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前試験前 後試験後の日ノ本文化部

 中間試験前日。部室には、緊張と焦りが入り混じった空気が漂っていた。琴美、沙羅、真平、勇馬、シャオ、美優の6人がそれぞれのやり方で最後の追い込みをしている。


 琴美は机の上に広げた教科書を前に、腕を組んでうんうんと唸っている。

「どうしたんだよ、琴美?」真平が尋ねる。

「ねぇ、試験範囲ってどこだっけ?」琴美が真顔で答える。

「そこからかよ!!」真平が思わず叫ぶと、沙羅が冷ややかに続ける。

「アンタ、昨日も同じこと言ってたわよね。まさか本当に手つけてないんじゃないでしょうね?」

 琴美は慌てて教科書をめくりながら、言い訳する。「ちょっと、昭和の勉強に夢中になりすぎただけよ!」

「それ、試験範囲じゃないよな?」真平が呆れ顔でツッコむ。

 沙羅はというと、真面目にノートを見返している。

「今回は歴史と国語は大丈夫だけど、数学がちょっと怪しいわね。」沙羅が独り言のように呟く。

「俺も数学ダメだ…。沙羅、教えてくれよ。」真平が頼むと、沙羅は軽くため息をつきながら答える。

「しょうがないわね。ここ、こうやって公式を使えば解けるのよ。」と丁寧に説明する。

「おお!分かった気がする!」真平が感激していると、琴美が横から口を挟む。

「沙羅、私も教えて!」

「アンタは教科書読むところからやり直しなさい。」沙羅が即答する。

一方で、勇馬はノートパソコンを使い、オンライン模試を解きまくっている。

「勇馬、お前すごい集中力だな。」真平が感心すると、勇馬は眼鏡をクイッと上げながら答える。

「試験勉強は計画と効率が命ですからね。ほら、この問題も出そうですよ。」と真平に模試の画面を見せる。

「いや、これ絶対ムズいだろ!」真平が怯むと、勇馬は冷静に言う。

「出たら困るので、今のうちに覚えましょう。」

「マジで勉強ロボットだな、お前…。」真平が苦笑する。

シャオはカラフルなマーカーを使い、ノートにイラストを描きながら勉強している。

「シャオ、それ勉強になってるの?」沙羅が尋ねると、シャオはにっこり笑いながら答える。

「パォ~!このキャラクター、歴史の人物ですよ~!例えば、織田信長はこんな感じで!」と可愛い信長のイラストを見せる。

「それ、試験で点数取れるのか?」真平が不安そうに言う。

「もちろんです~!絵を見れば思い出せますから!」シャオは自信満々。

「……まあ、あんたらしいよな。」沙羅が肩をすくめた。


 美優は紅茶を淹れながら、ノートに可愛い文字で「がんばろう!」と書いている。

「美優、それ勉強じゃなくて応援メッセージ書いてるだけだろ。」真平が指摘すると、美優はほんわかと微笑む。

「でも、なんだか気持ちが上がりますよ~♪」

「いや、気持ちだけじゃ点数取れないから!」真平が思わず叫ぶ。

「えへへ~、大丈夫です。みんなでがんばれば怖くないです~。」美優の天然ぶりに、全員が苦笑いする。

 勉強会も佳境に入ったころ、琴美が突然立ち上がる。

「ねぇ!せっかくだから、試験に出そうな問題をみんなで出し合おうよ!」

「それ自体は悪くないけど…どうせまた変な方向に行くんでしょ?」沙羅が警戒する。

「大丈夫大丈夫!じゃあ第一問、昭和の歌手で一番ヒット曲を出したのは誰でしょう!?」

「試験範囲外だろ!!」真平が即座にツッコむと、琴美は笑いながら座り直した。

「でも、こうやって盛り上がるのも大事よね!」

「盛り上がってる暇があったら勉強しろ!」沙羅が呆れながら言う。



 試験終了後、部室に集まった6人。それぞれ疲労困憊の様子。

「もう終わった…。俺の数学、半分は勘だわ…。」真平が机に突っ伏す。

「私も漢字を2つ間違えた気がするわ。」沙羅が溜息をつく。

「でも、勇馬が言ってた模試の問題、そのまま出ましたよ~!」シャオが嬉しそうに報告すると、勇馬は静かにガッツポーズ。

「計画通りですね。」

