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ラスボス!サッカー部!!

 午後から5イニングの決勝戦、部活対抗とはいえ合唱部や演劇部、文芸部などの文科系部活は一回戦で早々に敗れるなか新参者の日ノ本文化部の活躍は学園内でもちょっとした騒ぎになりだした。

日ノ本文化部は柔道部、バレー部、陸上部という強豪を次々と破り、ここまで勝ち上がってきた。

そして、決勝の相手は――

「日ノ本文化部 vs 男子サッカー部!!」

「うわぁ……最後の相手、よりによってサッカー部……」

「つまり……足が速くて、ボールコントロールが異常に上手い相手ってことね。」

「でも、サッカー部が野球できるの?」

「……実はサッカー部には、元リトルリーグ出身者が何人もいるらしい。」

「マジか!? それもう半分野球部じゃん!!」

「ついでに言うと、足の速さは陸上部以上、スタミナは無限、反射神経はバレー部並み、体の強さは柔道部クラス……」

「……何このラスボス?」

「文化部、決勝まで奇跡的に勝ち上がってきたけど……さすがにここが限界か……?」

一方、サッカー部のキャプテンは余裕の表情で言い放つ。

「ふっ、ここまで勝ち上がったのは認めるが……こっちは“ガチ”で勝ちにいくぜ?」

「……これは、今までで一番ヤバい相手かもしれないわね。」

果たして文化部は、サッカー部を相手に勝利を掴むことができるのか!?

「プレイボール!!」


【1回表】

先発ピッチャーはもちろんシャオ。

「パォ! 決勝戦、全力でいく!!」

シャオが渾身の剛速球を投げ込む!!

「ストライク!!」

「よし! いつも通り!!」

しかし――

「なっ!? 初球を打たれた!?」

サッカー部の1番打者、見事にシャオの剛速球をセンター前へ弾き返す!!

「……そ、そんな!! 今まで誰も打てなかったのに!?」

サッカー部キャプテンがニヤリと笑う。

「ふっ、俺たちはサッカー部……つまり、ボールの動きには人一倍慣れている。」

「……そ、そうか!!」

サッカー部は目の前のボールを正確に捉える技術が異常に高い。

つまり、シャオの剛速球も、バレー部とは違い正確にタイミングを合わせられるのだ!!

サッカー部、見事なゴロヒットを連発!

さらに、足の速さを活かした盗塁!!

「こ、これは完全に“野球上手い”サッカー部じゃん!!」

まさかのピンチ。

「……もう打たせるわけにはいかない!!」

シャオ、ギアを上げる。

「パォォォ!! 全力投球!!」

「ストライクスリー!! バッターアウト!!」

「やった!! 三振!!」

続くバッターにも、シャオは豪速球で対抗!!

「ストライクスリー!!」

「2アウト!!」

最後の打者に対して、シャオは渾身の一球を投げる!!

「ストライクスリー!!」

「チェンジ!!!」

文化部、シャオの豪速球でピンチを切り抜ける!!

「やったぁぁぁ!! 無失点で抑えた!!」


【1回裏】

「よし!! ここで点を取るわよ!!」

先頭打者、琴美!!

「いくわよ!!」

サッカー部のピッチャー、セットポジションから投球!!

鋭く打ち抜く音が響いてミットにおさまった。

「うわっ!! 速い!!」

「こっちもすごいピッチャーね……」

しかし、琴美は負けじとバットを振る――!!

甲高い金属音が空気を切り裂いた。

「よっしゃー!! いい当たり!!」

打球はセンターへ――!!

……が、

「いくぞ!!」

サッカー部のセンター、見事なダイビングキャッチ!!

「アウトォ!!」

「は、速い!! 反応が異常に早い!!」

「サッカー部、守備がガチすぎる!!」

続くバッターも打ち返すが――

内野ゴロを華麗にさばき、素早く送球!!

「アウトォ!!」

「すごい! サッカー部、フットワークの速さが野球向きすぎる!!」

文化部、まさかの三者凡退。

「……こ、これはマズいわね。」

「サッカー部、攻守どっちもレベルが高すぎる……!」


【2回表】

サッカー部、またしても足を活かした攻撃を展開!!

