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日ノ本文化部、笑って年越しパーティー!

夕方、文化部の掃除&餅つき後、まったりタイム。

琴美がふと口にする。

「で、みんな……年越し、どうする?」

シャオが「パォ?部室でお泊りしますか~?」と目を輝かせるが、真平が即座に冷静に突っ込む。

「校舎、年末年始閉鎖されるからな……」

「パ、パォ!?」(撃沈シャオ)

そこへ、美優がぽわっと笑いながら提案する。

「えへへ……もしよかったら……私の家の旅館、“花屋”で年越ししませんか?」

一同、一瞬ぽかん。

琴美が慌てて両手を振る。

「いやいやいや!美優の家には、今年だけでもGWと夏休みでもう二回もお世話になってるのよ!?さすがに悪いって!!」

でも美優は、ふわっと首を振った。

「実は……シャオちゃんのおうち、王家財閥さんが――」

シャオがパッと顔を上げる。「パォ!」

「この前の台湾旅行のおかげで、日本国内の拠点を探してたらしくて……うちの“花屋”を、そのひとつにしてくれることになったんです~」

「へ……?」琴美の脳が追いつかない。

「つまり」勇馬が補足する。

「“花屋”は、王家グループ公認の、日本活動拠点になった。だから、むしろ今まで以上に、たくさん人に利用してもらった方がいいってことだ。」

沙羅がぽつりと付け加える。

「つまり……日ノ本文化部、花屋旅館、シャオの実家財閥――全部が繋がったってわけね。」

「すご……!なんか、急に規模デカくなってない!?」

琴美が驚きながらも、少し目を潤ませる。

「でも、それもこれも、文化部みんなで頑張ったおかげ、ですねぇ~」

美優がにっこり。

シャオも嬉しそうに飛び跳ねる。

「パォ!みんなで年越ししましょう!お雑煮たべましょう!初日の出みましょう!」

琴美はぐっと拳を握りしめる。

「……よし!決めた!花屋旅館で、みんなで年越しだぁああ!!」

\わぁぁあああ!(全員)/

その決定の瞬間、外には静かに雪が降り始めていた。

――そして、文化部の新たな年末年始伝説が、今まさに幕を開けようとしていた。


大晦日、夕方。

雪がしんしんと降り積もる中、文化部の一行は、美優の実家「花屋旅館」に到着した。

「わぁぁあ……!イルミネーションきれい!!」

琴美が歓声を上げる。

旅館の庭には、雪化粧をまとった紅葉の木々に小さな明かりが灯され、まるで別世界のような幻想的な風景が広がっていた。

「これ全部、花屋のスタッフさんが飾り付けしてくれたんだって~」美優がにこにこと案内する。

「パォ!ここ、ほんとに旅館ですか!?夢の国!?」

シャオが大興奮で走り回ろうとして、沙羅に襟首をつかまれる。

「ちょっと落ち着け、パォモンスター。」

「うちは今日は特別に、家族貸切でいいって許可もらってるから、気兼ねなく過ごしてね~」と美優。

「おおおおおお!!!神か!!!」琴美が土下座しそうな勢い。

荷物を置き、大広間に案内されると――

そこにはすでに年越し仕様の飾り付けがされ、暖かいこたつと、巨大スクリーンが用意されていた。

「こたつ……!」

「大画面……!」

「パーティーセット……!」

(テンション爆上がり)

そして案の定――

「じゃあさっそく、年越しパーティータイムだああああ!!」

 琴美の号令とともに、年越しパーティーがドタバタとスタートした。

「いくわよー!カウントダウン前に、まずは景気づけよっ!」

 琴美が勢いよくパーティークラッカーを鳴らした、その瞬間――。

\バンッ!/

「ぐわぁぁあっ!?!?」

 弾け飛んだ紙テープが、真正面にいた真平の頭を直撃。

 真平は頭を抱えて蹲った。「うわあああ!今年最後にトラウマ増えたぁああ!!」

「パォ!?大丈夫ですかぁ!?」

 シャオが慌てて駆け寄るが、その手にはまだ半分口に含んだ餅。

 そして――

「パ、パォォ!!パォパォパォォーーッ!!」

 のどに詰まりかけたシャオが両手をばたばたさせる。

「うわ、シャオがパォってる!?誰か叩けー!!」

「背中だ!背中いけー!」

 みんなでシャオの背中をぺちぺち叩く中、美優が旅館の厨房から年越しそばを運んできた。

「みんなぁ~……できましたよぉ~……」

 と、のんびりした口調のまま、腰を押さえてその場にペタンと座り込む。

「えへへ……重たかったですぅ……」

「倒れた!?配達員が倒れたぞ!?」

「いや、そこ!?てか、そばすごい量!!」

 一同の動揺をよそに、勇馬が得意満面で持ち込んだ自家製の「昭和風手作りそばつゆ」を鍋に注ぎ込んだ。

「よし、完璧だ。」

 しかし、一口すすった瞬間――

「ぶふぉっ!?からっ!!」

「しょっぱ!!!」

「これ、飲む武器じゃない!?」

「パォォ……味覚が消し飛びますぅ……!」

 あちこちでむせる文化部員たち。

 さらに――

「……Zzz……」

 こたつでぬくぬくしていた沙羅が、気づけば本気で寝落ちしていた。

 その様子を見た萌香が、こっそりとマジックペンを手に近づく。

「お姉ちゃん、顔に……にゃんこ描いちゃおっかな~♪」

「やめなさいっ!!」

 沙羅が寝たふりからの必殺目開きで阻止。

 萌香は「きゃーっ!」と笑いながら逃げていった。

 ――混沌。混沌である。

「もう、いい加減にしなさい!!」

 バンッ!

 最後、ついに美鈴がテーブルを叩いて立ち上がった。

 冷静沈着なはずの彼女の声に、文化部全員がビシィッと背筋を伸ばす。

「年越しの瞬間くらい、ちゃんと迎えるの!」

「は、はいぃ……!」

 誰も逆らえず、直立不動になる一同。

 そして、部屋のスクリーンに年越し中継が映る。

 琴美が、最後の号令をかけた。

「カウントダウンだぞーーー!!」

「5!」「4!」「3!」「2!」「1!」

\ハッピーニューイヤーーーー!!!/

 クラッカーが再び鳴り、

 旅館の中庭では小さな手持ち花火がしゅるしゅると雪の中で輝いた。

「パォ!今年もよろしくお願いしますー!!」

 シャオが全力で飛び跳ね、

「来年も文化部、伝説作ろうな!」

 琴美が拳を突き上げる。

「今年こそ、文化部全国制覇だーー!」

「どこに!?誰に!?何を!??」

 真平が全力でツッコミを入れながら、

 笑い声と湯気と、ほんのり漂うそばつゆの香りに包まれ――

 日ノ本文化部の、新しい年が、元気に幕を開けた。



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