勇馬の誕生パーティー
5月1日、快晴の午後。部室には風船やカラフルな装飾が施され、賑やかな雰囲気が漂っていた。日ノ本文化部のメンバーが集まり、勇馬の誕生日を祝う準備が整っている。
「さぁ、みんな準備はいいわね?」琴美が腕を組み、仕切り屋モード全開でメンバーを見渡す。
「ええ、完璧。」沙羅が机の上に手作りのカードを並べる。「ちなみに勇馬へのプレゼント、あたしはこれね。」
カードには「昭和の技術者バンザイ!」と書かれたメッセージと、レトロなデザインのUSBメモリが添えられている。
「私は昭和風にアレンジしたカップケーキです~。」美優がほんわかと微笑みながら、昭和レトロな柄のカップケーキを運んできた。
「俺はこれ!」真平が手に持っていたのは、勇馬が密かに探していたという、昭和のゲームカートリッジ。
「いや、これリサイクルショップで見つけたんだぞ。貴重だろ?」
「パォ~!私、昭和っぽいけど台湾のお菓子を持ってきました~!」シャオが袋を掲げる。中身はパイナップルケーキ。
琴美が得意げに言った。「私のプレゼントは、昭和風の誕生日帽子よ!勇馬に似合うように特注したんだから!」
「それただの新聞紙で作ったやつじゃないか…」沙羅が冷ややかに突っ込む。
部室のドアが開き、勇馬が少し照れた様子で入ってきた。「みんな、何してるの?」
「勇馬!誕生日おめでとう!」琴美が勢いよく声を上げ、全員が拍手。
「えっ、これ全部僕のために?」勇馬が驚きと感動の表情を浮かべる。
「そうよ!あんたがいなかったら、日ノ本文化部のITなんて成り立たないんだから!」琴美が胸を張る。
「それに、普段お世話になってる分、今日は盛大に祝うべきでしょ。」沙羅がカードを渡す。
「ありがとう!こんなにしてもらえるなんて思わなかった…」勇馬が少し照れくさそうに笑う。
「それじゃあ、パーティーのメインイベントよ!」琴美が力強く宣言する。「昭和風のゲーム大会を開催するわ!」
部室に設置された古いゲーム機に、持参したゲームカートリッジをセット。順番にプレイし、スコアを競うことに。
「勇馬が得意なゲームで勝負するのも面白くないから、今日はハンデとして、みんなが自由に設定したルールでやるわよ!」琴美が得意げにルールを説明。
•真平: 勇馬に挑戦するが、操作が分からず敵に突っ込むばかり。「これズルいだろ!」と叫びながら完敗。
•沙羅: 意外にも冷静に攻略し、勇馬に迫るも、最後の一撃で逆転負け。「あんた、余裕ありすぎじゃない?」
•美優: 操作方法を全く理解せず、キャラクターを逆方向に動かす。「えへへ~、これも楽しいですね~。」
•シャオ: ボタン連打だけで予想外に得点を稼ぎ、みんなを驚かせる。「パォ!私、強いです~!」
•琴美: ルール無視のプレイで大暴れ。「昭和の魂でゴリ押しよ!」と叫ぶも、勇馬にあっさり負ける。
宴もたけなわ美優が勇馬を促す
「勇馬さん、スピーチスピーチ」照れくさそうに勇馬は立ち上がり
「えっと、みんな…今日は本当にありがとう!」
勇馬は軽く眼鏡を直しながら、感謝の言葉を続けた。
「僕、正直言うと、こんなに盛大に誕生日を祝ってもらえるなんて思ってなかったんだ。みんなが用意してくれたプレゼントも、ケーキも、ゲームも…全部が特別なものに感じるよ。」
真平が「俺のプレゼントのゲームカートリッジが一番だろ?」と茶化すと、勇馬は笑いながら応じた。
「もちろん!それも含めて最高だよ、真平先輩!」
一瞬、勇馬は視線を部室の装飾や机の上のケーキに向け、言葉を選ぶように間を置いた。
「僕が日ノ本文化部に入ったのは、昭和の文化が好きだったから。古いものに興味があったし、みんなで楽しく活動できると思ったんだ。でも、実際にこうして過ごしてみると、それ以上のものをたくさんもらえた気がする。」
琴美がニヤリと笑いながら、「そりゃあ、あたしが部長だからね!」と突っ込むと、部員たちは笑い声を上げた。
「いや、もちろん琴美先輩のリーダーシップもあるけど…それだけじゃなくて。」
勇馬は真剣な表情になり、改めて全員を見渡す。
「みんなと過ごす時間そのものが宝物なんだ。僕が作るものや考えるアイデアを、こんなに受け入れてくれる仲間がいるなんて、すごく幸せだよ。」
シャオが「パォ!勇馬、本当に嬉しそうです~!」と笑顔で声を上げると、勇馬も微笑み返した。
「これからも、もっと面白いことをやっていきたい。昭和の文化もそうだし、僕たちの日ノ本文化部だからこそできることを、一緒に見つけていこう!」
最後に深々と頭を下げて言った。
「改めて、本当にありがとう!僕は、みんなとこの部で過ごせて幸せです!」
部室は大きな拍手と歓声で包まれ、琴美がすかさず号令をかける。
「よーし!日ノ本文化部、これからも昭和魂を燃やしていくわよ!」
「おーっ!」全員が拳を突き上げ、勇馬の誕生日パーティーは笑顔の中で締めくくられた。
パーティーの終盤、突然部室の電気が消える。
「なにこれ!?停電?」真平が驚くと、琴美が笑い声を上げた。
「勇馬、実はもう一つプレゼントがあるのよ!」電気が再びつき、テーブルの上には勇馬の名前が入った特製ケーキが登場。
「これ、みんなで作ったのよ!勇馬、吹き消して!」琴美がケーキを前に差し出す。
勇馬がろうそくを吹き消すと、全員が「おめでとう!」と声を揃えた。
「やっぱり日ノ本文化部、最高です!」勇馬の言葉に、全員が笑顔でうなずく。
こうして、勇馬の誕生日パーティーは笑いと感動で包まれた中、無事に幕を閉じた。




