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最強の魔術師?!  作者: 暁瑠
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マイスターランク

また消えました(/_;)二回目頑張りました

2月も終わりに近づき、暖かい陽射しの下、レンはアカデミーの中庭にある大樹の下、ごろりと寝転がり、眼鏡を外した。

「あーあ、卒試だと思ったから真面目に試験受けたのに、進級試験だったなんて」


「進学はお嫌ですか?」

傍らに腰掛けながらエンデが聞く


「だって僕だけ知らなかったなんて。この間の誕生日の時、権力のほぼ半分を任されて…大人になったし、いよいよかなって思ってたから。マイスターランクに進学するなら、あと2年学生だけやってたかった」


「陛下は最近特に腰痛が辛いようですし」


「分かっているよ。デスクワーク中心だから、拘束時間の短いマイスターランクなら何とかなると思うし、父上が進学させたい理由も理解してる。けど、あと2年多く居たところでどうにかなるようなものでもないと思う」


「カミルは進学できませんでしたが、マイスターランクのある棟は更に結界も強力になりますし、ノーマルランクの生徒でも、ペナルティーがつきます」

「破る奴は目に見えてるし?」


「はあ」


「今の所貴族以外には身バレしてないし。そう考えると今までより気楽でいいかな。後は誰が進級するんだ?」


「シスカは確実かと。ダグラスは剣の腕が伸びてますが、試験の結果次第かと」


「そうだね。そんな所かな?…!」


突然、頭上の木が揺れ、藍色のツインテールの女の子が落ちて来た。咄嗟に避ける事も出来ず、レンは下敷きになった


「ふぁ…。エンデ先輩、おはよー」


「先ほどまでの話、聞いていたのか?」


「ん?寝てたから分かんない」


「どうでもいいけど、人の上から降りてから喋ってくれない?」


「!あ…ごめんなさい。気がつかなかった」

わ…。綺麗な瞳。今まで眼鏡でよく見えなかったけど、よく晴れた日の、青空みたい

 イリスは、思わずまじまじと見てしまった

エンデが衝撃で飛ばされた眼鏡を拾い、渡す


「ごめんね、痛くない?」


「平気…軽かったし」


「そう?あ、今度から呼び捨てでいい?同級生になるし」

「え…なんで?」


「私、飛び級するから。二人ともマイスターランク進学でしょ?なんとなくそう思ったから」


「なんとなく…ね。君はそれで何所までわかるんだい?」


「何所って?なんとなくは万能じゃないし、知りたい事が判る訳じゃないよ?ね、エンデ先輩」


「そうだな。…いや、何故私もそういう感覚があると判った?」


「んー。なんとなく?持ってる魔力属性は真逆だけど、似てるかなって。あ、いっけない!次移動教室だった!またね!」


あっという間に走り去るイリスを見送る


「イリスもマイスターランクか。楽しくなりそうだ」

「私は嫌です。級長を任ぜられそうなので」


「あははっ!それはご愁傷様!」


真面目な親友に、レンは滅多に見せない笑顔を向けた



*  *  *


「おっはよー!わあ、シスカさんだー」


教室には席が六つ。レンとエンデ、ミーアは席に着いていて、イリスはシスカの隣に座った。


「おはようイリス、教室間違えてないわよね?」


「うん!…げ、ダグラスも進級したんだ」


「あー?おめー、ここはマイスタークラスだぞ?入ったら怒られるぞ馬鹿」


「私もマイスターだもん。飛び級したの。ていうか馬鹿は進級出来ないんだよ」


「馬鹿じゃねーし。馬鹿っていう方が馬鹿なんだぞ!」


「留年浪人の人に馬鹿って言われる筋合いないし」

「何おっ!」


その時扉が開き、イングリット先生が入って来た


「教室で喧嘩は禁止よ。エンデも級長なんだからちゃんと止めて頂戴」


「とりとめのない子供の口喧嘩だったので」


