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日ノ本文化部 カオスな年明け大作戦!

年が明けたばかりの朝。

外はまだうす暗く、白い息がほわほわと空に消えていく。

「うぅ……寒いぃ……」

「眠い……」

みんな、花屋旅館の玄関前でぶるぶる震えながら出発の準備をしていた。

「行くわよー!日ノ本文化部・新年初詣ミッション、スタート!!」

元気だけは満タンの琴美が、手袋ごしに拳を突き上げる。

「いや……テンション高いの琴美だけだろ……」真平が半目でぼそり。

でも、なんだかんだでみんなニコニコ。

着込んだダウンジャケットに、マフラーに、ニット帽。

「防寒フル装備」の文化部一行は、琴美が先頭を切り美鈴が後ろからシャオと萌香がバカなことしないか見張る感じで旅館からかなりある黒磯神社へ向かう。


「パォ~!お正月の神社、初めてです~!」

シャオはきらきらした目で境内を見渡して、バタバタ走り回り、とうとう――

\ドン!/

「パォ!!神様のおうちだー!!」と、本殿の鈴にダイブしかけた。

「こらあああ!!神様に突撃するなあああ!!」

神主さん(初老)が慌てて止めに入り、シャオはぺこぺこと謝りながら退散。

「パォ……神様、すごい……」

「はぁ、もう……最初から波乱だな」

沙羅が頭を抱えた。そのままシャオに正しい参拝の仕方を教えそのまま恒例、みんなでおみくじ勝負!

「今年の運勢、いっくぞ~~!」琴美が元気よく引き抜き、ぺらりと開いた。

「末吉……」

\しーーーん……/

「今年一年、微妙にぐらぐらするの確定か……」琴美が肩を落とす。

「私は~♪大吉でしたぁ~♪」美優がふわふわ微笑んで、おみくじを揺らして見せる。

「天使……」一同、神社で拝みそうになる。

シャオは「パォ!小吉ってかわいい名前です~!」とポジティブ全開。

勇馬と真平はふたりそろって「吉」という微妙な連帯感を得ていた。

「やった~大吉!」萌香が純粋に喜び、美鈴は「ふんっ」と鼻をならした。「なんだ、よくなかったのか・・・」真平が聞くと「大吉・・・」とぶっきらぼうに答えた。

お参りも終わり、旅館に戻れば往復でけっこうな時間、いい運動である。

「よしっ、せっかくだから朝風呂行こう!旅館の温泉、朝も入れるでしょ!?」

琴美の提案に、みんな一斉に大賛成!

そのまま一行は、雪を踏みしめながら旅館へ戻り、今度は温泉大作戦へと突入する。


男子組と女子組、それぞれに分かれて大浴場へ。

「いや~、極楽だなぁ~……」湯船に浸かりながら、真平がしみじみ。

「パォ~……あったかくて、幸せです~……」シャオもぷかぷか浮かびかけている。

……が。

「タオル忘れた!!」シャオが急に立ち上がり、バタバタと脱衣所へ戻ろうとする。

一方、女子組も同じころ、浴場への入り口に到着。

「ほらシャオ、早く~」琴美が声をかけた瞬間――

\ドンッ/

廊下の角で、バスタオル1枚のシャオと勇馬が――

正面衝突。

\パォォォォーー!!/

\……ッッ!!/(勇馬、顔真っ赤にフリーズ)

\ギリギリセーフ!!!/(※衝突と同時に勇馬は気絶寸前回避)

「な、な、な、なんでバッタリ遭遇してんのよ!!?」琴美が真っ赤になりながらシャオを引きずり戻す。

「ご、ごめんなしゃいぃ~パォォ~~……!」

男子組・女子組、双方でわたわた大パニック。

最終的に――ギリギリのところで事なきを得たが、勇馬は「バスタオルシャオ遭遇事件」により、その後30分ほど湯船の底で沈没していたという……。


騒動も冷めやらぬまま、みんなで朝食会場へ。

「いやー朝から騒がしかったなー!」真平が苦笑しながら湯気の立つ味噌汁をすする。

「パォ~……私、まだ心臓がどきどきしてます~……」

「勇馬、大丈夫か……」沙羅が心配するが、

「……生きてる……」勇馬はうなだれたまま、温泉たまごをつついていた。

「でも、みんなで初笑いできたね!」美優がほっこり笑う。

「うん!今年も、文化部らしくスタートできたね!」琴美が元気よく手を叩いた。

こうして――

日ノ本文化部の一年は、笑いと湯気と、ちょっとした赤面事件とともに、最高ににぎやかに幕を開けたのだった!


