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日ノ本文化部の七夕祭り

7月頭にかけて、ほんのりと夏の香りが漂うころ。

昭和文化を愛する琴美が、なぜか「七夕」に興味を示したことがきっかけで、日ノ本文化部はまたもや賑やかな企画を進め始める。

「みんな、七夕って知ってるわよね? もちろん笹の葉に短冊をつるすあれよ!」

琴美が満面の笑みで部室に飛び込むと、真平は「いや、普通に知ってるし、小学校でやっただろ…」と冷めた声を返す。

沙羅がクールに呟く。「でも、あんたがわざわざ言うってことは、どうせまた“昭和の七夕”とか言い出すんでしょ?」

「そうよ! 七夕といえば、日本古来の行事じゃないの。昭和だろうが大正だろうが関係ないわ! でも昭和風に盛り上げるのが日ノ本文化部の使命でしょ!」

琴美が鼻息荒く答え、真平は「また始まった…」と肩を落とす。

「そもそも七夕って、笹に短冊をつるすだけじゃない? 何が昭和なのよ…」

沙羅が首をかしげると、琴美はドヤ顔で言い放つ。

「甘いわね! 昭和の七夕といえば、学校の教室や公民館に飾り付けを大量に作って、みんなでワイワイ盛り上がるのよ!

ほら、折り紙の輪っかを何十個もつなげたチェーンとか、短冊や星型の紙をいっぱい作ったり!」

「パォ~! たしかに折り紙でいっぱい飾るの、楽しそうです~!」

シャオが目を輝かせると、美優は「えへへ~、私、笹の葉に飾るための星とか、切り紙で作ってみたいです~♪」とほんわか笑う。

勇馬はメガネを押し上げながら、「そういえば、昔の雑誌に“七夕飾りの作り方”が載ってた記憶がありますよ。ちょっと探してみますか?」と言い、部室の端っこに積まれた昭和雑誌を見やる。


「でも、笹の葉はどっから手に入れるんだよ?」

真平が現実的な疑問を口にすると、琴美は「近所の竹林を拝借…は無理か。 先生に相談して、飾り用の笹を用意してもらいましょ! どうせ学校行事でも七夕やるでしょ?」と、勝手に計画を進める。

「琴美先輩、何かを“拝借”しようとするときは、先に先生の許可を取ってくださいね…」

勇馬が苦笑いで釘を刺し、沙羅も「アンタが無断で切りに行ったら本当に大騒ぎになるわよ」と冷ややかに告げる。

「パォ~、でも笹が手に入ったら、長い短冊つるしたり、昭和風の飾りいっぱい作りたいです~!」

シャオは好奇心でいっぱい。

美優が「えへへ~、わたしは笹の葉にお星さま型クッキーをぶら下げたいかも!」などと言い出し、真平が「おい、食いもんをぶら下げたらアリが来るだろ!」と慌ててツッコミを入れる。


