文化部、爆笑の追加点
【4回裏】
文化部、奇跡的にピンチを脱して迎えた4回裏の攻撃。
スコアは依然、4-4の同点!
琴美がベンチで鼻息荒く叫ぶ。
「よーし、ここで点を取って、一気に試合を決めるわよ!!」
沙羅がバットを構えて打席に立つ。
「さっきのピッチングで腕がパンパンだけど……まあ、行くわよ!」
「沙羅、投げるのだけじゃなくて打つのもお願いね!」
「お好み焼き屋の娘をナメんじゃないわよ!」
サッカー部のピッチャーが慎重に投げる。
「ストライク!」
「くっ、腕が疲れてバットが振れない……。」
「沙羅!力じゃなくてタイミングよ!」
「琴美、あんたが言う!?」
沙羅、再び投球を待つ――
「ストライクツー!!」
「あ、やばいわね。追い込まれちゃった。」
するとベンチから萌香が叫ぶ。
「お姉ちゃん!鉄板だと思って振って!!」
「鉄板だと思って!?意味わかんないわよ!!」
沙羅、なぜか素直に実践。
(鉄板にお好み焼きをひっくり返す感じで……!)
サッカー部ピッチャーが投球!
「これで決める!」
「あっ!本当に打った!!」
沙羅の打球はサード強襲のゴロ!
「あっつ!!!」
サードが反応できず打球を落とす。
「えっ?サードどうしたの?」
「なんか球がめっちゃ熱いぞ!?手が焼ける!」
「いや、それ気のせいでしょ!!」
沙羅、一塁セーフ!!
「やったぁぁぁ!!鉄板打法成功よ!!」
「だからそんな打法ないって!」
続いて打席には萌香。
「よーし、お姉ちゃんに続くよ!」
萌香が元気よくバットを構える。
「ストライク!」
「うわっ!速っ!!」
「萌香ちゃん、冷静にね!!」
萌香、次の球を集中して待つ。
「ええぇぇ!?速すぎ!!全然見えないよ!?」
「萌香!!目じゃなくて心で見るのよ!!」
「お姉ちゃん、それ絶対無理だから!!」
しかし萌香、ここであることに気付く。
「そうだ……あの球を『お姉ちゃんのお小言』と思えば……!」
「おいコラ萌香、今なんつった?」
萌香、次の球を振り抜く!!
「お姉ちゃんなんて大嫌いだぁぁぁぁ!!!」
「おいっ!?お姉ちゃん関係ないだろ!?」
打球はセンター前ヒット!!
「やったぁぁぁぁ!!」
沙羅、二塁へ進塁!
「萌香!家に帰ったら覚えてなさいよ!!」
姉妹パワー(?)でチャンス拡大!!
そしてついに打席には、ほんわか系天然娘・美優が登場。
「はーい、私の番ですね~。」
ベンチが一気にざわつく。
「やばい、ついに最終兵器・美優の登場だ……!」
「あの天然娘、何するかわかんないからな……。」
「ある意味一番のジョーカーよね。」
美優、バットをふわっと構えて待つ。
ピッチャー、投球――!
美優、微動だにせず。
「美優ちゃん、振って!!」
「あれぇ?今、投げましたぁ~?」
「いやいや!投げてたでしょ!?」
次の球――!!
美優、また動かない。
審判「ストライクツー!」
「あらぁ~?今度こそ振ろうと思ったんですけど~。」
「早く振って!!」
追い込まれた美優。しかし次の瞬間――
「えいっ!」
美優、軽くバットを振る。
コツン。
「……え?」
打球は超スローモーションでピッチャー前に転がる。
「おっしゃ!楽勝でアウトだ!」
ピッチャーが捕ろうとするが、なぜかボールが急に方向転換。
「んん!?なんだこの動き!?」
ピッチャーが焦って捕球に失敗!
「あれぇ?なんか当たりましたぁ?」
「うそだろぉぉぉ!?」
まさかの美優、セーフ!!
沙羅も萌香も進塁し、まさかの満塁!!
「やったぁぁぁ!美優ちゃん最強!!」
「えへへ~、なんかよくわかんないけどよかったです~。」
こうして文化部、4回裏、ノーアウト満塁の絶好機!
「よし!!これは勝ったわね!!」
「いや、まだだぞ!油断するな!」
「次のバッター……えっと……」
ノーアウト満塁の大チャンス。
次のバッターは真平。
「よし、俺の出番だな!派手さはなくても堅実にいくぜ!」
琴美がベンチから激励する。
「真平!男を見せて!」
「お、おう……あんまプレッシャーかけんなよ……。」
真平、静かにバッターボックスに入る。
サッカー部のピッチャーが投げる――!
「ストライク!」
「速ぇぇ……でも、このチャンスは逃さない!」
次の球をじっくり待つ真平。
投球――!
「よし、打った!」
高々と上がる外野フライ!
「いいぞ、これなら犠牲フライだ!」
センターが捕球し、三塁ランナーの沙羅が猛然とホームに突入!
「沙羅!全力疾走よ!!」
沙羅、鬼気迫る勢いでホームイン!
審判「セーフ!」
文化部、貴重な追加点! 5-4 に!!
真平はベンチに戻り、得意げに鼻をこする。
「まあ、最低限の仕事はしたな。」
「真平、最高だわ!地味だけど!」
「……地味は余計だろ!」
続いてバッターは頭脳派の巫鈴。
「よし、ここでもう一押しね!」
巫鈴、鋭い目でピッチャーを睨みつける。
初球――!
「ストライク!」
(くっ……思ったより速いわね。でも大丈夫。)
巫鈴は冷静に次の球を狙う。
第二球――!
しかし打球は鋭いライナーとなり、ショートの真正面!!
「あっ!やばい!」
ショートが軽快にキャッチし、二塁ベースを踏む。
「えっ、ちょっと待って!?」
そのまま一塁へ送球――!
審判「アウト!ダブルプレー!」
「えぇぇぇぇぇ!?嘘でしょ!?」
琴美が頭を抱える。
「巫鈴ちゃん、なにしてんのよぉ!」
巫鈴は顔を赤くしながらベンチに戻る。
「くっ……これは計算外よ……。」
沙羅が呆れてひと言。
「あんた、頭脳派なんじゃなかったの?」
「うるさいわね!計算だって狂うことくらいあるわよ!」
ベンチで真平が小声でつぶやく。
「頭良すぎると逆にミスることもあるのか……?」
「うるさい!聞こえてるわよ!」




