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蒼星のセレス  作者: おうぎまちこ
海の章

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第8話 空と闇を、星が




「そこにいるのは誰だ?」


 セレスの背後から、男の声が聞こえた。

 彼女は慌てて、その声の主の方へと振り返った。


 そこに立っていたのは――。


 金のふわふわとした髪に、茶色の瞳を持つ、セレスの兄の親友。


「カーネリアン王子……様」


 スフェラ公国第一王子カーネリアンがそこには立っていた。

 彼は、牢の前に立つセレスの姿を見て、驚いた表情をしている。


「セレス、君がどうしてここに?」


 そう問われるが、セレスにも分からない。

 彼女は首を横に振った。

 カーネリアンはセレスに歩み寄る。


「分からなくて……」


 そう答える彼女に、彼は優し気な口調で答えた。


「まあ、いいか」


 その言葉に重なるかのように、牢の奥から少年らしさの残る声が響く。


「カーネリアン、セレス。君たち、知り合いなの?」


 カーネリアンが、声のする方へと視線を向けた。

 牢の奥には、黒髪に紅瞳の少年、スピネルが居る。

 セレスは不思議に思う。王子に対して、スピネルが気安く声をかけているからだ。


「ああ、そうだ」


 カーネリアンの答えに対し、スピネルは、微笑を浮かべたままだ。

 彼が何を考えているのか、セレスにはよく分からなかった。

 カーネリアンが話を切り出す。


「話があって来たが、セレスがいるから、また今度来るよ」


 やはり、スピネルは笑ったままだった。


「じゃあ、セレス、一旦地上に戻ろうか?」


 地上。

 そう言われて、どうやらここが地下だということを、セレスは理解した。

 一体どこに出口があったのだろうか?

 壁全面が水晶で覆われている不思議な場所だった。彼女が知る限り、一方通行でしかなく、どこから出れば良いのか分からなかった。

 カーネリアンに促され、牢とは逆の方向へと向かうことになる。


「待ってください、王子様」


 セレスはカーネリアンに声を掛ける。

 慌てて、彼女は、牢に居るスピネルの方へと走った。


「スピネル、また会いましょう」


 彼女が静かにそう告げると、スピネルが微笑みを浮かべた。

 そうして彼が、格子の隙間から、そっと白い手を出す。小指を立てている。


「本で見たんだよ。約束する時は、小指を互いに掛けあうんでしょう?」


 そう言われ、セレスは頷いた。彼女も自身の小指を出して、彼の小指と重ねる。


「セレス、また会いに来てね」


 指切りを交わした後に、彼女は牢の前から離れた。

 もう少し、彼と話したかった気もする。

 セレスはそんなことを、ぼんやりと考えていた。

 歩いている途中、セレスはカーネリアンから声を掛けられる。


「良かったら、この洞窟に来たことは忘れてくれないかな?」


 優し気な口調のまま、カーネリアンはセレスにそう説明した。

 セレスは、状況が良く分からない。だが、先ほどスピネルと指切りをして、約束したばかりだったので、ためらいがあった。


「あの……」


「君は頑固だからね」


 カーネリアンの手が、セレスの両目を覆うように置かれる。

 そのまま、セレスは何も考えられなくなる。


「ごめんね、セレス」


 薄れゆく意識の中、王子の寂しげな声が聞こえた気がした。





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