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新 山へ行こう

Cチーム


  真平と美優は、ゆっくりとしたペースで山道を進んでいた。「俺、正直こういうの全然得意じゃないんだけどさ…」とぼやく真平に、美優は柔らかな笑顔で「大丈夫ですよ~、自然って意外と教えてくれるものですから」と励ます。

 その言葉どおり、美優は次々と山菜を見つけていく。「これがヨモギですよ~!」と柔らかな草を見つけ、「天ぷらにすると美味しいんです」と説明。さらに「これ、ウワバミソウっていうんですよ」と細長い茎を指差し、「シャキシャキした食感が楽しめます」と解説する。真平は「へえ、全然知らなかったけど、美味しそうだな」と感心した様子。

 道端でフキの太い茎や湿った場所に生えるゼンマイも見つけると、美優は「おばあちゃんが山菜料理をよく作ってくれたんです。子どもの頃から一緒に採りに行ってました」と少し懐かしそうに話した。真平は「そんなに詳しいんだな、頼りになるわ」と感心しつつ、「俺、こういうの全部ちゃんと食べられるかちょっと不安だけどな」と冗談めかして返す。

 さらに、美優が「タケノコがあるかもしれません!」と指差した先を見に行くと、地面から少し顔を出したタケノコを発見。

掘り起こそうとする美優の腰に手をかけた真平は勢い余って両手で美優の胸をつかんでしまう。

美優は一瞬きょとんとした後、「わわっ?」と驚いたような声を上げた。真平もすぐに状況を理解し、顔を真っ赤にして慌てて手を引っ込めた。

「ご、ごめん!!違うんだ、そんなつもりじゃなくて!!」

「あ、あはは~……びっくりしました~」

 美優はほんのり頬を染めながらも、怒るわけでもなく、いつもののんびりした笑顔を浮かべている。むしろ真平のほうが完全に動揺し、目を泳がせながら言い訳を続けた。

「ち、違うんだよ!その……タケノコ掘るの手伝おうと思っただけで!」

「うふふ、大丈夫ですよ~。びっくりしたけど、わざとじゃないのわかりますし~」

 美優がふわりと笑ってくれるものだから、真平はさらに焦った。

(うわーっ、俺、何やってんだよ!!美優、怒ってないけど、むしろそれが余計に恥ずかしい!!)

 何とか話題を変えようと、真平は「あ、あの!タケノコ掘るの、手伝うよ!」と声を上ずらせながら言った。美優はくすっと笑いながら「お願いします~」と頷く。

 その後、二人は無言でタケノコを掘り続けたが、真平は終始顔が熱く、まともに美優の顔を見られなかった。


二人で力を合わせて掘り出すと、思った以上に立派なサイズに真平は驚き、「これだけでみんな喜びそうだな!」と声を上げた。美優も「お味噌汁にしたらきっと美味しいですよ~」と笑顔を見せる。

「なんか、俺たちだけ地味じゃない?」とつぶやく真平に、美優は「山菜は体に良いんですよ~」と優しい声で返す。その言葉に和らいだのか、真平も次第に楽しむようになり、「よし、もっと集めるぞ!」とやる気を見せ始めた。

Cチームはヨモギ、ウワバミソウ、フキ、ゼンマイ、そして立派なタケノコを収穫。満足げな表情で集合場所へと戻った。



結果発表


 集合場所に戻ると、琴美がハイテンションで仕切りを始める。「それでは、各チームの成果を発表します!」

 Aチーム(琴美・勇馬・萌香)は、アケビやザクロ、キイチゴといったフルーツの数々を披露。琴美は得意げに「冒険家の血が騒いだのよ!」と胸を張り、萌香も「アケビめっちゃ美味しいよ!」と盛り上げた。

 続いてBチーム(沙羅・シャオ)。シャオが泥だらけの服も気にせず、「パォ~! 見てください! 松茸です~!」と松茸を掲げると、全員が驚きの声を上げた。沙羅が「シャオが倒木を割ったら偶然見つかったんだけどね」と苦笑すると、シャオは「カンフーの成果ですね~!」と謎のポーズを取って笑わせた。

 最後にCチーム(真平・美優)。真平が「地味だけどちゃんとやったからな」とリュックを開けると、ヨモギ、ウワバミソウ、フキ、ゼンマイ、タケノコがぎっしり。「これ全部食べられるんだぞ!」と強調する真平に、美優も「特にこのタケノコ、すごく立派ですよね~」と微笑みながら加勢した。琴美や勇馬も「地味だけど実用的で料理にぴったり」と素直に感心していた。

