災難と友情
イリスが魔晶石を造り上げた事で先生に錬金術の腕を認められた頃からエリザベートと、一部貴族の取り巻き達からイリスは嫌がらせを受けるようになった。イリスが孤児だと知れた為でもある。
クラス内も貴族とそうでない者に別れ、孤児は勿論イリス一人で、必然的に矢面に立たされる
教科書を隠されてしまったので、図書室で借りる事にした。時を置かずして読書コーナーに顔を伏せているイリスを、アイゼルが見つけた
「ごめんなさい、私学級委員長なのに表立って庇う訳にはいかなくて」
「仕方ないよ。貴族の世界は怖いって聞くし。…ていうか私、誰かにこんな風に悪意を向けられるの初めてで、黒い瞳のことは言われたことあるけど、ここまでじゃなくて」
「あの方は、大臣の娘として誰からもチヤホヤされてきたから、仕方ないのよ。国民は貴族の為に働いていると思っているし、だから、税金を納めない者はゴミだと思っている」
「ていうか子供は税金払わないじゃん?それに、冒険者ギルドの依頼の一部は税金なんだから、ちょっとは払ってるし」
「分かっているかどうかは知らないけど、存在自体が目障りなのよ。そんな貴女が先生に一目置かれた。その魔法の才能も、いらだたせるのかも知れないわね。私は才能だけじゃなくて、貴女がちゃんと努力をしているのも知っているわ。とにかく、一年は我慢するしかないわ」
「一年て、ノーマルランクは3年生まであるし」
「詳しくは言えないけれど、あの人の目的は、ある方が卒業するまで同じ学生である事。あの方が卒業してしまえば、ここにいる意味もなくなるから、進学はきっとしない。だから今年は我慢よ」
「んー。意味分からないけど、頑張ってみる。ありがとうアイゼル。その人が留年しなければいいな」
「…あり得ないわよ。とても優秀な方だから」
「ふうん?案外エンデ先輩だったりして。強くて格好いいってみんな言ってるもんね」
「騎士爵は一代のもので、平民上がりだからないわよ。というか、貴女から男の方の名前を聞くなんて、明日は雨かしらね」
「晴れるよ?」
「そうじゃなくて!好きなのかってことよ」
「んー。大きい人は苦手だけど、戦ってもらいたい!国一番の戦士がどんなに強いか知りたい!」
「はあ…そんな事だろうと思ったわ。何かあったら、私に相談してね」
「ありがとう。優しいアイゼルのままで良かった」
「別に私は…クラス内のことを知っておくのは学級委員長の勤めですもの」
それだけ言って、さっさと図書室を出て行くアイゼル。
照れ屋さんな友人の励ましに、イリスは元気を取り戻した
気がついたら冬前のお話が消えていました。機会があったら二年生の途中で入れたいです。
途中保存機能欲しいです。切実に




