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優勝記念お好み焼きパーティー

 球技大会終了後の夕方。日ノ本文化部メンバーは、沙羅の実家『磯貝亭』で優勝祝賀パーティーを開催していた。

 店内には『祝優勝!日ノ本文化部』と書かれた特大の横断幕が飾られ、大勢の常連客たちからも祝福されている。

 沙羅の父・大悟が豪快に鉄板を操りながら上機嫌で叫ぶ。

「おらぁぁぁ!今日はウチの自慢のお好み焼き、たっぷり食ってくれ!」

 沙羅は呆れ顔で父に突っ込む。

「ちょっとお父さん!張り切りすぎてお店の材料全部使わないでよ!」

「娘!おまえうちの店さんざん宣伝したそうじゃないか?電話がひっきりなしだぞ」

テーブルいっぱいに並べられた熱々のお好み焼きを見て、シャオは目をキラキラと輝かせる。

「パォォォォ!!お好み焼きが山盛りだぁ!!夢みたいだよぉ!!」

 琴美が楽しそうに言う。

「シャオ、好きなだけ食べていいのよ!なんてったってアンタはMVPなんだから!!」

 シャオは勢いよくヘラを手にすると、大きなお好み焼きを一口で頬張った。

「あつ、あつっ……パォォォ!!おいひいよぉ~!」

 美優が笑顔でお茶を渡す。

「シャオちゃん、落ち着いて食べてねぇ~。」

 しかしシャオは幸せそうに両手を振り回す。

「やっぱりおいしいです!毎日でも食べたいよ~!!」

 沙羅は満足げに頷く。

「ま、気に入ってもらえて何よりね。」


 キャノン砲並みの返球で勝利を決めた博美も、席に座って静かにお好み焼きを味わっていた。

 すると巫鈴が笑顔で近づいてきて博美を褒める。

「決めては生徒会長の返球ですよ!学園中みんな驚いてましたよ。」

 博美は表情をほとんど変えず、淡々と返す。

「ふむ。適当に投げただけですが、まさかあれほどの威力が出るとは予想外でした。」

 琴美が思わずツッコむ。

「博美先輩、あれ適当だったんですか!?本気出したらどうなっちゃうんですか!」

 博美は静かにお茶を飲みながら答える。

「さぁ、どうなるのかしらね。」

「いや怖い怖い!笑顔で怖いこと言わないでください!」

 店内が再び笑いに包まれる。


 そんな中、シャオは次のお好み焼きをもう口に運んでいる。

「パォォォ!お好み焼き、おいしいよ!」

 真平が笑って言った。

「シャオ、いくらなんでも食べ過ぎじゃないか?」

 シャオは幸せいっぱいにニコニコと答える。

「いいのいいの!今日はお祝いだからカロリーゼロだよ!」

 沙羅がすかさずツッコむ。

「んなわけあるかっ!」

 そのやり取りに、琴美が笑いながら頷く。


 シャオが突然立ち上がる。

「みんな、わたしも料理を作るよ!特別に、台湾風炒飯をごちそうする!」

「えっ、シャオちゃん料理もできるの?」

 萌香が目を丸くして尋ねる。

 シャオはニッコリ微笑む。

「任せて!お兄ちゃんに教えてもらった台湾流の炒飯だよ!」

 手際よく炒飯を作り始めるシャオ。

「えっ調味料それだけしか入れないの?」勇馬が料理中のシャオに聞いた。

「そだよ~日本の炒飯!調味料入れすぎ!!」

 やがて「パォ!完成したよ!どうぞ召し上がれ~!」

 メンバーたちが炒飯を食べると、その味に驚く。

「うわ、すごく美味しい!あっさりだけど優しくて……!」

「シャオちゃん、料理の才能もあったのね!」

 シャオは恥ずかしそうに笑う。

「パォ……よかったぁ~。」

「父ちゃんこれうちで、出せないかなぁ」萌香が父大悟に聞く、

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」本気で検討中のようだ。


 パーティーの盛り上がりが最高潮になった頃、生徒会長の博美が静かにマイクを握る。

「あの、私からもお祝いの歌を……。」

 琴美がワクワクしながら叫ぶ。

「博美先輩が歌うの!?これはレアだわ!」

 博美がリクエストを聞くと、沙羅の祖父・辰夫が叫ぶ。

「それじゃあ、『津軽海峡・冬景色』をお願いしようか!」

 博美はうなずき、静かに歌い出した。

『上野発の夜行列車、おりた時から~♪』

「えっ……うますぎる!?」

 全員が息を飲むほどの美声!

 博美の美しい歌声に、店内はうっとりとした雰囲気に包まれた。

 シャオは驚きすぎて目を丸くする。

「パォォ!?博美先輩、歌手だったの!?」

 博美の熱唱に続いて、美優がふんわりとした笑顔で登場。

「はーい、私も歌いま~す。」

「美優ちゃん、曲は何?」

「『サウスポー』です~。」

 美優はぼんやり微笑みながら突然ノリノリのキレキレダンスを披露し始める!

『スーパースターのおでましい~♪ベンチのサインは敬遠だけど~♪』

「うわっ!?美優ちゃん、めちゃくちゃうまい!!」

 全員が美優の予想外の才能に大歓声。

 沙羅が衝撃を受けて叫ぶ。

「美優って歌う時だけ超キレッキレじゃん!?」

 美優はふんわり微笑む。

「なんかよく分かりませんけどぉ、こういうのだけ得意なんですよぉ~。」

 すると美優が、ほんわか微笑みながらポツリと呟く。

「文化部って、ホント楽しいですよねぇ~。なんだか私、この部活に入ってよかったですぅ~。」

 その言葉に、店内は再び温かい拍手に包まれた。


 こうして磯貝亭は日ノ本文化部メンバーの笑い声と歓声で賑わった。

「文化部、最高ね!優勝って素晴らしい!」

 琴美が満面の笑顔で叫ぶ。


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