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朝のカンフー

 翌朝、朝日が差し込む中、シャオはいつものように静かに起き出し、別荘の外に向かった。彼女の日課である軽い鍛錬をするためだ。

 シャオはツインテールを揺らしながら庭の広場に立ち、ゆっくりと深呼吸をした。そして、ゆったりとした動きでカンフーの型を始めた。その姿は真剣そのもので、普段の可愛らしいシャオからは想像もつかないほど静かなオーラをまとっていた。

 その様子を偶然窓から見かけた萌香は、「え、何やってるの?」と興味津々で外に出てきた。

「シャオっち、それ何? ダンス?」

 萌香が首を傾げながら尋ねると、シャオは動きを止めて笑顔を見せた。

「パォ~! これは私の国の伝統的な体術、カンフーです~! 心と体を鍛えるためにやっています!」

「へえ~! なんかカッコいい!」

 萌香はキラキラした目でシャオを見つめると、「私にも教えてよ!」と元気よく頼み込んだ。

「え~? 萌香ちゃん、本当にやりますか~?」

 シャオは一瞬驚いたものの、嬉しそうに笑って「じゃあ、一緒にやってみましょう!」と提案した。

 シャオは萌香に基本の動きを教え始めた。両足を広げて腰を落とし、ゆっくりと腕を動かす簡単な型だ。

「まずは体のバランスを感じることが大事です~!」とシャオが説明するが、萌香は早くもバランスを崩して倒れそうになる。しかし、元々運動神経のいい萌香は、シャオの教える基本の動きをすぐに覚え、「なんか楽しいー!」と笑顔を浮かべた。

「パォ~! 萌香ちゃん、飲み込み早いですね~! 才能あるかも!」

シャオは目を輝かせて萌香を褒めた。嬉しそうな萌香は、「よーし、次の技も教えて!」とやる気満々。

「次は少しだけ難しい動きですよ~。これができればカッコいいです!」

シャオは「虎が山を駆ける」という型を見せた。両手を虎の爪のようにして構え、低い姿勢で素早く動く動作だ。

「萌香ちゃん、これをやってみてください!」

「おっけー! 見ててよ、すぐできるから!」と萌香は自信たっぷりで挑戦する。

 しかし、勢いよく低い姿勢をとった瞬間、バランスを崩して地面に倒れ込んでしまった。

「いててて!」

「パォ~! 萌香ちゃん、大丈夫ですか~?」とシャオが駆け寄ると、萌香は照れ笑いを浮かべて、「やっぱり難しいかも…」とつぶやいた。

その様子を別荘の中から見ていた琴美が、窓を開けて顔を出した。

「何やってるの、あんたたち? カンフーごっこ?」

「ごっこじゃないよ! 本気だもん!」

 萌香がぷんぷん怒りながら言い返すと、琴美は面白がったように「じゃあ私も混ぜてよ!」と外に出てきた。

「いや、萌香はなんで参加してるんだよ…」真平が首をひねっていると、沙羅がリビングに現れ、「あの子、何でも興味持つけど三日坊主だからね」と苦笑い。

外では、シャオが次のステップを説明していた。

「萌香ちゃん、この動きは『白鶴が飛び立つ姿』です~!」と手を広げる動作を見せると、萌香も真似してみる。

「なんか、私も強くなれそう!」と萌香は楽しそうに笑った。

それを見ていた琴美が外に出てきて、「何これ! 私もやりたい!」と勢いよく参加。シャオは「パォ~! みんなでやりましょう~!」とさらに嬉しそう。

 最終的に、沙羅と美優、勇馬も加わり、庭では日ノ本文化部の全員がぎこちなくカンフーの型を練習するというカオスな光景が広がった。

「なんで俺まで…」とブツブツ言いながら参加する真平の動きが一番ぎこちなく、琴美は「真平、それじゃただのロボットだよ!」と笑い、全員が大爆笑。

女性陣は一汗流して庭から戻ると、「やっぱり温泉でリフレッシュしないとね!」と琴美が提案し、全員で温泉に向かった。萌香は「さっきのカンフーのせいで筋肉痛になるかも!」と言いながらも笑顔で浴場に入っていった。一方、シャオは「パォ~! 温泉も鍛錬の一部ですよ~!」と謎の名言を残し、みんなの笑いを誘った。


 一方、残された真平と勇馬は朝食の準備に取り掛かることに。真平は「なんで俺が女子が朝風呂に入ってる間に朝ごはんを作らなきゃいけないんだよ…」とブツブツ文句を言いながら、フライパンを握っていた。

「まあまあ、せっかくだから楽しみましょうよ」と、勇馬が穏やかにフォローしながら卵を割る。

「オムレツは俺が作るから、勇馬はサラダを頼む。」

「了解です!」と勇馬はテキパキと野菜を切り始めたが、真平は卵を焼いている途中で油を跳ねさせ、「熱っ!」と声を上げる。

「大丈夫ですか、先輩?」

「全然大丈夫じゃない!」と片手を振り回す真平に、勇馬は苦笑しながら「そう言えば、さっきのカンフーの動きよりは今の方が素早かったですね」とツッコミを入れる。

「なんでそこで比較するんだよ!」と真平が反論すると、二人でまた大笑いになった。


 温泉から戻った女子たちは、食卓に並べられた朝食を見て歓声を上げた。

「わ~! 美味しそう! 真平、やるじゃん!」と琴美が目を輝かせる。

「まあな、俺だってやるときはやるんだよ。」と胸を張る真平に、沙羅が「でもその右手、油でやけどしてるんじゃない?」と指摘すると、全員が大爆笑。

 萌香は「シャオっち! ご飯の前にカンフーのポーズで写真撮ろうよ!」と提案し、シャオは「パォ~! いいですね~!」と応じる。

 その結果、全員で「白鶴が飛び立つ姿」のポーズで写真を撮ることになり、ぎこちない動きでポーズを決める真平を中心に、また笑いが広がった。


 朝食後、琴美は「今日も思いっきり楽しむわよ!」と張り切り、再び予定を詰め込もうとする。



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