「それでも、よ。教室が壊されてからじゃ遅いの」

「…はあ」

エンデは嫌そうに頷いて、溜め息をついた


 マイスターランクの授業は基本半日で、午後は選択科目になる。学術、魔術、錬金術、武術で、空いた中一日が補講に当てられる。3年生分の授業をイリスは当分、ここで受ける


「はあ…覚悟はしてたけど、当分は勉強三昧か」


「飛び級の話、断れば良かったじゃないか?」


「んー、でもさ、私授業料とか払ってないから、その方が1年分お得なのかなって。給食代とか」


「え、そういう問題?」

「絶対違う」

「私はそんな理由で苦労させられるのか…」


「何でみんな否定的?」


「凄い名誉な事なんだよ。個人にとってもアカデミーにとってもね。国立だけど独立した組織で、総本山はケントニスにある。優秀な結果が出せれば評価も上がるし、他の所にもより良い条件で建てやすくなる」

「あー。なる程。期待されてるんだね」


「驚いた。すぐ理解するとは思わなかった。飛び級するだけはある」

「微妙に褒められてない気が…大変だけど、一個だけ良かった事も…!!」


何かに気が付いたイリスが、机の下に潜り込む


「レン様!マイスターランク進学おめでとうございます!」


甲高い声と共に入って来たのはエリザベート


「ノーマルの生徒が、入って来たら駄目だろう」


目も合わせずに素っ気なく言われるが、エリザベートは気にせず、他の生徒をチェックする。背中が隠れきれてなかったイリスは、すぐに見つかってしまった。

「お前、何でこんな所にいるの?」


「飛び級した、です」


「ゴミが、一体どんな汚い手を使ったの!」

結界を抜けて来た生徒に気づき、イングリットが戻ってきた


「…またあなたなの?」

イングリットは頭に手を当て、溜め息をつく


「ちょっと位いいじゃありませんの。真っ先に、お祝い申しあげたかったのですわ。それより、何でアレがいるんですの?」


「イリスの飛び級は、実力と実績を見た学園長の判断です」


「飛び級が可能なら、まずわたくしでしょう?国の補助金を貰っているくせに、去年は2年生をやらせてわたくし達を引き離し、今度は授業料も払えぬゴミを、あまつさえこの方と一緒に学ばせるなど、許せませんわ」


「何の取り柄もない、学力も足りないあなたがマイスターランクに進級する資格はありません。宿題は人任せ、規則も平気で破るあなたは、本当なら3年生にだって無理矢理だったんですよ」


「わたくしがお父様に言い付ければ、予算だって減らせるし、寄付金だってなくなるわ」


「それを盾に脅すなら、辞めて頂いて結構ですよ。学ぶ気持ちのない生徒が学園の風紀を乱すなら、こちらには迷惑でしかありませんから」


「絶対に後悔させてやるんだから!」

エリザベートは足音荒く、出ていった


「君も、ここでは身分差なく平等に学べるんだから、もっと堂々としていればいい」


「私だって出来れば、みんな仲良しがいいけど、そもそも人扱いされてなくて」


「あそこまで選民意識が高いのも珍しいけどね。誇れる所が血筋だけなんて、人としてどうかと思うし、君だって実は、高名な魔術師の娘かもだろ?」

「今は単なる孤児だよ。レンこそ、偉い人の子供でしょ?」


「そうだとしても、アカデミーでは只のレンだから」

「そう?なら普通に友達」

イリスの笑顔にレンは戸惑う

「友達…?」


「え?何で?嫌だった?」


「そうじゃなくて…ごめん、今まで普通の友達って、少なかったから」

「じゃあ、仲良しの握手!」


ぎゅっと握られて、ますます戸惑う

「じゃ、また明日!」


去って行く背中に、何も言えなかった

「さすがイリスちゃん、グイグイ来ますねー。今までレン様の周りには、居なかったタイプですね。いい子だし、良いんじゃないですか?」


「そうだね。ちゃんと友達に、なれたらいいな」







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