「ところで、短冊にはみんなどんな願い事を書く?」

琴美がワクワク顔で言い、真平は「いや、人に見せるもんじゃないって昔から言われてるだろ…」と照れくさそう。

沙羅は「私は何も特に…ま、無難に“健康第一”とか書いとくわ。」と無表情気味。

「パォ~! 日本では、願い事を短冊に書いたら叶うっていう伝説があるんですか~?」

シャオが目を輝かせると、琴美は「伝説かどうかは知らないけど、織姫と彦星にあやかって願いをかけるのよ!」と得意げに説明。

「じゃあ私“もっと昭和レトロを極めたい”って書こうかな!」

琴美が意気込むと、真平は「なんだそりゃ…どんだけ昭和好きなんだ」と呆れる。

「えへへ~、わたしは“みんなで美味しいごはんが作れますように”かな~♪」

美優がほんわか口にすると、シャオは「パォ~! 私は“背が伸びますように”!」と元気いっぱい。

勇馬はしばし考え、「じゃあ僕は“もっと高度なAIソフトが作れますように”でしょうか…」と真顔で言うから、みんなが「地味だけどリアル」と微妙に笑う。


その日の放課後、先生の計らいで用意してもらった笹が到着。「結構大きいぞ…」と真平が驚きながら運び込む。

「パォ~! こんなに立派な笹に飾るんですね~! 短冊もいっぱい付けられます~!」

シャオは目を輝かせ、琴美も満足げ。「これよこれ! 昭和の七夕には欠かせないわ!」


「せっかくの笹だし、倒れないように支えを作らなきゃ。…勇馬、そこにある台座、持ってきて。」

沙羅が慣れた手つきで固定を指示。勇馬が手早く組み立てる。


「おい、また飾りが多すぎじゃね? これ、もし倒れたら大惨事だぞ。」

真平がちょっとビビりつつもチェーンを上の方に取り付けていく。

美優は「えへへ~、ロウソクみたいな短冊まで作っちゃいました…♪」とお菓子っぽい香りまで漂わせている。

美優がうっすら甘い匂いのする紙を持ってにこにこしていると、真平がちょっと引き気味にツッコミを入れる。


「おまえ、その紙どこで手に入れたんだよ…? なんかバニラエッセンスみたいな匂いがするけど?」

「えへへ~、お菓子の包装紙をもらったんです~♪ ほんの少しだけ香りが付いちゃったみたいです。」


「パォ~! それ、ほんとに大丈夫ですか~? アリが寄ってこない?」

シャオが恐る恐る聞くと、美優は「だ、大丈夫ですよ~」と笑うが、沙羅は冷ややかな目で「あやしいわね…」とつぶやく。


すると、琴美が「匂い付き短冊なんて、むしろ昭和スイーツ感があっていいじゃない!」と強引に肯定。

「いいのかよ!」と真平が突っ込むが、琴美は「昭和魂に細かいルールはないの!」と華麗にスルーする。

せっかくの立派な笹に色とりどりの飾りを付け始めた日ノ本文化部だが、その“昭和スイーツ感”溢れる匂い付き短冊を含め、あまりに大量の飾りを付けるせいで、とうとう笹がぐらつきはじめる。


