湖で…1
首都ザールから、東に半日。そこには国内最大の湖がある。足に身体強化をかけたイリスは、半分の時間でそこにたどり着いた。
近づいて来るスライムを踏みつぶし、染料になる藍を採取した。2つに結んでいた髪を解き、ローブを脱ぎ捨て、革紐のペンダントを外してローブで包むと、湖に飛び込んだ
周りには釣りを楽しむ人もいたけれど、イリスは、気にしない。むしろ何故か自分がいた方が、釣果が上がるのだ。動物に好かれやすい体質?らしい
「おーい!イリス!」
湖面に浮かんでいると、聞き覚えのある声が聞こえた。振り向くと、教会の近所に住むおじさんたちが、釣り糸を垂らしていた
頷いて釣り針を避けて近づくと、丁度ゲンさんが魚を釣り上げた
「あれ?エンデ先輩!」
ゲンさんの隣の、長身の人には見覚えがあった
「ちょっと、危ないよ」
エンデの隣の金髪眼鏡君が、なにもかかっていない竿を持ち上げる
「大丈夫!釣られるようなヘマしないし」
「…魚が逃げる」
ちょっと怒ったその人の隣でエンデが魚を釣り上げた
イリスはちょっと肩をすくめ、湖に潜るとすぐに魚を捕まえてきた
「はい、あげる。弱い雷撃で麻痺してるから」
空のバケツに入れると、間もなく魚が泳ぎ出した
そのままあがると、何故か眼鏡君が慌てる
「ちょっ…君、裸!」
「イリス、着替えて薪拾ってきてくれ、魚焼くぞ」
ゲンさんの釣り仲間、ガッツさんの言葉に
「やったー!焼き魚!!」
イリスは、服を置いた場所まで走っていった
「エンデって、あの子と仲良いの?」
「いえ、図書室で会って以来ですが」
そういえば、名乗った覚えはなかったな…それに、目だけだと思ったが
小枝を集めていると、イリスが戻って来た
魚に塩を擦り込んでいるゲンさんにイリスに貰った魚を渡し、濡れた黒髪をそのままにしているイリスにタオルを渡す
「ありがとう。えっと…」
「レン。エンデと同級生。ていうか、水着位着なよ」
「持ってないし、別に恥ずかしくないもん」
「子供に羞恥心を求める方が間違いでは?」
エンデの言葉に、なるほど、と頷く
「子供って…レン先輩も、ちっちゃいよ?」
ちょっと見上げる位。10㎝位上かな?
「それは、まだ13歳だし」
「2こしか違わないじゃん」
「え…」
「えってなに、私は六月生まれだから11歳だよ。多分だけど。ちっちゃい頃からフォルトゥナ教会で育ったから、誕生日は自分で決めたの」
「イリス、火くれ」
ゲンさんの声に、イリスは視線だけで組み上がった薪に火をつける
「…ごめん」
「別に、気にしてないよ?神父様はみんなのお父さんだし、教会のみんなは兄弟だから」
髪を適当に拭いて、風の魔法をざっとあてる
「焼けた?食べていい?」
「おう、いっぱいくえよ」
いいつつ、二人ともまだ釣っている
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