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BASICへの招待

日ノ本文化部のメンバーたちは、中間試験を乗り越えた喜びを分かち合うために「昭和風打ち上げパーティー」を開くことにした。部室はすでに琴美が用意したレトロな装飾で飾り付けられ、昭和の雰囲気が漂っている。

琴美が自信満々に立ち上がり、みんなに呼びかける。「さあ、今日は昭和を思いっきり楽しむのよ!まずはこれ!」

彼女が取り出したのは、昭和の名曲が詰まったカセットテープと古いラジカセ。「これで昭和のヒット曲をかけながら踊りましょう!さぁ、まずはピンク・レディーの『UFO』から!」

「懐かしい感じがするけど、俺たちには初めての曲だよな…」真平が苦笑しながら言うと、琴美は「細かいことは気にしない!」と元気に返す。彼女はラジカセを再生し、部室にはノリのいいリズムが響き渡る。

「うふふ、これが昭和のダンスですねぇ…」と、美優がほんわかと微笑みながら、ゆっくりと体を揺らし始める。シャオも「パォ!リズムが楽しいです!」と言いながら、独特の動きで踊り出す。

「俺、踊りはちょっと…」真平は恥ずかしそうに後ずさるが、琴美が手を引っ張る。「ほら、踊ればいいのよ!昭和魂で!」

一方、沙羅は「まあ…せっかくだからね」と軽く肩をすくめて踊りに参加する。「案外悪くないわね、この曲」と微笑みながらステップを踏む。

勇馬は最初は照れながらも、シャオに引っ張られ踊り始める。「動きが難しいですね…でも、リズムが面白いです」と、少しずつリズムに乗り始める。

次に、琴美が取り出したのは昭和の駄菓子セット。「みんな!これが昭和の味よ!」

「これ、見たことないな…」真平が興味深げに手に取ったのは、ラムネ菓子やふ菓子、きなこ棒。美優が「えへへ、これとっても可愛いですね」と袋から小さな飴を取り出し、シャオは「パォ!色とりどりで面白いです~!」と目を輝かせる。

「これ、懐かしいわね」と沙羅がきなこ棒を味見しながら呟く。「うん、素朴で美味しいわ。」

「駄菓子といえばやっぱりこれ!」琴美が取り出したのは、チューインガムとわたあめ。「さあ、みんなで駄菓子を食べながら、昭和の遊びをしましょう!」

そして、昭和風の遊び大会が始まった。琴美が用意したのは、けん玉やお手玉、ベーゴマなど昭和のおもちゃたち。

「さあ、けん玉対決よ!」琴美がけん玉を手にして張り切る。真平は「俺、こんなの無理だって!」と逃げ腰だが、琴美に「やってみなさい!」と強引にけん玉を渡される。

シャオは初めて見るけん玉に興味津々。「これ、どうやって使うんですか~?」と尋ねながら、挑戦してみるが玉を派手に飛ばしてしまう。「パォ~!難しいです~!」

「でも、面白いね。こういうのも頭を使う感じでいいわ」と、沙羅が集中してお手玉に挑戦する。美優は「えへへ、これも楽しいですねぇ~」と、ほんわかした笑顔でお手玉を手の上でふわふわさせていた。

ベーゴマ対決では、勇馬が意外にも巧みな手つきでベーゴマを回し、みんなから驚きの声が上がる。「おお、勇馬がやるとプロみたいに見えるな!」と真平が感心しながら声を上げる。

「うん、なんだか昔ながらの遊びも悪くないわね」と沙羅が微笑む。

そして最後は、琴美が用意した昭和風のカラオケ大会。ラジカセにマイクをつなぎ、みんなで昭和のヒットソングを歌うことに。

「さあ、最初は私が歌うわよ!」琴美が意気揚々とマイクを手に取り、キャンディーズの『春一番』を熱唱。彼女の全力のパフォーマンスに、みんなが手拍子をする。

「次はシャオ!台湾の歌も歌ってみてよ!」と琴美が言うと、シャオは少し恥ずかしそうにしながらもマイクを握る。「パォ~、じゃあ頑張ります!」

彼女が台湾の懐かしい曲を歌い出すと、みんながそのメロディーに合わせて体を揺らし始める。異国の音楽と昭和の雰囲気が絶妙に融合し、部室全体が温かな空気に包まれた。

最後は全員で合唱することに。『上を向いて歩こう』を歌いながら、全員が声を合わせる。その瞬間、昭和の雰囲気が部室に完全に蘇ったような、そんな不思議な一体感が生まれた。

「なんだか、こういうのもいいね」と真平が言うと、琴美が「でしょ!これが昭和の力よ!」と笑顔で返す。

沙羅も微笑みながら、「たまにはこういうおバカなことをやるのも悪くないわね。」

「パーティーは大成功ですね~」と美優が満足そうに呟く。

こうして、日ノ本文化部の昭和風打ち上げパーティーは、笑いと歌声、そして駄菓子の甘い香りに包まれて幕を閉じたのだった。


翌日、学校に着いた琴美は、まだ誰もいない部室で一人で昭和風打ち上げパーティーの片付けをしていた。すると、隣にある元職員室のドアが少しだけ開いているのに気づく。

「ん?なんだろう?」

好奇心旺盛な琴美は、そのまま元職員室に足を踏み入れた。

そこは現在は倉庫代わりに使われているらしく、古びた木製の机や椅子が積み重なり、埃をかぶった資料棚が並んでいた。室内を見渡すと、壁際に積み上げられた古い雑誌の山が目に入る。

