色々な終わり
情報を集めてみると、討伐隊や高ランク冒険者など、かなりの人数が犠牲になっていて、友好国であるシグザールにも協力要請が出されたらしい。
「二人とも、行くよ」
「しかし…思った以上の強さだが、大丈夫なのか?」
「…ん。多分浄化じゃ倒せない。あの魔法を使う事になるけど、詠唱中守ってね!」
「…本当に大丈夫なんだな?」
「心配ないよ。太陽の杖もあるしね。元々魔素の濃い所だから仕方ない」
これ以上犠牲者を出さない為にもやらなきゃならないんだ。元が人だったとしても…。
出入り禁止の北門から出ようとすると、案の定止められた。でもエンデはシグザールから調査に来た騎士だからと門を開けてもらった。
「いいのかよ。元騎士なのに」
「我々は殿下の了承を得て動いているのだから、問題ない。それに今月までは騎士に席がある」
「ちょっと詐欺っぽいけど、仕方ないよね。万が一の為にエンデに預けておくね」
魔法の絨毯と沢山のポーション、エリクシールをアイテムボックスで預かって貰う。強力な魔物が沢山出てくるけど、天音は魔力温存で、二人に守って貰う。
「…来る!」
天音は最初から断罪の光の魔法を使う。殺す事になってしまうけど、浄化では無理だと分かったから。
さすがに杖が違うから、制御がかなり楽になっている。強い力に初めこそ動きが鈍ったけど、エンデは問題なく、ダグラスは気合で押し寄せる魔物を屠る。
完成した呪文は魔物化した人はもちろんの事、広範囲の魔物を巻き込んで消し去った。
雪の上に落ちた私に、エンデがエリクシールを飲ませてくれる。
「大丈夫だけど、しばらく寝るね」
ほっとした表情で頷く二人の顔を見て、意識を手放した。
事後処理がかなり大変だったらしく、天音が目を覚ました後もエンデは忙しく動いていた。
故郷に錦を飾ったダグラスは、一躍有名人だ。そんな訳で私が起き上がれないうちは、セシルさんが世話を焼いてくれた。ダグラスと違って機転も利くし、優秀な妹さんだ。
三日ばかり滞在して、帰る時には、沢山の人が見送りに来てくれた。
「ケササ(白もふ)を捕まえに行くなよ」
「何で釘刺す訳?頑張った私にはご褒美が必要だと思わない?」
「丸くてもあれは魔物だからな!絶対に駄目だ」
「意地悪」
「何と言われようとも駄目だ」
後日、雑貨屋の色々な効果を持つぬいぐるみの中に、白い毛玉のぬいぐるみが増えた。そして、卒業課題のミスリルが通常のミスリルよりも高性能だった為、卒業してもしばらくアカデミーに通う羽目になった。




