表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼星のセレス  作者: おうぎまちこ
光の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/41

第33話 目覚めた姫は、騎士に――


 スフェラ公国公都の城。


 その中にある、第二王子スピネルの部屋にて――。




「それは、黒竜の王子ではないかえ?」




 ――碧色のふわふわとした髪に妖艶な顔立ち、胸元が大胆に開いた黒いドレスを身に着けた女性が現れた。



 スピネルが眠るベッドの隣にある椅子に座っていたセレスは、その女性を見て声をかける。



「エメラルド、何しに来たの?」



 セレスが問いかけると、碧髪の女性はふふんと笑った。


「セレスよ、魔力の揺れを感知したと申したじゃろ? 一応、次期魔術師長として、城の違和感に対応するのは当然のことじゃ……」


「でも、ここは第二王子の部屋よ……いくら次期魔術師長だからって……」


「セレス、お前が黙っていれば良いだけのこと」


(エメラルドは相変わらず、好き放題ね……)


 セレスは嘆息する。


 彼女に名を呼ばれた年齢不詳の女性は、エメラルド・クロムスフェーン。

 スフェラ公国の魔術師長クロムスフェーン公爵の娘にして、彼をも凌ぐ強大な魔力を持つ者と言われている。


 身勝手な行動をとることも多いエメラルドだが、周囲に疎まれがちなセレスに対しても話しかけてくる稀有な存在だった。


 エメラルドは眠るスピネルをちらりと見るや、にやりと笑んで話を始める。


「ほう……城の外で療養しているという話じゃったが、急に姿を現すなどと、一体どこに隠されていたのか――」


 妖艶な笑みを浮かべながら、エメラルドは続ける。


「カーネリアン王子は、何を考えておるのかのぅ? はてさて――」


「本当はわかってるんじゃないの? エメラルドなら――」


「さぁのぅ……」


 セレスとエメラルドが談笑していると――。



「ん……?」



 少年とも青年とも言いがたい声が聞こえる――。




「スピネル……!」





 セレスは歓喜の声をあげた。


 久しぶりに会えた友人に、彼女は嬉しくなり金色の瞳に涙を浮かべる。


 長くなってしまった黒髪を背に流したスピネルはゆっくりと身体を起こす。


 彼の瞳にセレスは囚われる。


 血に濡れたような鋭く紅い瞳――。


「スピネル……」


 その時セレスははっとする。


(違う……この雰囲気――こいつは――)


 気づけば彼女の腕は、彼の手に掴まれていた。


 騎士として鍛えているはずのセレスの腕をいとも容易く、その細腕が制してくる。


 そして――。



「腹が空いた――まだ足りない――」



 そう彼が口にしたかと思うと――。


 エメラルドがいる前に関わらず、スピネルの唇にセレスの唇は塞がれてしまったのだった――。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