とと十一歳・愛嬌は最大の武器なる春 01
とと画・春だね、雪だるまくん
◇
小6になってからのととがハマっているのはなんと
『お手伝い』
かもしれない。
この頃は、ヨシコが台所に立って何かしていると
「やる!」
とか
「ぼ、く!」
とか
「わたし!」
とか叫びながらやって来ては、何か手伝いをしたいとアピール。
「(今、手を出されると困るから)いいよ!」
と断っても
「いいの! きる!」
などと断言しつつ、腕まくりをして迫ってくるので何かしてもらわねばならない。
この晩は、苦手なタマネギ切り。
ぴかが以前やっていた「涙防止切り」を真似して、引き出しからゴーグルを取り出してきた。
ゴーグルのおかげか、タマネギ4コを乱切りに。
他に好きな調理は、
「煮る!」
何でもかんでも切ってぐらぐら沸いた鍋に投げこみ、煮てしまう。
カレーとかシチューの時には向いているが、漬物まで投げ込もうとして、父に強制終了させられたことも。
今までにした調理は、餃子の成型、チャーハンの材料を切ってフライパンで炒める、シチューやカレー、鍋の野菜を切って鍋に程度だが、それでも少しずつできることが増えてきたような気が。
喜んで進んでお手伝いしてくれるように、ヨシコもなるべく口出ししないように、彼が迫ってきたらさりげなく切り易い野菜を並べて置いたり、まな板を安定させたり、けっこう気を使ってはいる。
レパートリーがもっともっと増えて、いずれは自分で好きなものが作れるようになるといいな、とも期待が少し。
目指せ自炊!!
他のきょうだいもね。と、テレビに没頭している兄と妹とをちらりとみて、ヨシコは軽くため息をつく。
◇
スクールバス停でもあいかわらず細かくちょびちょびしているとと。
ここ数日は、ポケットにこっそりオモチャを持ってバスに乗ろうとして、未遂で捕まる。
昨日はトーマス、今日はおもちゃの銃。
朝からバス停まで行く車内でその銃を取り出し、窓を開けて外のあちこちを撃ちまくっていた。まあ、弾は出ないチャチなものだったが通報されるといけないので、ヨシコは厳しく注意。しかしなかなか止めない。
ついに、路肩に(たぶんスピード違反取締で)立っていたおまわりさんと目があう。
やばい!! ヨシコは胃が縮みあがる。
銃を構えているところを見られただろうか?
外国だったら逆に警官に撃たれてまってもおかしくないがな!!
しかしその瞬間!
彼はさっと銃をかくし、そのおまわりさんにぴしっと敬礼。
……ととの要領が、(要領だけ)どんどんよくなっていくようで怖いヨシコであった。