一方、美優はほんわかと微笑みながら言う。「えへへ~、なんだか楽しい試験でしたね~。」

「いや、試験が楽しいって感想初めて聞いたわ…。」真平が呆れながらも笑った。


 試験が終わり、数日後。試験結果の発表日がやってきた。部室に集まったメンバーたちは、結果を手に、それぞれの感想を口にしていた。

「俺、こんな点数取れると思ってなかった…!」

真平が目を見開きながら成績表を握りしめる。苦手だった数学で予想以上の点数を取ったらしい。

「真平、結構やるじゃない。」沙羅が感心しながら言う。

「いや、これは沙羅のおかげだよ。公式教えてくれなかったら無理だった。」

真平は照れくさそうに頭をかくが、琴美がすかさず茶化す。

「ほらほら~!沙羅に感謝の言葉、もっとちゃんと言いなさいよ!」

「お前は黙ってろ!」真平がツッコミを入れると、部室に笑いが広がる。

沙羅は試験結果を淡々と見ながら、特に表情を変えない。

「まあ、こんなもんね。自分で勉強した分はちゃんと反映されてるし。」

「沙羅、順位見せて!何位だったの?」琴美が興味津々で覗き込む。

「全体で…5位ね。」

「すごっ!天才じゃん!」真平が驚くと、沙羅は軽く肩をすくめる。

「別に天才じゃないわよ。努力しただけ。」

「いや、その努力がすごいんだって…。」真平が感心している横で、琴美が不敵な笑みを浮かべる。

「で、沙羅のことを尊敬してる真平くんは何位だったの~?」

「い、いや、俺は…50位だ!いいだろ!」

「中の上ね!」琴美が大笑いすると、真平は赤面する。

「見て!私、今回なんと10位だったの!」琴美が試験結果を高々と掲げる。

「おまえ普段めちゃくちゃだけど、やるときやるんだな」真平が、そういえばこいつクラスでは成績優秀でスポーツ万能で通っていることと、1年の時はクラス委員だったことを思い出した。

「僕…1位でした。」勇馬が少し照れくさそうに言うと、部室は一瞬静まり返る。

「えええええええええっ!!!」全員が叫ぶ。

「だって、君の集中力と勉強量なら納得だけど…やっぱりすごいわね。」沙羅が感心する。

「勇馬くん、天才だねぇ!」美優がほわほわと笑いながら拍手する。

「でも、勉強はただのスキルですから。これからも謙虚に努力を続けます。」勇馬は謙虚な態度を崩さない。

「いや、謙虚すぎるのもどうかと思うけど…。少しは喜べよ!」真平が声をかけると、勇馬は少しだけ微笑んだ。

「パォ~!私、こんなに高い点数、初めて取りました~!」シャオは成績表を持ってぴょんぴょん跳ねている。

「で、何位だったの?」琴美が尋ねると、シャオは誇らしげに言った。

「15位です~!」

「えええ、シャオ、すごいじゃん!」真平が驚く。

「だって、イラスト勉強法のおかげですよ~!ほら、織田信長の絵、めちゃくちゃ役立ちました!」

「いや、あれでそんな点数取れるのかよ…。」沙羅が呆れるも、シャオの無邪気な笑顔につられて笑ってしまう。


「えへへ~、私も結構いい点数でしたよ~。」美優が成績表を見せる。

「お、何位だったんだ?」真平が聞くと、美優はほんわかと答える。

「12位です~。」

「お前もすごいじゃん!」真平が目を見開く。

「でも、試験中に思い出したんですよね~。みんなで頑張ったのが楽しかったなって。」

「いや、それを思い出すだけで12位取れるのかよ。」琴美がツッコむと、部室に笑い声が広がる。

「ということで!」琴美が勢いよく声を上げる。

「みんなで試験頑張ったご褒美に、お祝いしちゃおう!」

「またお前の企画かよ…。でも、まあいいか。」真平が苦笑する。

「パォ~!今日は何をするんですか~?」シャオが楽しそうに尋ねると、琴美が得意げに言った。

「決まってるじゃない!みんなで昭和風の打ち上げパーティーよ!」

こうして日ノ本文化部は、中間試験の成功を祝う賑やかな一日を過ごすことになったのだった。


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