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桜の下に、文化が咲いた

そして迎えた、文化部お花見当日――。

空は見事な快晴。まさに桜日和。

那須塩原・黒磯公園の桜は、まさに今が見頃。ふんわりと広がる薄紅色のトンネルが、文化部員たちを待っていた。

「よしっ、文化部、出発ーーー!!」

琴美が大きなトートバッグを背負って叫ぶ。

「この昭和フラッグ、風になびいて最高ね!!」

旗の柄は“昭和”の文字と謎のラジカセマーク。勇馬作。

「ブルーシート三枚、手持ち完了!」

真平が荷物持ちを担い、地味に一番重労働担当。

「パォ~! お花見団子、崩れてませんようにぃ~!」

シャオは保冷バッグを持ちつつスキップ。

「うふふ、みなさんの分、三色団子30本です~♪」

美優はお花見仕様のピクニックバスケットを両手に。

「……弁当忘れたら全てが台無しよ。確認3回済み」

沙羅は冷静にリストチェック中。

「今日は日台文化交流の日でもあるからな……」

ズーハンはカメラを提げて同行、どこか張り切っていた。

そして――

「うぉぉぉ!! 圧巻の桜並木!! これぞ日本の春ーー!!」

到着早々、琴美が感動の声を上げる。

目の前に広がるのは、満開の桜とのどかな広場、池の水面にも映る花びらの影。

その中央に、文化部が持ち込んだ巨大ブルーシートが展開されていく。

「うん、桜の木の真下、ここに決定ね!」

「傾きチェック完了、シート固定いきます」

「パォ!三色団子は日陰に避難~!」

準備が着々と進み、文化部の特製「昭和お花見空間」が少しずつ形を成していく。

その一角では…

「なぁ沙羅、鉄板焼きするのはいいけど準備不足じゃないか?」そう言いながら鉄板と着火剤しか用意してない沙羅に真平は不安になる。

そんな真平などお構いなしに沙羅は準備を進める、「ねぇ空き缶4つ拾ってきてよ」鉄板の設置場所を入念にまっ平にしながら沙羅は真平に言った。

「うわっ、駄菓子屋コーナーできてる……」

萌花が感激しながら、並んだラムネやヨーグル、うまい棒を見つめている。

「これが……“紙風船つかみ取り”……?」

巫鈴は思わず眉をひそめながらも、輪投げ台を興味深そうに見ていた。

「イントロ当てクイズは13時からね。ラジカセ、テストよし!」

琴美はもう司会者モード。

「……まだ午前中なのに、テンションが打ち上げレベル」

ズーハンがぽつりと呟くが、口元はわずかに緩んでいた。

全員が、それぞれの役割で桜の下を走り回る。

笑い声、春風、昭和メロディー。黒磯公園は今日、文化のテーマパークになる。

そして、真平がポツリと漏らす。

「……これ、もはや“花見”じゃなくて、“昭和フェス”だろ……」

すると琴美が、満面の笑みで振り返る。

「そうよ! 名付けて――“昭和春一番フェスティバル in 黒磯”!」

「今名付けたな!?!?」

全員が笑い、桜の花びらが舞い上がる。


午後――。

太陽がちょうど真上に差し掛かり、黒磯公園の桜が柔らかな影を作り始める頃。

「それではっ!!」

琴美が昭和ラジカセ型のハンドマイク(※勇馬の自作)を手に、ブルーシートの中央で立ち上がった。

「文化部主催、“昭和春一番フェスティバル in 黒磯”、開幕いたしまーすっ!!」

\イェーイ!!/ \パォーーッ!!/ \うふふ~♪/

拍手と手拍子が広がるなか、すでに周囲には一般の花見客もちらほら集まっていた。

そう、これはほぼ公開イベントのようになっていた。

「ではまず! 第一部は“昭和イントロ当てクイズ”からよ! 優勝者には特製・純喫茶風プリン引換券!」

「えっ!? あたし作ってないんだけど!?」美優が思わず叫ぶ。

「急ごしらえでもなんとかなるって! 昭和魂よ!」琴美は気にしない。

「……“魂”の押し売りはやめてくれ」真平が苦笑。

イントロクイズでは――

・「UFO」イントロでシャオが謎のUFOポーズをしながら正解

・「ルビーの指環」ではズーハンが無言で手を挙げる →「……家で予習した」

・「時をかける少女」には、美優が「えへへ~」と口ずさみながら正答、会場ほっこり

「いや、これ全員けっこう強いのなんで!?」と真平がツッコむ中、

最終問題は琴美が全力で外し、結局勝者は沙羅に。

「ご褒美は“プリン”……じゃなくて、あんたたちの片付け手伝い免除ね」

冷静な“実利”発言に一同納得する。

その後も、

✔ 昭和ファッションスナップ大会(シャオが謎のボディコン衣装で爆走)

✔ フラフープ昭和チャレンジ(巫鈴と萌花が思いのほかハマる)

✔ 紙芝居「昭和の名作劇場」(勇馬の渋い朗読に泣く子どもも?)

……とイベントは続き、

「さあラストは、沙羅の鉄板焼きコーナーです!」

「って、なんで私がメインイベント扱い!?」

沙羅のツッコミをよそに、真平が空き缶台座に鉄板を設置し、

沙羅が見事な手際で焼きそばを炒めていく。

「おお~香りがやばい! 昭和の屋台って感じ!!」

「パォ~! お祭りみたいだヨ!」

「えへへ~、これ食べたら、たぶん100年元気です~♪」

それぞれの皿に盛られた焼きそばは、

まさに文化部の汗と情熱の味。

そして、桜が風に揺れる中――

「……じゃあ、最後に一本、火を灯しましょ」

美優がそっと線香花火を差し出した。

夕暮れの柔らかな光の中、

皆の手に灯る小さな火花が、ぱちぱちと弾ける。

「今年の春も……全力で騒がしかったね」

沙羅がぽつりと言い、琴美が胸を張る。

「いいのよ、それが文化部!――だって!」

「「これが昭和魂よ!!」」

全員が笑い、風に花びらが舞う。

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