温泉朝ごはんのあと、こたつでまったりしていた文化部メンバーに――

「パォ~!実は……うちの家族、ここに泊まってるんです~!」

シャオが突然爆弾発言。

「えっ!?」(全員)

「……てことは、ここに来るってことか?」真平が目をぱちぱちさせる。

「はい~!」シャオは無邪気にスマホを振った。

その時、襖が開いた。

「パォ!?お父ちゃん!!」

「早すぎィィィィ!!」

そこに現れたのは――

王立徳シャオパパ:スーツバシッと決めた財閥会長。めちゃくちゃ威厳オーラ。

王美玲シャオママ:超優雅なマダム。笑顔なのにどこか怖い。

・王天翔(兄):超イケメンエリート、なぜかオーラが“ボスキャラ”。

・王豊明(姉):アナウンサー&コスプレマニア、休日モードでテンション高い。

・王子涵(弟):ヤンチャ系だけど礼儀正しい15歳男子。

一族勢ぞろい――まさに“王家、来襲”。

「す、すげぇ……」真平がポカーン。

「この旅館の空気が一気に……ゴージャスに!?」

琴美もアワアワ。

「パォ~、お父ちゃん明けましておめでとう!」

「だから娘・・・人前でお父ちゃんはやめなさいと・・・」

シャオが満面の笑顔で、一同、場違い感にプチパニック。

そんな中、シャオパパ・王立徳が一歩前に出る。

「……娘がいつもお世話になっております。」

深々と頭を下げるその様子は、さすが財閥トップ。

「と、とんでもないですっっ!!」文化部員たちも思わず即お辞儀。

すると――

「これ、心ばかりの……お年玉です。」

\すっ……/

立徳が取り出したのは、なんと分厚い【封筒束】。

「ひとり一封、どうぞ」

\ぽかーん……/

「えっ、ええっ!?!?!?」

文化部、全員硬直。

「パォォ~!パパ太っ腹~!!」

中身をちらっと見た琴美、思わず

「えっ?これ栄一……何人……!?」目が回る。

「これ、下手したら一か月バイトしなくていいレベルじゃない!?」沙羅も絶句。

「俺……これ、人生で初めて“腰が抜ける”って体験したかも……」真平がぺたりと座り込んだ。

さらに――

「真平ちゃん、大丈夫?でもさ……」と萌香が小声で悪魔のささやき。

「これでお年玉ドリーム作戦できるじゃん!!」

「はぁぁぁぁぁ!?!?」

「まず、お菓子1年分買い占めて~、それからゲーム機新型買って~、あと漫画と……」

「バカやろう!!」

真平、即座に萌香の頭をペシッ。

一方、美鈴は腕組みしてジト目で兄を見ていた。

「……お兄ちゃん、変な使い方しないでよ。絶対に。」

「はい、すみません。」

即答する真平だったが――内心「ゲーム……ちょっとだけ……いやでも……」と葛藤していた。


一方子涵は生徒会長の博美が不在に気づいて「あの博美さんは・・・?」と尋ねると「博美先輩実家に帰省中」と言われこの世の終わりのような表情になった。

旅館中がてんやわんや。

「やっぱりシャオの家族、ただものじゃなかった……」沙羅がぼそっとつぶやくと、

「でも……なんか、にぎやかで楽しいね!」美優がにっこり微笑んだ。

冬の朝の空気の中、文化部と王家一族の“カオスな新年”は、こうして賑やかに幕を開けた――。



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