 琴美が「さて、どのチームが一番だったか決めるわよ!」と盛り上げた後、「一等は…みんなよ!!!!!」と笑顔で発表。「みんな違う良さがあるから全部一等でいいじゃない!」という琴美の言葉に、全員が納得の笑みを浮かべた。


 別荘へ戻り夕飯の支度をしているとへインターフォンが鳴り、シャオ宛の宅配便が届いた。箱を開けると、新鮮な魚がぎっしり。「これ、お父ちゃんが送ってくれたんです~!」とシャオが嬉しそうに跳ねる。鯛やカンパチなどの豪華な海の幸を見て、全員のテンションが一気に上がった。

 急遽、山の幸と海の幸を合わせた大宴会が始まることに。琴美は「これはもうグローバルパーティーね!」と大張り切り。美優が魚を捌き、松茸や山菜を組み合わせた炊き込みご飯やタケノコの味噌汁、刺身や焼き魚がテーブルにずらりと並んだ。

「こんなご馳走、なかなか見られないよね!」と萌香が感動し、真平も「いや、正直ここまでとは思わなかった」と驚いた様子。「やっぱりみんなで一緒にやると楽しいね!」と琴美が締めくくると、全員が満面の笑みを浮かべた。


 夕飯の大宴会が終わり、満腹感に包まれた琴美たちは、別荘の温泉に浸かりながら一日の出来事を振り返っていた。

「いや~、今日は最高だったね!」と琴美が湯船の縁にもたれながら満面の笑みを浮かべる。

「確かに、あんなに豪華なご飯になるなんて思ってなかったわ」と沙羅が微笑むと、萌香が「松茸、あれ本当にすごかったよね~! でもシャオっちのカンフーも最強!」と笑いながら話す。

シャオは湯気に包まれた顔を赤くしながら「パォ~! 松茸は偶然の産物ですけど、私の正拳突きもなかなかのものでしたね~!」と自信満々。琴美が「いやいや、あれはもう伝説級よ。次からはシャオのカンフーも作戦の一部にしよう!」と冗談交じりに提案し、全員が笑った。

美優は静かに湯に浸かりながら、「でも、私にとっては山菜を探してる時間が一番楽しかったかもしれません」とつぶやいた。

「おばあちゃんと一緒に山を歩いてた頃を思い出して…。その頃はこうしてみんなで楽しむなんて想像もしていなかったんです」と柔らかな笑顔で語る。

 沙羅が「おばあちゃんが教えてくれたこと、ちゃんと活かしてるんだね」と言うと、美優は「はい。山菜って、ただの食材じゃなくて、私にとっては家族の思い出みたいなものなんです」と頷いた。

 その言葉に琴美が「それ、すごくいい話じゃない! じゃあ、私たちもこれから山菜を見つけるたびに美優を思い出すことにするわ!」と元気よく言い、全員が笑顔で「賛成!」と声を揃えた。

 しばらくして、琴美がふと天井を見上げて「でもさ、今日のご飯、なんか私たちの文化部の活動にピッタリだった気がするんだよね」とつぶやく。沙羅が「どういうこと?」と聞くと、琴美は「だってさ、昭和の香りがする山菜と、海外からの海の幸が一緒になるなんて、まさに伝統とグローバルの融合じゃない?」と得意げに言った。

「確かに、シャオがいなかったら松茸も魚もなかったしね」と沙羅が頷き、シャオは「パォ~! 私、少しだけ役に立ったみたいですね~!」と照れながら答える。

 萌香は湯船に手を広げて「こうやって温泉でまったりできるのも最高~!」と伸びをする。琴美も「昭和スタイルと温泉、これ以上の組み合わせはないわね!」と豪快に笑い、全員がのんびりとしたひとときを楽しんだ。


 湯上りに全員がリビングに戻ると、真平と勇馬が片付けをしながら「女子チーム、のんびりしすぎじゃないか?」と文句を言うふりをする。

 琴美は「温泉の後はお肌ツルツルよ! 男子も入りたかったら後でどうぞ!」と返し、勇馬は苦笑いしながら「まあ、今日は女子の頑張りに感謝しないとね」と呟く。

 真平が「でも、次は俺たち男子が主導で何か企画してもいいかもな」と言うと、沙羅が「大丈夫? ちゃんとみんなを楽しませられる?」と軽く挑発する。

「おいおい、俺だってやればできるんだぞ!」と真平が言い返すと、全員が笑いに包まれた。


 こうして、日ノ本文化部の山の冒険の一日は、心温まるエピソードと笑顔に満ちた夜を迎え、次回への期待を膨らませて幕を閉じた。

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