純喫茶ノスタルジア、伝説の一日
文化祭も佳境に入り、『純喫茶ノスタルジア』は相変わらずの大盛況。そんな中、部室の扉が静かに開き、小柄な女性が店内を覗き込んだ。
「ほほう……なかなかの雰囲気じゃない。」
「お市先生!?」
日ノ本文化部の顧問・織田市子先生が、いつもの落ち着いた微笑みを浮かべながら入店してきた。
「いや~、ようやく来てくれましたね!」琴美が嬉しそうに迎える。
「先生、ずっと文化部の活動を見に来なかったのに、今日だけは来るんですね?」真平が苦笑する。
「文化祭は別よ。私は『歴史を愛する者』として、純喫茶という文化をしっかり味わいに来たの。」
「パォ!先生、何を注文しますか?」シャオがメニューを手渡す。
市子先生はメニューをじっくり見つめ、しばらく考え込む。
「うーん、どれも昭和の香りがして素晴らしいけど……やはりここは、サイフォンコーヒーとプリンアラモードを頼みましょう。」
「おお~!先生、渋いですね!」琴美が拍手。
「プリンアラモードは、シャオの特製です!」美優がふんわりと微笑む。
数分後、勇馬が丁寧に淹れたサイフォンコーヒーが静かに先生の前に置かれる。
その隣には、シャオが盛り付けた美しいプリンアラモード。パンダクッキーも添えられた一皿だ。
市子先生は、まずコーヒーの香りを楽しむように深く息を吸い込んだ。
「……ふむ、良い香りね」
「おっ、先生にも刺さったか?」勇馬がにやりとする。
先生はコーヒーを一口飲み、静かに目を閉じた。
「……苦味と酸味のバランスが絶妙。そして、コクがある。この香ばしさ、まさに純喫茶の味。」
「よっしゃー!勇馬のコーヒー、先生の審査通過!」琴美がガッツポーズ。
次に、先生はスプーンでプリンを一口。
「……これはなめらかで濃厚……。昭和の喫茶店らしく、しっかりと固めに作られているのが良いわね。」
「パォ!シャオ、頑張りました!」シャオが誇らしげに胸を張る。
「こんなに美味しいプリンを食べたのは久しぶりよ。まさに昭和の贅沢ね。」先生は満足げに微笑む。
予想以上の盛況ぶりに、文化部のメンバーも気を引き締める。
「ここ、本当に文化祭の出し物?普通におしゃれな喫茶店じゃん!」
「メニューがめっちゃ昭和!ナポリタン食べてみたい!」
「うわ、クリームソーダの見た目最高すぎる!」
「ナポリタン一丁入りました!」琴美がオーダーを叫ぶ。
「ホットケーキ、もう一皿お願いします~!」美優が笑顔で注文を受ける。
真平と勇馬はマスター役として、サイフォンで丁寧にコーヒーを淹れる。
「おお……香りがめっちゃいい!」
「これぞ純喫茶のコーヒーだな……!」
シャオと沙羅はウェイトレスとして、慣れた手つきでお客様に料理を運ぶ。
「パォ!こちらクリームソーダでございます!」シャオがウインクしながらトレーを差し出すと、客の女子生徒たちは「かわいい!」と盛り上がる。
「お待たせしました!うちのピラフ、ぜひ召し上がってってね!」沙羅が自信満々に提供すると、「いい香り!」と大好評!
喫茶エリアの隣に設置した昭和コレクション展も大人気!
•ファミコンコーナー:「え、これが昔のゲーム機!?操作むずっ!でも楽しい!」
•レコード試聴コーナー:「うわ、レコードの音ってこんなに温かみがあるんだ……!」
•レトロ雑誌コーナー:「このアイドル、昔めっちゃ流行ったって親が言ってた!」
「ちょっと、ゲームに夢中になりすぎないでよ!飲み物冷めちゃうわよ!」琴美が苦笑する。
そんなやりとりを横目に、萌香がゲームコーナーでめちゃくちゃ強いという事態が発生。
「真平ちゃん、ファミコン下手ね。」
「お、お前、どこでそんなに鍛えたんだ!?」
文化祭も佳境に入り、いよいよ『純喫茶ノスタルジア』の特別イベント――昭和クイズ大会の時間がやってきた!
