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蒼星のセレス  作者: おうぎまちこ
海の章

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18/41

第16話 海は過去を振り返る

 『癒し姫』との話数調整のため、本日2回目投稿となります。何卒よろしくお願いいたします。



 あれはもう十年以上前の話だ。

 ある時、アズライトの父親であるカルセドニー侯爵が、空のような水色の髪に金色の瞳をした少女を連れて来た。アズライトと彼の父親は、深い海のような青い色の髪をしている。ちょうど自分と同い年ぐらいだった。彼女も同じ薄い青色の髪だったので、親戚か何かだろうと思っていた。

 彼女はこれから、屋敷の下女として働くらしい。

 同い年位の少女、しかも見目も麗しい。

 働く時は、腰まで届く水色の髪をいつも三つ編みにしていた。

 まだ成人前だったアズライトは屋敷に滞在し、騎士学校に通っていた。騎士学校から帰ると、彼女に声をかけにいくのが日課になっていく。

 彼女は自分と同い年位で、大変博識で色々な事を教えてくれた。とても下女をするような身分である印象は受けなかった。

 あまりに頻繁に彼女に会いに行くアズライトを心配したのか、義母からは苦言を呈された。だけど、彼にしては珍しく反発して少女に会いに行っていた。


 そんなアズライトを見て、不満を口にしたのは幼馴染であるインカローズだった。


「アズライト、いつもあの女性の話ばかりしていて本当につまらない」


 インカローズは、赤みがかった緩く長い髪を、手でくるくるさせながらアズライトに訴えていた。彼女は彼より二歳年下だ。幼い頃から、やたらとアズライトの世話を焼きたがっているが、彼からすれば彼女は妹のような存在だ。

 彼女は、彼の家に遊びに来ても最近は遊んでくれない、つまらない、とぶつぶつ言っていた。


 一方で、カーネリアンはアズライトの様子を見て楽しそうだった。


「へえ、真面目な君が女性に関心を向けるなんて面白いなあ」


 彼はいつもと変わらず、にこにこしながら話していた。

 カーネリアンは国の第一王子だが、幼少期からよく顔を合わせていて仲が良かった。アズライトよりも三つ年下だが、なんでも気さくに話せる相手だった。

 カーネリアンは本当は聡い男だが、思考に時間がかかったり、その穏やかな口調のせいか愚図だのろまだと言う輩もいる。アズライトが、陰で何かを言われて落ち込んでいる王子をかばったのをきっかけに、二人は仲が良くなった。

 そんなカーネリアン王子も、アズライトと少女の仲を応援してくれていた。


 彼女も彼との交流を拒むことはない。


 その当時は、世界がとても美しく感じていた。


 当時のアズライトは、セレスの母親に対する淡い恋心を抱いており、将来もうまく行くと、なぜか確信していた。


 だが、彼女が子供を身ごもったと聞いた時に、彼の夢や希望はもろくも崩れ去った。




※※※




「セレス、お前が視た未来で、俺はどうなっている?」


 突然兄アズライトからそう聞かされたセレスは驚いてしまった。


「お兄様の未来は……」


(まさか紅い髪の男に殺される夢ばかり視ているなんて、口に出すことは出来ない)


 セレスはどう答えてよいか分からずに狼狽えてしまった。

 アズライトは続けた。


「まあいい。なるようになるさ」


 彼はセレスの頭を撫でた。

 その表情には何か決意が宿っているようだと、セレスは漠然と感じたのだった。





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