「セーフ!!」

「盗塁成功!!」

「もう足が速すぎる!!」

さらに――

「やばい、ヒット……!!」

「ランナー三塁回る!!」

「送球間に合うか!?」

しかし――

「……あれ?」

サッカー部のランナー、突然スライディングをやめてジャンプ!!

「こ、こいつ、スライディングじゃなくてフェイントかけてる!!??」

キャッチャー、タイミングを完全に外される!!

「セーフ!!」

「……えぇぇぇぇ!??」

「こ、こいつら……ベースランニングがサッカーのドリブル理論になってる!!」

文化部、まさかの1点先制される!!

「くっ……マズい!!」

1-0、サッカー部リード!!

「でも、ここで負けるわけにはいかない!!」

「文化部、反撃よ!!!」

サッカー部の異次元のフットワークとバッティングセンスにより、文化部は1-0のビハインド!

「くっ……まさかサッカー部がここまで強いとは……!」

「パォォォ!! なんとしても逆転するよ!!」

シャオが気合いを入れる中、文化部の攻撃が始まる!


【2回裏】

1点を追う文化部。ここで反撃しないと、相手のペースに飲まれてしまう!

「相手は足が速い……なら、バントで混乱させるしかないわね!」

先頭打者は磯貝沙羅!

「沙羅、頼んだわよ!」

「おっしゃ、やってやるわ!」

サッカー部のピッチャーが投球!

ズバンッ!!

「くっ、速い……!」

しかし、沙羅は冷静に球を見極め――

絶妙なセーフティバント! ボールはピッチャーとキャッチャーの間に転がる!!

「いける! 走れ!!」

サッカー部のキャッチャーが猛ダッシュでボールを拾い、一塁へ送球――

「セーフ!!!」

「よっしゃああああ!!」

「くそっ、ギリギリ間に合わなかったか!」

文化部、まずはノーアウト一塁!!

「次はわたしですね~。えへへ、頑張りま~す!」

花村美優、ほんわかした雰囲気でバッターボックスに立つ。

「美優ちゃん、打てる?」

「うーん、適当に振ればなんとかなりますよ~。」

「その謎の自信どこからくるの!?」

サッカー部ピッチャー、気合いを入れて投球!!

美優、適当にバットを振る――

「えっ!? いい当たり!!?」

打球は予想以上に飛び、レフト前ヒット!

「えぇぇ!? すごっ!!」

「わぁ~、当たっちゃいました~!」

文化部、ノーアウト一、二塁!!

「えっ、美優ちゃんって天才なの!?」

「美優……恐ろしい子……!」

サッカー部キャプテン、動揺。

「な、なんだこいつら……!? バントかと思ったら普通に打ってきたぞ……!」

次のバッターは文化部の良心、伊勢野真平!

「お、おい、俺に回ってきたのか……」

「真平、ここで打てば同点よ!!」

「……よし、ここは手堅くいく。」

ピッチャー、投球!!

ズバンッ!!

真平、バットを短く持ち――

コツン!!

「またバント!?」

ボールはサード前へ!!

「いける!! 走れ!!」

サッカー部のサード、猛スピードで前進し、ボールを捕球!!

「おらぁぁ!!」

一塁へ送球!!

「……あれ?」

しかし、送球が暴投!!

「うわっ!? ボールが転がった!!」

「今のうちに走れーーー!!」

文化部、全員がダッシュ!!沙羅がホームイン。

「よっしゃーー!!!」

文化部、1-1の同点に追いつく!!

サッカー部キャプテン、焦る。

「くそっ、文化部がこんなに戦えるチームだったとは……!!」

「よーし! ここで勝ち越すわよ!!」

バッターボックスにはキャプテン・琴美!

「いくわよ!!」

サッカー部のピッチャーが投球――!!

「打ったぁぁぁぁ!!」

打球はライト線へ一直線!!

「これは……!!」

文化部、ランナー全員激走!!

「美優、ホームへ!!」

「え~、全力で走るの苦手なんですけど~……えへへ~。」

セーフ!!!! 逆転!!!

「文化部、ついにリード!! 2-1!!」

「やったぁぁぁぁ!!!」

サッカー部キャプテン、歯を食いしばる。

「お前ら……強いな……!!」


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