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最強の魔術師?!  作者: 暁瑠
31/61

海竜戦、その後 3

やっと噂について、午前授業の後に教えてくれた。

「あなたたちが、付き合っているって噂よ」


「僕と、ミーアが?」


「それじゃニコイチじゃないでしょ。それに普通だし。エンデさんよ」


「はあっ?!」


 何が哀しくて、男同士で噂されなきゃならないのか。


「釣りに出掛けたりとか、街の散策デートとか。恋愛は自由だけど、私…男同士でって言うのはちょっとね」


「レンとエンデは親友?が凄く大好きになったから、恋人になったの?」


「違うからね?イリス」


「どっちでもいいけど。私には良く分からないし。宿題しなきゃだし、もう帰るね」


「別に夏休み中ずっと一緒にいた訳じゃないし、友達なんだから、一緒にいた位で」


「だから、私は信じてないって。レンさんが好きなのはイリスだし?」


「は?また何言っているんだい?」


「ねえちょっと、大丈夫なの?この子」


「まあ確かに。レン様は下手に頭が良いばっかりに、最初に決めたら、それ以上変えようとしない所があって。感情の変化に疎いというか」


「問題は、エンデさんよ。どうにも過保護な所があるし」


「あー。実はですね、姉さん。エンデ君とレン様には、境遇的に似た所があって、弟的な?とにかくそういうんじゃ無いっすよ」


「どうでもいいけどそこで固まって居られると、掃除出来ねーよ」


「そうね。お腹も空いたしミーア、何か食べに行かない?」


「お供しまーす!その代わり、ケントニスの話とか聞かせてね?」


「ダグラス、まだ埃が残っているぞ?」


「これ位、気にならねって」


「ダグラス、お前はイリスの魔法、どう思った?」


「まあ、アイツだから使えたんだろうな。けど、もう二度と使わしたら駄目だ。エンデもそう思うだろ?」


「私か?実際に目にした訳ではないが、その後を考えるとな」


「大丈夫。呪文の書は厳重に保管したし、イリスには、二度と使っちゃ駄目だよって言い聞かせといたから」


「おお!レンやるじゃん。おめーのいうことならアイツも聞くだろ」


「逆に、君の言葉だけ聞かない気がするけど」


「だな」



 レンは、エンデと謁見室から続く王族の居住スペースに向かう。そこに、ヴォルト大臣が姿を現す。彼は、似合わないのに何故かいつも黄色い服を着ている。


「お帰りなさいませ、殿下。実はですね、本日は、娘がデザインに携わったドレスが出来上がりまして、招待状を届けに参りました」


「だから、そういうのは要らないって。考えを改めない限り、話し合いの価値もない」


「殿下も、その様な平民上がりの者を重用致しますと、秩序が乱れます。お前も、弁えよ。…ふん。随分大きな鞄を持っているな。何が入っているのか?」


「宿題です」


 エンデは眉一つ動かさずにそう言い切った。


 レンが部屋に戻ると、父王がソファーに座っていた。

「すみません。存外に事が大きく、陛下のお耳にも入れておいた方が良いかと」


 エンデは大きな鞄から、沢山の書類を取り出し、二人の前に並べる。


「やっぱり、教会への寄付金は横流しされていたか。それと、イムの村?兵器工場か。随分前から大臣の管轄下に変わっていたんだな。ドムハイトとの和平に反対する訳だ」


「すまんかったな、レン。平和ボケしとったようじゃ。体が辛い事を逃げ道に、自分の目で確認しなかった儂のミスじゃ」


「仕方ないよ。僕だって、娘押しつけられたくないから始めたようなものだし」


「言い訳になってしまうが、昔は本当に国の為を思って働いてくれていた」


「内部をチェック出来るような何かが必要かも知れないね」


「そうじゃの。レンに任せる。それと、秋に行われるドムハイトとの会談」


「ええー。アカデミーを休まなきゃならないのは嫌だな。でも、そうも言ってられないか。今の時点で目立つ動きをする訳に行かないけど、大事な所は押さえておかないと」


「うむ。最近は、表情も柔らかくなったと周囲からの評判も上々だ。誰ぞ変えてくれた者でもおるのか?」


「うーん。イリスかな。クラスのみんなもいい人ばかりだけど、素直で人を疑う事をしない子。まだ子供なんだけど、海竜を倒したりとか、色々目が離せなくて。真っ直ぐ来られたら、拒否なんて出来ない」

 嬉しそうにそんな話しをする息子のいつになく優しい表情を見て、ふうむと唸る。


「ふむ。確かに何度か聞いた名だな。しかし、マイスターの1年生なら、子供は無いじゃろ」


「ううん、10歳で入学して、3年生を飛び級したから、夏休み前に13歳になったばかり。本当に子供だよ」


「ほお。随分優秀だの!」


「本当にね。孤児とは思えない」


「ふむ…孤児か。なに、後ろ盾なら作ってやれば良い」


「え?なんで?」


「は?お前は自分で気付いとらんのか?」


「だから、何のこと?」


 こういう所は母親似か?懐かしいの。あれもこんな風にふわふわとした所があった。もう10年か。レンには丈夫な后をと思っていたが、数々の武勇伝を聞く限り、大丈夫じゃろ。少々元気過ぎる気もするがの。


「儂もその、イリスに会いたいのぉ」


「え?海竜討伐の報償なら、全額教会へって言われたから、事務処理だけで済ませちゃったけど。お菓子がいっぱい食べられるって言ったら、目をきらきらさせてたっけ」


「会わせてくれんのか?酷いの。年寄りのささやかな楽しみを、ないがしろにするとは」


「ええー。これから忙しくなるのに。大体、会う理由がないし」


「お忍びでいいじゃろ。寒くなる前に頼むぞ」


「なら、叙勲式はお願い。場所はアカデミーでいい?文化祭…いや、その前の、登山実習の後にするか。それでいい?」


「来月末じゃな。楽しみにしておるよ」


「はいはい。ばれないようにたのむよ。エンデ、手配頼んだよ」


 いいのだろうか。本人達の預かり知らぬ所で、話しがどんどん大きくなっていく。会われるより前に、確認した方が?


気が早いお爺ちゃんです。

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