードを持ち出していた。
《昭和スタイル宿題攻略法!》
① まず、各自の宿題量を確認!
② 得意分野を活かして助け合う!
③ 1時間ごとに休憩&おやつタイム!
④ 目標を決めて、クリアするたびにご褒美!
「…なんか、仕事の会議みたいになってない?」
沙羅が冷静にツッコミを入れるも、琴美は「これは“宿題革命”よ!」と自信満々だった。
こうして、日ノ本文化部のメンバーたちは机に向かい、それぞれの宿題と格闘し始めた。
•真平 → 数学の問題集を開くも、5分で頭を抱える。
•琴美 → 英文の訳に苦戦しながら「難しい!」と叫ぶ。
•沙羅 → 英語のリスニングをイヤホンで聞きながら、冷静に進める。
•シャオ → 「パォ~! 日本の歴史、難しいです~!」と騒ぎつつ、萌香と一緒に社会の課題を進める。
•勇馬 → すでに7割ほど終わらせており、他のメンバーを手伝う余裕あり。
•美優 → 「えへへ~、読書感想文なら任せてください~♪」と、優雅にペンを走らせる。
•萌香 → ひたすら問題集を進め、「お姉ちゃんより先に終わらせる!」と意気込む。
1時間が経ち、琴美が「おやつターイム!」と宣言。
「何か食べないと頭働かないしね!」と真平も乗っかる。
「よし! せっかくだから昭和っぽいおやつを作るわよ!」
琴美の「昭和愛」が発動し、台所へ直行。
美優やシャオも手伝い、作り始めたのは…
きなこ餅(砂糖醤油ときなこの2種類!)
ホットケーキ風どら焼き(フライパンで簡単!)
ミルクセーキ(卵+牛乳+砂糖で作る昔ながらのドリンク!)
「パォ~! 美味しそうです~!」
「おぉ、これはなかなかいいじゃないか!」
みんなでおやつをつまみながら、少し気分転換。
「さて、ラストスパートよ!」
琴美の掛け声で、全員が再び宿題モードに突入。
「…おい、俺の数学、全然終わらないんだけど。」
「ちょっと! 漢字の意味、誰か教えて!」
「えへへ~、感想文って、自由に書けばいいんですよね~♪」
わちゃわちゃしながらも、着実に宿題が進んでいく。
「やったぁぁ!!」
萌香が最初にノートを閉じ、「終わったー!」とガッツポーズ。
「え、マジで!? 早っ!」と真平が驚く。
「これで明日、晴れたら思いっきり遊べるよ!」
萌香は大喜びし、琴美も「よし、みんな頑張ったし、あとはちょっとずつ片付けるだけね!」と満足げに微笑んだ。
その時、窓の外を見た美優が「あ…」と指をさした。
「雨、止んでますよ~♪」
「えええ!? 本当に!?」
全員が窓に駆け寄ると、いつの間にか雨は上がり、雲の隙間から青空がのぞいていた。
「なんだよ、だったらもっと早く止んでくれれば…」と真平がぼやくも、琴美は「でも宿題が進んだから、これはこれでよし!」と得意げにまとめた。
雨上がりの空気を吸いに、みんなで外に出ることに。
「雨上がりの空って、なんか特別な感じするね!」
「パォ~! 空気がすごく澄んでます~!」
夕日を浴びながら、のんびり歩く文化部メンバー。
「今日の宿題デー、意外と楽しかったかも?」と萌香が呟くと、沙羅が「まあ…こういうのも悪くないわね」と頷いた。
「さて、明日は何する?」と琴美が目を輝かせると、全員が笑い合いながら、「晴れたらまた遊ぼう!」と口を揃えた。
こうして、雨の一日を「宿題デー」として充実させた文化部メンバーたち。
晴れた明日は、また新しい冒険が待っている――。




