表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の魔術師?!  作者: 暁瑠
27/61

太陽の魔法

 夏休み。マイスターの2年に在籍するフィリア、フィーナという双子の天災錬金術師から、魔晶石と交換で空飛ぶ絨毯を手に入れ、ザールを後にした。途中、エリーの出身地であるカロッテ村に寄る。


「私も行きたかったけど、今年は腰を痛めたおじいちゃんの分も、収穫のお手伝いしなきゃならないから。ケントニスアカデミーの話し後で沢山聞かせてね」


「うん。じゃあまたね!お手伝い頑張って」


 絨毯の先頭に乗り、魔晶石に手を当て、先程迄よりも若干ハイスピードで飛ぶ。魔石から魔晶石に変えた事により、魔力変換効率も向上し、貯めておける魔力も格段にアップしている


「イリス、前方にブラックウルフの群れだ」


「止めるよ!」


 慣性を無視して止まった絨毯から飛び降り、ダグラスとシスカが走って行く。イリスも油断なく杖を構えた。


 魔物自体はあっさり片付いたけど、丁度日も暮れて来たので、ここでテントを張った。結界の魔法をかけていると、美味しそうな匂いが漂ってきた。

「マジックバックに、作り置き随分入れて来たから、温め直すだけで済んで便利ね」


「私もイベントリに色々入れて来たよ?」


「まだ先は長いんだから、マジックバック優先にしましょう?船の上じゃ、火も使えないし」


「そうだね。シスカさんは、宿題持って来た?」


「昨日とおとといで進めたから、後は帰ってからでも大丈夫よ。ダグラスは?」


「こいつが持って来てるはず無いじゃん?絶対土壇場になってから慌てるタイプ」


「まあ、事実だけどよ、おめーに言われると何かムカつく」


 イリスはライトの灯りを手元に持って来る。


「余り根を詰め過ぎないようにね。今日はイリスの魔力だけで飛んで来たんだから」


「うん。大丈夫」



 港町カスターニュに三日かけてたどり着き、エルバドール大陸に渡る定期便を探すが、最近、航海上に海竜が住み着いたとかで、出す事が出来ないらしい。お陰で交易もストップ、国に訴えてはいるが、討伐作戦は失敗に終わったらしい


「なら、船を貸して貰えませんか?」


「ええっ?!大丈夫、なの?」


「うん。ちゃんと帰って来られるよ。風魔法もシスカさんと交代で使えばいいし。…我がまま言ってゴメンね。だけど、私の欲しい物が、ケントニスにあるから」


「俺は構わないぜ?剣だけで海の魔物に何処まで通じるかは分からないけど、詠唱する間位は守ってやる」

「イリスの事、信じるわ。なんとなくが

外れた事は、一度もないしね」


「二人ともありがとう」

 交渉して、交易品を運ぶ事で何とか安く抑えられた。


 海や空からの魔物は問題なく片付けられ、一行はアカデミーの総本山に辿り着いた。


 シルバーピンは、問題なく身分証明になってくれて、学園長のラインハルトより、資料の閲覧が許された。


「なるほどね。君の話しは聞いていたよ。その強大な魔力の事も、珍しい太陽の属性の事も」


「それで…ここにはあるんですか?太陽の呪文」


「おや?ドルニエに聞いたのかな?」


「いえ、私が、なんとなくここにあるような気がして。学園長は関係ないです」


「なんとなく、ね…確かにあるけど、読めないよ?ニホンという国の文字で書いてあるらしく、手掛かりすら無くてね。とりあえず持って来てあげよう」


 暫くして、ラインハルトは一冊の古びた本を持ってきた。イリスは早速それに目を通す。


「ええと、浄化の魔法、植物を急成長させる魔法と、身体の異常を取り除く、癒やす魔法…凄い!」

「読めるのかい?!」


「えっと、文字が読める訳じゃないけど、内容が分かるんです」


「凄いな…書かれている内容もだけど。扱えそう?」


「分かりません。でも、神聖魔法の浄化は使えたので。ちゃんと理解出来て、詠唱出来れば」


「そうか。なら、その本は持って行きなさい。ドルニエに預けてもいいし。魔術での成果を楽しみにしているよ」


「良いんですか?嬉しいです!」


「ここにあっても、宝の持ち腐れだからね。それと、君さえ良かったら、アカデミー卒業後、ここで教師をやってみないかい?」


「でも、私…やりたい事が、あるんです」


「そう。まあ正直、子供に教師は無理だから、何年か後に、そのやりたい事が、終わってからでいい。誘われた事、覚えておいてくれれば、それでいいよ」


 宿屋に戻ると、二人とも揃っていた。


「私達は、みんなのお土産を選んでいたの。ただ、レンさんには何がいいか思い浮かばなくて。」

「んー。確かに、一応貴族の人だから、難しいよね」

「ふふっ、確かに、あんまり偉そうに見えないわよね。可愛いし」


「スライム枕でいんじゃね?気に入ってたみたいだし。土産話しも、立派な土産だよ」


「おお!ダグラスもたまには良いこと云うね」


「一言余計だっつの。おめーの方は?」


呪文の事や、教師に誘われた事を話すと、感心された。


「凄いわね。でもイリスだから何でも有りって気がしてきたわ。明日以降の食事も手に入れて来たから、もう寝ましょう。明日朝はまた船旅だから」


 部屋に戻っても、イリスは呪文の書とにらめっこだ。近いうちに絶対、呪文が必要になる。最後の呪文、断罪の光が



 二日目。あと半日も進めば、カスターニュにつく。…何だろう。凄くどきどきする。


「うおわっ?!まさか、噂の海竜か!!」


 イリスは試しに光の上位魔法を無詠唱で放つ。が、まるで効いている様子がない。ダグラスの剣も、シスカの攻撃も、硬い鱗に阻まれている。


「二人とも、時間稼いでいて!」


 断罪の光の魔法は、まるで祝詞を唱えているようだった。まるで聞いたことのない言葉に驚いて、思わずイリスをみる。そしてもっと驚いた。その背には光の翼。ふわりと浮き上がる小さな躰は、神々しい光を纏っていた。

 シスカには、目の前の竜よりも、友達であるイリスの方が怖ろしく感じた。


「糞ったれ!」


 固まってしまったシスカもフォローするため、ダグラスは動く。見かけ通りの只の子供じゃないことは、薄々感じていた。野生の勘で。

 だからこそ、イリスはダグラスを面白くないと感じていたし、そんな風に思われても、助けてやりたいと思った。威圧はされても、動けばいい。


 呪文が完成し、太陽そのもののような光が、海竜を焼き尽くす。杖の先端に付けられた魔晶石が砕け、イリスが落ちる。


「嘘…だろっ!」


 イリスの体から、魔力が全く感じられなかった。体温も下がってきて、やばい状態だっていうのは医者でなくても分かった。


「おいシスカ!しっかりしろ!とにかくカスターニュ迄頼む!」


 はっとしたシスカは、急いで帆を張る。



三月中は忙しいので、更新遅れます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