表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の魔術師?!  作者: 暁瑠
38/61

冬休み?

自分では分からないのですが、文章に訛りが出ているらしいです。意味が分からなかったらごめんなさい。

 冬休み。沢山の書類の山に囲まれて、レンがやっているのは、宿題。


「この状況で宿題やりますか?」


 多くの文官達が言えない事を、エンデがついてくる。

「だって年始はもっと忙しいじゃないか。先生の雷怖いし」

 少し拗ねたように言うレンに、エンデはため息をつく。

「僕にとってはどっちも大事だし」


 だからと言って、国政と宿題を同レベルで扱うのはどうかと思う。


「それに一応、急ぎのは終わらせたし。エンデは宿題終わった?」


「一応、先日の休みの時に大体は」


「いいなあ。僕も休みが欲しい」


 まるで子供の我が儘だ。けれど、周りの人間に甘えられるようになったのは、進歩とも言える。


 廊下の方が一気に騒がしくなって、エンデは表情を引き締める。

「殿下、お疲れ様ですわ」


「エリザベート、部外者が許可なく入るな」


 重要な書類を、さり気なく片付ける。


「部外者ではありませんわ。将来は私も、こういった仕事に関わっていくのですし」


「そうですわ、今日は殿下に良い物をお持ちしましたの。巷でもよく効くと評判の、栄養剤ですわ」

 レンはそのラベルを見て、躊躇いなく口にした。

「殿下!」

「大丈夫だよ。ほら」


 ラベルには作者のサインが入っている。イリスの作品だ。いや、イリスののほほんとした所が感染ったらどうするんだ。


「ありがとう、やる気出たから、もう出て行って」

「は?いえ私は、お手伝いを」


「エリザベート様、これ以上は」


 エリザベートが出て行って、レンはもう一度瓶を見る。知らないで買って来るなんて、馬鹿だよな。父親に偵察でも頼まれたのか?あれに何か分かると思っているのか。


「エンデ、気付かれた様子はある?」


「今の所は。ですが、一層用心しましょう」


 冬休みが開ける一日前、イリスは馬車からエンデに連れられて降りるレンを見かけた。


「わ、レンもしかして疲れてる?あ、荷物運ぶよ」

「運動の疲れじゃなくて、精神の疲れだね」


 レンに手をかざして、魔力を見ていたイリスがつぶやく。

「この部屋だ。悪いが、しばらくついていてくれ」

「うん。一応私、レンのか、彼女だし。だから大丈夫」

 エンデはレンをベッドに寝かせ、出て行った。…隣の部屋?仲良しさんだねー。私もシスカさんの近くの部屋になったから仲良くなれたんだし。

 それにしても、物が少ない部屋だ。最初は広さが違うかと思ったけど、そうじゃない。アイゼルの部屋も大きさは一緒だし、綺麗好きなのかな?私の部屋には驚いただろうな。

 額に張り付く髪を手でさらりと払う。結構髪の毛硬いんだ。猫っ毛で腰がないからちょっと羨ましい。

 太陽の魔法には、疲れを取るのもあった。呪文は覚えていないけど、効果は分かっている。イメージさえ固まっていれば魔法は発動可能。魔力は余分にかかるけど、自分の属性魔法だから。それに、レンに恩返しがしたい。

 汗ばむ額に手を当て、ゆっくりと魔力を流し込む。と、レンの顔色が目に見えて良くなった。

 成功、かな。減ったのはホーリー一回分の魔力位かな。私には大したことないけど。

 レンの寝顔見てたら、眠くなってきた。…ちょっとだけ…ん、暖かい。


「ん…?」

 寮の部屋、か。頭痛が消えた…暖かい?


「!イリス?何でここに?」


 いつの間にベットに潜り込んだ?


「失礼します。…何やっているんですか」


「?な、何も!してない!」


「…いえ別に、未成年者に手を出したとしても、付き合っているんですから。随分顔色が良くなりましたね?」

「どうやら、知らない内に魔法を使われたらしい」

「太陽の、ですか。呪文の書を取り上げた意味がありませんね」

「本当だよ。僕の為に使ってくれたのは嬉しいけど」

「しかし、自分を好いている男の前で眠るとは」


「言うなよ。悲しくなるだろ」


「んー…あれ?」


「あれ?じゃないよ。全く。少しは危機感持ってよ」

「危機感?」


「あのさ、一応付き合っているはずだよね?」


「あー、そういう事。でも私、ぺったんこだから触っても嬉しくないと思うよ?」


「あー、そういう問題じゃなくて。まあいいや」


「そういえばイリスは、あの呪文の書を問題なく読めたのだよな?」

「うん。何故かね。見たことない文字だったけど」

「あれは読めない文章だった。全てが意味不明で、何故理解出来たんだ?」


「そんな事言われても、分かんないよ」


「そうなのか」


「エンデは読めるの?」


「いや、辞典で調べたらしい」


「ふうん。でも、私には必要だと感じたんだよ。なんとなく」


「そうなんだ。…むやみに使わないなら、渡した方が良いのかな?」


「まあ、あれば呪文分かるから、魔力は無駄にかからないけど。でも、お城の宝物になっちゃったんでしょ?勝手に出したら駄目じゃん?」


「うーん。今手掛けていることが終わってからでいいかな?」


「今年の夏位?」


「!…なん、で?君は何も知らないはずだよね?」

 確かにあと半年はかかると見てるけど。


「なんとなく?それ位は色々ある気がする」


 レンは黙って、自分を見上げる真っ直ぐな瞳を見つめる。

「レンは私のなんとなくは嫌?」


「そんな事ないよ。ただ少しびっくりしただけ」


 エンデもたまになんとなく分かったりするけど、ここまでじゃない。


「在り方の違い、かもしれません」


「在り方?」


「いえ、なんとなくそう思っただけですが」


「たまにね、私も考えるよ。成長期の筈なのに伸長も中々伸びないし、子供体型だし」


「2、3年間違っているとか」


「エンデ酷い」

「まあ、高すぎる魔力は成長を阻害するらしいし、何にせよイリスには変わりない。こだわらなくても、ゆっくり大人になればいいよ。中身もね」

「中身は大人のつもりだけど?ちょっとだけ分かんない事もあるけど」


「焦ったからってどうにかなる事でもないんだから。待っているよ。ただ、君が可愛くて我慢出来なかったらごめん」

「我慢?」

「今は、いいよ。考えなくても」


「んー?何か私に出来る事あったらちゃんと言ってね?」

 レンが私の為に色々としてくれるように、私もレンの事、大切にしたいから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