古城の宝
その古城は所々崩れ落ちていて、立ち入り禁止の柵も張ってある
「入ったら怒られないかな?」
「ばれなきゃ平気だよ。昔は盗賊とかも住んでたっていうし」
「それってつまり、お宝は何も無いってことか?」
「そうともいう。お金にならない本とかあればいいかなって」
「けど、本だって結構高いだろ?残ってるとは思えねーな」
「文句言うならダグラスは残ってたら?幽霊に物理攻撃は効かないし」
「置いてくなよ!」
中も酷く、装飾品処か家具さえ無い
「幽霊とかいねーな」
「所詮は噂でしょ?エリーも大丈夫だから、マント引っ張らないでね」
「ごめんシスカさん。無意識だった」
イリスは、先頭を歩いている
「イリス?大丈夫?」
ただ真っ直ぐに歩くイリスに言葉を掛けるが返事がない。不安になったシスカが、肩を掴む
「…何?」
「何って…何処に向かっているの?」
「んー…あっち?何か、呼ばれてる気がする」
「えっ!そ、それって」
「大丈夫だよ。悪意は無い気がするから。怖かったら待ってて」
「い…行くよ!置いて行かないで」
奥まった所にある部屋の一つに入ると、イリスは壁の上の方を見上げる
「ダグラス、そこのレンガ押して」
かなり高い位置にあり、イリスでは手が届かない
「これか?…おお!」
すぐ側のレンガが押し出され、僅かな隙間に一冊の本と、小箱があった
「じゃ、出るよ。ここにはもう何もないから」
「そうなの?」
「うん。そう言ってる」
「は、早く出よぉ。怖いよ」
「出たらちゃんと聞かせろよ?」
頷いて早足で歩くイリスに付いてホールを抜けると、祈りの形に手をくむ
「安らかな眠りを(浄化)」
きらきらと、光が舞い上がる
外に出ると、それを待っていたかのように、城が崩れてゆく
小箱を開けると、中には古びた指輪が入っていた
「何じゃこりゃ。本も達筆過ぎて読めねぇ」
「国の偉い人に渡してって言われた。エンデ先輩に渡せばいいかな?」
「崩れちゃったしね。朱の実とか、色々採取して帰りましょう」




