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燃えよシャオメイ

 掃除が一通り終わると沙羅が琴美に詰め寄る。「なっなによ」

「あんた分かってんでしょ?」いぶかしげな表情をする琴美。

「八つ裂きよ、や・つ・ざ・き」みんなはそれを聞いて「あぁ~」となる。  

 琴美は「チっ」と舌打ちしてバツが悪そうに下を向く、 「お菓子ですかぁ」「それは八つ橋」天然の美優に冷静な沙羅。

「部長なんだからケジメだけはつけなさいよ!」目が本気だ、沙羅はマジギレしてる。沙羅の迫力に圧倒されかけたころ。

「おいおいおいおいこんな面白いイベント一回で終わりにするつもりでないだろ?ポイント制で一年、 毎週月曜持ち寄る強制なし、持ってこれなければポイント入らないだけ、日ノ本文化部なんだぜ俺たち常に昭和を探すレーダー立てなきゃ、そうだろ琴美」  真平はでまかせに近い説明をした。すると

「常にレーダー立てて昭和を探す!!!感動しました」と勇馬。

「うふふ、毎回楽しいことがあるんですねぇ~」と美優

「今度はなに爆発するか?」とシャオ、全員で「それはない!!!」

「だから、なっ沙羅?」真平の何を言いたいのか察した彼女は、表情を和らげ 「八つ裂きは一年後かぁ~はぁ~帰ろ帰ろ」そうぼやきながら部室を後にする。

 部室からの帰り道、琴美は改めて反省の色を浮かべながらも、どこか楽しそうな笑みを浮かべていた。

「やっぱり日ノ本文化部、最高ね。次こそもっとすごいことやってみせるわ!」と意気込む。

 真平が隣で深いため息をつく。「次こそ爆発させるなよ。頼むから。」

 沙羅は肩をすくめ、「まあ、あんたがそれで学んでくれるならいいけどね。」

 勇馬は瞳を輝かせながら、「僕も昭和の新しい何かを見つけてきます!先輩たち、楽しみにしててください!」

 一方で、美優とシャオは二人で談笑しながら歩いていた。

「ねえ、シャオちゃん。さっきの綿菓子、ちょっとだけ食べてみたけど…おいしかったよ~。」

「パォ!それ、ずるいです~!私も食べればよかった~!」

 二人のほんわかとしたやり取りを聞いて、琴美は後ろを振り返りながら笑顔で言う。

「次はちゃんと動かせる綿菓子機、手に入れておくから覚悟してなさいよ!」

 沙羅が眉をひそめて突っ込む。「もう綿菓子はいいから、せめて普通の機械にしてよね。」

 その言葉に、琴美は腕を組んで得意げに言い返す。「普通じゃ面白くないの!昭和のロマンは、少し不器用なくらいがちょうどいいのよ!」

 真平は空を見上げて、苦笑いを浮かべながら呟いた。「まったく、騒がしいけど楽しいよな、この部活。」


 その日は、穏やかな空気が流れる部室で始まった。

「みんな聞いて!次の企画は、昭和風の『武道大会』よ!」琴美が拳を突き上げながら叫ぶ。

「ちょっと待て、武道って…またどっかから変な道具持ってくるつもりじゃないよな?」真平がすかさずツッコミを入れる。

 琴美はニヤリと笑い、部室の隅から何かを取り出した。それは古びた木製のヌンチャクだった。

「これよ!昭和のアクション映画で大人気だった武器、ヌンチャク!」

「いやいや、昭和っていうかブルース・リーだろそれ!」沙羅が冷静に指摘する。

「細かいことはいいの!これを使って、日ノ本文化部は新たなステージに挑むのよ!」

 するとシャオがそっと手を挙げた。「えっと…それ、ちょっとだけ見せてもらってもいいですか?」

「いいわよ!シャオ、昭和の武道に興味あるの?」琴美がヌンチャクを渡すと、シャオはふんわり笑いながら受け取った。

「私、少しだけヌンチャク使えます~。」シャオがふわっとした声で言いながら、ヌンチャクを軽く振り始める。

 次の瞬間、部員たちは目を疑った。

 シャオの手に渡ったヌンチャクは、まるで生き物のように回り始め、勢いよく宙を舞った。彼女の動きはあまりに滑らかで美しく、風を切る音が部室に響き渡る。

「な、なにこれ!?めっちゃ本格的じゃん!」真平が目を見開く。

 シャオはヌンチャクをくるくると回しながら、「台湾では、ちょっとだけカンフーを習ってました~。」と控えめに説明。

「ちょっと!?今のどこが『ちょっと』よ!」沙羅が思わず叫ぶ。

「パォ!でも、まだまだ初心者です~。」シャオは照れくさそうに笑うが、その表情とは裏腹に、完全に達人の域に達している。


「よーし!これは使えるわ!」琴美が嬉しそうに手を叩く。「日ノ本文化部カンフー教室を開講するのよ!昭和のアクション映画みたいに戦える部員を目指すの!」

「いや、何目指してんだよ…」真平が呆れるも、琴美の暴走は止まらない。

 シャオが部室の中央に立ち、簡単な動きを教え始める。

「まずは、この構えを覚えましょう~。」シャオがゆっくりと足を開き、手を前に構える。

 勇馬が真剣に真似しようとするが、バランスを崩して後ろにひっくり返る。「い、意外と難しいですね…!」

「勇馬、昭和魂で立ち上がるのよ!」琴美が応援するが、勇馬は完全にくじけ気味だ。

一方、美優はぼーっとした表情で適当に構えを真似するだけ。「えへへ~。なんかこれ、面白いですね~。」

 その姿を見た沙羅が呟く。「絶対カンフー向いてないでしょ、あんた…。」

「じゃあ、みんな!次は実践よ!」琴美がそう言うと、シャオが立ち上がった。

「誰か、一緒にやりたい人~?」と笑顔で尋ねると、部員たちは一斉に後ずさる。

「おいおい、誰が挑むんだよ。」真平がぼやくと、琴美が彼の背中をドンと押した。

「真平、ここは男子として名乗りを上げなさい!」

「なんで俺なんだよ!」真平が抗議する間もなく、シャオが嬉しそうに構えを取る。「真平先輩、優しくしますから安心してください~。」

「それが一番怖いわ!」真平が叫ぶも、シャオはお構いなしに動きを見せ始めた。

ヌンチャクを軽く振るだけで風が真平の顔をかすめる。「え、ちょ、待て!これ普通に危ないって!」

しかしシャオはそのまま足払いを繰り出し、真平は華麗に転がされた。

「パォ!やっぱり楽しいです~!」シャオはニコニコしながら真平に手を差し伸べた。

「どこが楽しいんだよ…」真平は泣きそうな顔で立ち上がる。


 その後もシャオのカンフー教室は大盛況(?)だったが、ほとんどの部員が筋肉痛で次の日動けなくなった。

「これ、ただの拷問じゃない?」沙羅がストレッチをしながらぼやく。

「いやいや、これぞ昭和の根性よ!」琴美は相変わらず元気だった。

 美優が腕を軽く振りながら言う。「えへへ~。なんか体が軽くなった気がします~。」

「いや、お前が一番適当にやってただろ!」真平が突っ込むと、美優はニコニコと笑うだけだった。

一方、シャオはヌンチャクを丁寧に片付けながら言った。「また次回も練習しましょうね~。」

「次回なんてないからな!」真平が声を荒らげたところで、部室の窓から心地よい風が吹き込んだ。


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