「みんな、お待たせ!ついに『昭和クイズ大会』の開幕よ!」
琴美がマイクを持ち、会場全体に向けて声を張り上げる。
「おー!」
店内にいた柔道部、女子バレー部、陸上部、男子サッカー部、そして生徒会のメンバーたちが次々と参加を表明する。
「さて、クイズは3ラウンド!テーマはもちろん『昭和の文化・歴史・流行』!優勝者には豪華賞品をプレゼント!」
「えっ、豪華賞品?」
「駄菓子詰め合わせセット、文化部特製オリジナルグッズ、そして――文化部員によるスペシャルサービス券!」
「スペシャルサービス券?」
「たとえば、琴美が一日メイドとしてお給仕とか!」
「それはアリなのか!?(笑)」真平がツッコむ。
「ま、まぁ、やる気のある文化部員がサービスするってことで……」沙羅がフォローする。
「じゃあ、クイズスタート!」
「第1問!昭和の喫茶店の定番スイーツ『プリンアラモード』、その発祥はどこでしょう?」
A. 東京・銀座
B. 横浜・元町
C. 神戸・三宮
D. 名古屋・栄
「うーん……銀座?」
「いや、神戸じゃね?」
「横浜の中華街のイメージあるし、元町じゃない?」
→ 正解は『B. 横浜・元町』!
「おお!シャオが当てた!」
「パォ!台湾でも人気だったから知ってました!」
「第3問!1970年代に大ヒットしたロボットアニメ『機動戦士ガンダム』初代ガンダムの型式番号は?」
A. RX-77
B. RX-78-2
C. RX-80
D. RX-90
「えっ!?そんなのわかんねぇよ!」柔道部員が頭を抱える。
「これはオタク問題ね……」美鈴が冷静に分析。
「BのRX-78-2!」勇馬が即答。
→ 正解は『B. RX-78-2』!
「うおおお!勇馬、やっぱ詳しいな!」
「まぁ、当然だな。」
「ラスト問題!1980年代のプロ野球界で活躍した王貞治選手が打ち立てたホームラン世界記録は?」
A. 750本
B. 755本
C. 868本
D. 888本
「これはスポーツ部が有利じゃね?」
「えっと……755本?」サッカー部のエースが悩む。
「868本!」真平が即答。
→ 正解は『C. 868本』!
「さすが日ノ本文化部、昭和ネタは強い!」
「パォ!王貞治選手は台湾の誇りです!」シャオが興奮。
「優勝は――勇馬!」
「おおお!やっぱりな!」
「ご褒美の駄菓子セットどうぞ!」
「……いや、俺、駄菓子より『文化部スペシャルサービス券』のほうが気になるんだけど。」
「えっ……?」
琴美が身構える。
「勇馬、何を頼むつもり?」沙羅が警戒する。
「じゃあ……シャオにチャイナ服姿でお茶を淹れてもらう、ってのはどう?」
「パォ!?///」
「お、おい、ちょっと待て!」真平が慌てる。
「うむ……妥当なリクエストね。」博美が冷静に頷く。
「じゃ、じゃあ勇馬!文化部のサービスとして心を込めて、お茶をお淹れします!」
シャオが頬を赤らめながら、お茶セットを持ってきた。
「純喫茶ノスタルジア、またのご来店をお待ちしております~♪」美優がふんわりと微笑み、店内には和やかな空気が流れる。
『純喫茶ノスタルジア』は大盛況のまま、文化祭のクライマックスを迎えた。
「いや~、めちゃくちゃ楽しかった!」
「みんなお疲れ様!」
昭和の雰囲気に包まれた喫茶店は、多くの思い出と笑いを残し、幕を閉じたのだった――!