「こ、これは…!?」

琴美は目を輝かせながら近づき、山の一番上にあった雑誌を手に取った。

『マイコンBASICマガジン』

その表紙には、80年代に流行したレトロなパソコンやゲームのイラストが描かれている。琴美は興奮気味にページをめくった。そこには、昔懐かしいプログラムコードや、レトロゲームの攻略記事、時代を感じる広告がびっしりと詰まっている。

「すごい!これ、昭和の宝物じゃないの!」

琴美は次々と雑誌を手に取り、内容をチェックし始める。すべての号が年代順に揃っており、その膨大な情報量に思わず息を飲んだ。

「日ノ本文化部でこれを使った新プロジェクトをやるしかない!」

部室に戻ると、ちょうど部員たちが集まり始めていた。真平が琴美が運んできた雑誌の山を見て驚く。

「おいおい、また妙なもの持ち込んできたな…。それ、どっから拾ってきたんだよ?」

「隣の元職員室よ!見てよ、この『マイコンBASICマガジン』!昭和のプログラム文化が詰まってるの!」

沙羅が雑誌を手に取り、表紙を見て呟く。「昭和のプログラミング文化ね…。懐かしい感じがするけど、これって何に使うの?」

琴美は自信満々に答える。「決まってるじゃない!これを使って、昭和のゲームを再現するのよ!」

勇馬がメガネをクイッと直しながらページをめくる。「面白そうですね。このプログラムコード、今でも動くかもしれませんよ。試してみましょうか。」

「マジで動かすのかよ…?」真平が不安そうに尋ねるが、シャオは興奮気味に言う。「パォ~!すごく面白そうです!これ、ゲームを作るんですか~?」

「えへへ~、なんだかワクワクしますねぇ~。」美優はほんわかした笑顔で雑誌を眺める。

「というわけで、昭和のマイコンゲーム復活プロジェクトを始めるわよ!」琴美が拳を突き上げて宣言する。

PC-8801FR を使って、マイコンBASICマガジンのプログラムコードを実際に動かすことにした。

部室の一角に置かれているPC-8801FRは、琴美が以前、家の倉庫から持ち込んだもの。年代物のパソコンながら、当時の最先端だっただけにキーボードやディスプレイは独特の威圧感を放っている。

「さぁみんな!昭和の技術を体験する時間よ!」琴美が胸を張りながら宣言する。

勇馬が慎重にPC-8801FRの電源を入れると、画面に淡い緑色の文字が浮かび上がる。

「NEC N88-BASIC(86) Ver2.0」 の表示に、シャオが目を輝かせる。

「パォ~!すごくレトロな感じです~!」

「これ、本当に動くのか…?」真平が不安そうに呟く中、勇馬は冷静にマガジンに載っている短いプログラムコードを読み上げ始めた。

10 PRINT "HELLO,昭和!";

20 GOTO 10

「まずは簡単なやつから試してみましょう。」勇馬がタイピングを始めると、シャオが感動したように言う。「カタカタ音がいいですね~!タイピング音も昭和の香りです~!」

「じゃあ、RUNしてみるぞ。」勇馬がエンターキーを押すと、画面に「HELLO,昭和!」が無限に流れ始めた。

「おおお~!」琴美が興奮しながら拍手をする。

「これが昭和のパソコンの力か!すごいじゃない!」

「いや、これはただの無限ループだろ。」真平が冷静に突っ込むが、琴美は気にせず次の指示を出す。

「次はゲームよ!この『SPACE INVADERS風ゲーム』のコードを入力するわよ!」

勇馬がマガジンを読みながら入力を始めるが、プログラムは数百行にも及ぶ長いもの。

「これ、さすがに手入力は大変ですね…。」勇馬がため息をつくと、美優がほんわかした声で励ます。

「えへへ~、少しずつ進めれば大丈夫ですよ~。」

「よし、私も手伝うわ!」琴美が意気込んでキーボードを叩き始めるが――

「勇馬、これエラーになるんだけど!」琴美が慌てると、勇馬がすぐに画面を確認する。

「琴美先輩、それセミコロンじゃなくてコロンですよ。」

「細かいのね、昭和のプログラムは…!」琴美が苦戦している横で、沙羅が腕を組みながら呟く。

「本当にこれ、最後まで動くのかしら。」

数時間後、ついにプログラムの入力が完了。勇馬が慎重に「RUN」を押すと、画面にドットで描かれたシンプルな宇宙船と敵キャラが表示され、音と共に動き始めた。

「おおおおおお!」部室中が歓声で包まれる。

「動いたじゃないか!」真平が感心しながらゲームをプレイし始める。

「でも、操作が難しいな…これ、どうやって避けるんだ?」

シャオが真平の横で応援する。「パォ~!がんばってください~!」

「昭和のゲームってこんな感じなのね。結構シンプルだけど面白いわ。」沙羅がプレイを交代してコメントする。

「次は私がやるわよ!」琴美が操作に挑戦するが、開始早々に敵の攻撃を受けてゲームオーバー。

「なんでこんなに難しいのよ!?」琴美が悔しがると、勇馬が冷静に説明する。

「昭和のゲームはシンプルな分、反射神経や操作精度が求められますからね。」

「こういうのも文化の一部だねぇ~。」美優がほんわかと笑顔を浮かべる。

こうして、日ノ本文化部は昭和のプログラムとゲームの世界にどっぷり浸り、新たな楽しみを発見したのだった。

琴美は「次はもっと複雑なゲームを作るわよ!」と意気込み、部室は再び賑やかに騒ぎ始めるのだった。



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