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中間試験を向かえて

 旅館から帰るバスの中、メンバーたちはぐったりしながらも笑顔を浮かべていた。真平が窓の外を眺めながら呟く。

「いや~、なんだかんだで充実してたよな。今年のゴールデンウィーク。」

 琴美が大きく伸びをしながら応える。「でしょ!これが私たち日ノ本文化部の実力よ!昭和も満喫、温泉も堪能、完璧なゴールデンウィークだったわね!」

 沙羅が肩をすくめながら反論する。「まあ、完璧って言うには、ちょっと騒ぎが多すぎたけどね。」

 琴美がスマホの写真を見せながら言う。「これ!萌花ちゃんがお好み焼きの生地をひっくり返そうとして全部床にぶちまけた瞬間よ!最高の一枚だと思わない?」

「いや、笑えないって!片付けたの俺なんだから!」真平が抗議するが、琴美は気にしない。

「この写真もいいですよ~。」シャオがスマホを見せる。そこには真平が焦げたお好み焼きを持って半泣きになっている姿が。「パォ~!この表情、映画のワンシーンみたいです~!」

「だからそれ黒歴史だって言ってんだろ!」真平が顔を赤くする。

一方、美優は旅館で撮った写真を眺めてほんわかと笑っていた。「みんなが温泉でリラックスしている写真、とっても素敵です~。」

「いや、美優。あれ撮影禁止だったから…。」沙羅がため息交じりに指摘するが、美優は気にせず「えへへ~」と笑うだけ。

シャオが突然興奮気味に話し始める。「次のゴールデンウィーク、みんなで台湾に行きませんか~?私の家に泊まれば、きっと楽しいですよ~!」

「台湾かぁ…面白そうだな。でも、お前の実家、またお嬢様的なとこなんじゃないのか?」真平が少し警戒する。

「パォ!大丈夫です~!私の家、そんなに豪華じゃないですよ~!」シャオは無邪気に言うが、全員が一斉に「絶対嘘だ」と心の中で思った。

 琴美がニヤリと笑いながら言う。「台湾か…いいじゃない!次は昭和と台湾文化の融合をテーマに大冒険よ!」

「また食べ物系とか言い出すんじゃないだろうな…。」沙羅が呆れ顔で続けると、勇馬がメガネをクイッと直しながら提案する。

「僕が台湾の歴史や文化についてリサーチしておきます。行くなら、事前準備は完璧にしておきたいですから。」

「さすが勇馬!期待してるわよ!」琴美が元気よく返すと、真平はまたため息をついた。

「結局、俺たち全員で振り回されるんだろうな…。」

バスが学校近くに到着すると、琴美が立ち上がり、腕を組んで全員に向かって宣言する。

「よーし、これにて今年のゴールデンウィークは大成功!次は台湾で更なる昭和探しを目指すわよ!」

「また昭和かよ!」と全員が声を揃えてツッコむが、どこか楽しそうだった。

こうして、日ノ本文化部のゴールデンウィークは笑いと騒ぎの中、幕を閉じた。そして次の冒険の予感を胸に、彼らの日常は続いていくのだった。


 中間試験まであと一週間。部室には微妙な緊張感が漂っていた。机の上には教科書やノートが広がり、全員がそれぞれのペースで勉強に取り組んでいる。

琴美はソファに寝転びながら、手元の歴史教科書を眺めている。

「ねぇねぇ、みんな!昭和の歴史って試験に出ると思う?」琴美が突然話しかける。

「出るかもしれないけど、あんたのやり方じゃ絶対落ちるよ。」沙羅が冷たい目で答える。

 琴美は胸を張りながら反論する。「何言ってんの!私、昭和の文化なら任せてよ!この教科書に載ってない昭和の知識まで網羅してるんだから!」

「いや、教科書の内容覚えろよ!」真平が即ツッコミを入れる。

一方で、シャオは机の上に日本語の参考書を広げながら、何か書き込んでいる。

「シャオ、何やってんだ?」勇馬が興味津々で覗き込むと、そこには「パォ!」の文字が大きく書かれていた。

「パォ~!試験で使えそうな感嘆詞を練習してます~!」シャオが満面の笑みで答える。

「使えないだろ!その文字!」真平がツッコミを入れると、シャオは首をかしげる。

「でも、覚えたら気分が上がります~。」シャオの言葉に、みんな一瞬だけ静まり返る。

「……まぁ、シャオらしいよな。」沙羅が肩をすくめる。

 美優は紅茶を淹れながら、教科書をぱらぱらとめくっている。

「えへへ~、試験勉強って、なんだか楽しいですね~。」美優がほのぼのとした声で言う。

「何が楽しいんだよ…。」真平が呆れながら彼女のノートを覗くと、そこには可愛いイラストと「がんばるぞ!」の文字だけ。

「いや、勉強してないじゃん!」真平が指摘すると、美優は笑いながら紅茶を差し出す。

「真平先輩も、紅茶飲みながらリラックスしてくださいね~。」

「おい、俺に勉強させる気あるのか…?」

 勇馬はというと、ノートにびっしりと計画を書き込んでいる。

「これで試験までに全範囲を3周できます。あと、教科ごとに重点を置くべき箇所をリストアップしました。」勇馬が自信満々に説明すると、琴美が目を輝かせた。

「さすが勇馬!ちょっとその計画、私にも教えてよ!」琴美がすり寄るが、勇馬は淡々と断る。

「琴美先輩、まずは教科書を読むところから始めてください。」

「ぐっ…!」琴美は言葉を詰まらせた。

真平は机に向かいながら、頭を抱えている。

「やばい…数学全然分かんねぇ…。」真平がうめくと、琴美が隣から肩を叩く。

「大丈夫よ!数学なんて昭和精神で乗り切れるわ!」

「そんなもんで乗り切れるか!」真平が叫ぶと、琴美はにやりと笑う。

「じゃあ、私が教えてあげるわ。1+1が2でしょ?これが昭和の知恵よ!」

「幼稚園からやり直せ!!」

 琴美が突然、机を叩いて立ち上がる。

「みんな!ただ勉強してるだけじゃつまんないでしょ!昭和風の試験対策をやるわよ!」

「昭和風の試験対策ってなんだよ…。」真平が警戒しながら尋ねる。

「答えは簡単!昔ながらの百人一首風クイズ大会よ!勝った人には、私が手作りのおにぎりをプレゼントするわ!」

「絶対いらない…。」沙羅が小声で呟く。

 結局、試験対策のはずが、琴美の企画でクイズ大会が始まり、部室は大騒ぎに。

「昭和47年に公開された特撮映画は?」琴美が問題を出すと、シャオが勢いよく手を挙げる。

「パォ!ゴジラです~!」

「正解!さすがシャオ!」琴美が盛り上がる中、真平がため息をつく。

「おい、これで試験に出たら奇跡だぞ…。」

「でも、なんか楽しいですね~。」美優がほんわかと笑い、勇馬はノートを閉じて呟く。

「まぁ、こういうのも悪くないですね。」

日ノ本文化部のメンバーは、試験直前にもかかわらず、相変わらずの賑やかさを見せていた。結果がどうなるかは、神のみぞ知る――。


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