「ちょっと琴美、これ以上チェーンとか星とか増やすとヤバいって!」

真平が必死に笹を支えるが、チェーンや短冊が風にあおられて「ざわざわ」と揺れている。


「なによ、まだまだ昭和要素が足りないわよ! うちわ型の飾りも作ったのに!」

琴美が納得いかない様子で、折り紙の“うちわ”を掲げるが、沙羅が冷静に首を振る。

「それを付けたら確実に倒れるわ。もう重すぎるのよ…!」


するとシャオが「パォ~! 私が押さえますから大丈夫です!」と、また力任せに支えようとする。

「いや、あんたがずっと支えてるわけにもいかないだろ!」

真平がややツッコミ気味に突っ込む中、笹は相変わらずギシギシと嫌な音を立てている。


一方、美優の“甘い香り付き短冊”が次なる問題を呼び起こす。

「ねえ、美優ちゃん、なんか床に黒い点が動いてるんだけど…」

沙羅が床を指さすと、そこには数匹のアリらしきものがウロウロしている。


「ぎゃーっ! ほら見ろ、言っただろ! こんなに甘い匂いを漂わせたらアリが寄ってくるって!」

真平が叫び、琴美が「ちょっ…アリ程度で大げさね!」と言いつつも、 “タバコ疑惑” 事件を思い出したのか顔が強張る。


「パォ~! そんな…私の願い事、アリに食べられませんよね~?」

シャオが不安そうに短冊を見上げると、勇馬がやれやれと苦笑。

「匂い付き短冊を上の方に吊るして、下の方には付けないようにすれば、少しは防げるかも…。」


「えへへ~、すみません…私、そんな事態になるなんて思わなくて…」

美優がしょんぼりすると、琴美が「だいじょうぶよ! これも昭和テイストってことで! ほら、縁日の屋台だってアリくらい出るわよ!」と妙なフォローを入れる。


「フォローになってないし…ま、もういいや。とりあえずアリ対策しようぜ。」

真平は諦め顔でアリを追い払い、アリが来そうな“甘い”短冊だけ、上の方にまとめて吊り直すことに。


なんだかんだでアクシデントを乗り越え、七夕の笹飾りは無事(?)に完成。

折り紙の輪っかチェーンや星型、さらにはレトロなお面(何故か琴美が持ち込んだ)まで取り付けられ、部室の一角はまるで昭和のミニ縁日のようだ。


「す、すごいな…昭和と言うよりお祭り騒ぎだろ、これ。」

真平が目を丸くしながら笹飾りを見上げ、沙羅は「カラフルすぎて視界がチカチカするわ…」と若干苦笑。

それでもシャオは「パォ~! かわいいです~!」と大喜び。


「お菓子っぽい匂いもして、何だか不思議な七夕だわ。」

美優がほんわか微笑みながら、お菓子の包装紙に執着するアリをなんとか遠ざけるべく、懐から飴を取り出してガサゴソ(さらに甘い匂いが…?)。


「美優ちゃん、頼むから部室にアリの大行列作らないでくれよ…!」

真平が焦って止めるが、琴美は「そりゃ昭和の夏だし、アリくらい出るわよ!」と謎の理論を展開。


せっかく作ったならと、琴美の号令で各自の短冊を発表することに。


琴美:

「“もっと昭和レトロを極めたい!”

当たり前でしょ、私の野望は日本全国…いや世界に昭和を広めることよ!」

全員:「世界!?」と盛大にツッコミ。


真平:

「“平穏無事”…」

みんな:「ガンバレ!」と励まし。


沙羅:

「“健康第一”。

……(しれっと終わらせようとする)」

琴美:「地味すぎる!」と騒ぐが、沙羅は「いいの。地味が大事なのよ。」とバッサリ。


シャオ:

「“背が伸びますように!”

パォ~! 日本に来てからちょっと伸びた気もするんですけど、もっと欲張りたいです~!」

全員:「そこは無理すんな…(苦笑)」


美優:

「“みんなで美味しいごはんが作れますように”

えへへ~、私お菓子担当ですから♪」

みんな:「癒しだ…!」


勇馬:

「“もっと高度なAIソフトが作れますように”

いや、昭和的というより今風ですけど…。一応、レトロプログラムも極めたいですし…。」

全員:「AIとレトロBASICってどう融合するんだ…?」


こうして、日ノ本文化部の昭和七夕飾りはドタバタの末になんとか完成。

甘い匂い付き短冊や、昭和風チェーン、まるで縁日のお面まで揺れる不思議空間で、彼らの笑い声が部室に満ちていた。


「パォ~、この笹、いつまで飾っておくんですか~?」とシャオが尋ねれば、琴美は「そりゃ7月7日過ぎてもしばらくは楽しむわよ!」と即答。

「アンタ、本当に先生に叱られるわよ…」と沙羅が冷静に返すが、もう全員が昭和ムードに浸りきっている。


夏の光が差し込む窓から、風が吹くたびに折り紙の星や輪っかがカラカラと鳴り、

甘い匂いがほんのり漂う短冊がそよいでいる。


真平が「とりあえず、アリ対策だけはしっかりしような…」とぼそっとつぶやき、

美優は「えへへ~、もうちょっと気を付けます~♪」と苦笑い。

シャオは「パォ~! でも、本当にステキな七夕です~!」と目を輝かせる。


こうして、昭和レトロと七夕が融合したちょっと不思議で賑やかな行事が、

日ノ本文化部をさらなる夏の冒険へといざなっていく。


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