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【コミカライズ開始】身に覚えのない溺愛ですが、そこまで愛されたら仕方ない。忘却の乙女は神様に永遠に愛されるようです  作者: まえばる蒔乃@受賞感謝
第六章・まつろわぬ、ふたりで一つの神様

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逆転の発想

更新再開します!

「紫乃さんを元に戻すにはどうすればいいだろう」


 いつものように寝る支度を全て済ませ、私は布団を敷いて横になっていた。

 いろいろ対策を取るべきことはあるとしても、とにかく今は眠い。

 目を閉じるとあっという間に疲れが出てきて、眠りに深く落ちていく。


「ん……」


 そして、体に重たい何かがのしかかってくるのを感じた。

 布団がめくられて肌寒く感じた。

 かと思えば温かい体温がくっついてきたようで。

 ふわっと香ってきたいい匂いに、意識が一瞬でクリアになった。


「……紫乃さん?」

「目を覚ました? 楓」


 jigjwiamfklafjifejefagfagaggak――!!!!!!!!!!

 吹っ飛ばしそうになるのをすんでのところで堪え、私は驚いた声をあげる。


「ど、どうしたんですか~? びびび、びっくりしましたよ……!」

「いつものことじゃないか。いつもこうして一緒に寝て、温め合っていただろう?」


 一切そんなことありません! と思いながら、私はずりずりと布団から逃げ出す。

 しかしすぐに肩を押さえられ、ズッと布団の中に戻される。

 私はちら、と天井を見る。夜さんの瞳が輝き、音もなく立ち去った。

 紫乃さんが胡散臭いので、夜さんに念のため待機してもらっていたのだ。

 夜さんは羽犬さんを呼びに行ってくれたはずだ。時間を稼ぎつつ、私はこの状況について調べなければならない。


「紫乃さん……」


 灯りのない真っ暗な部屋、覆いかぶさった紫乃さんの匂いはいつもと変わらない。けれど眼差しも触れ方も、話し方も違う。全体的に、妙に粘っこい。

 本当の紫乃さんにこんな感じに迫られたら、私はどうするのだろう。

 想像しようとしたところで、急に頰を撫でられて悲鳴が出た。


「う、うあー!?」


 顔を思いっ切り押しのけると、しかめ面で紫乃さんが見下ろしてくる。


「なんなの? 恥ずかしがってるの?」

「え、ええと……」


 紫乃さんがこんなことをするわけがないし、キスを拒否して嫌がるような人でもないはずだ。


「ほら。いつもしていることだろう? 目を閉じて」

「ひ、ひいい……」


 まだ口にはされたこともないのに、このなんか変な紫乃さんにキスされたくない。

 私はどう振る舞うべきか、必死に考える。

 目の前の紫乃さんらしき人は、私が抵抗しないと思っている。

 今のこの気持ち悪い行動が「紫乃さんらしい」と思っているのだ。冗談じゃない。


 普段の紫乃さんを知る人が見たら、明らかにおかしいと思うような行動をするのはなぜだろう。

 これでは、入れ替わってもすぐにばれてしまうというのに─。


「もしかして……私がすぐに気づくように……?」


 わざと本物の紫乃さんが、噓を教えた?


「楓?」


 目の前の気持ち悪い紫乃さんが、真顔で私を見据えている。

 ハッとして、顔をぶんぶんと横に振ってごまかした。


「あはは、その、紫乃さんにぼーっとした寝顔を見られて恥ずかしかっただけです」

「可愛いよ楓。愛しい俺の妻。もっと近くに来て? 体温を感じたいんだ」

「うわぁ……」

「うわ?」

「あ、あはは……どきどきしちゃーう」


 今すぐにはやかけんビームでぶっ飛ばして逃げたい。

 しかし今は穏便に話を合わせるしかない。

 私もへらへらと笑いながらもじもじと距離を取る。けれどまた、引き戻される。

 耳元にキスをされ、悪い意味の悲鳴が出そうになるのを堪える。

 するりと衣擦れの音を立て、紫乃さんが後ろから私に腕を回してきた。


「楓」


 耳を掠める囁き声。うなじの産毛が総毛立つのを感じる。

 体に触れようとする大きな手をそっと摑み、私は平静を装う。


「あ、あのちょっと近すぎません?」

「夫婦なのに、近すぎることなんてないよ。それとも……久しぶりだから恥ずかしがっているの? ずっと触れて欲しかったの?」


 さりげなく久しぶりかどうかを確認してきたのは、私たちの関係を探っているのだ。

 指を絡める。

 紫乃さんの偽物が、ふっと微笑む気配がした。

 もう嫌だ。普段の紫乃さんならともかく、今の紫乃さんとこんな距離でもちっとも嬉しくない!

 むしろ気持ち悪すぎる! 顔も声も体も紫乃さんなのに、違う違う違う! なんか変だ! 変すぎる!

 焦りと不快感が頂点に達した私に、電撃のようにアイデアが降りてきた。


 攻撃は最大の防御なり。

 私は例の大修行イベントの日を思い出す。

 あのとき最後に私が紫乃さんに勝てたのは、守るのではなく攻めたから。

 攻められるのが嫌なら、こちらから攻めるしかない。


「……紫乃さん」


 私は覚悟を決め、胡散臭い紫乃さんに向き合った。

 ええい! なるようになれ! と、迫ってくる紫乃さんの胸に手を当て─私は勢いよく押し返して、体重をかけた。


「え」


 とすん、と紫乃さんが布団に倒れ込む。

 茫然としている彼に、私はすぐに馬乗りになる。


「可愛いですね紫乃さん」

「楓?」

「いつもみたいに可愛がって差し上げますよ」

特典情報出てます~!

中身については書報にてまとめてます。よろしくお願いします。

たっぷり書きました!

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