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【コミカライズ開始】身に覚えのない溺愛ですが、そこまで愛されたら仕方ない。忘却の乙女は神様に永遠に愛されるようです  作者: まえばる蒔乃@受賞感謝
第五章・祭り

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空と海と

https://x.com/maebarumakino/status/1848636465892495452

すごく粗忽者なご協力ご依頼(拡散希望)がありますので、もしエックス見ていらっしゃる方がいらっしゃいましたらお願いします……!(人に名乗りそびれた話)

「これは?」

「巫女だから踊るのが一番速く回復になるのよ。巫女神楽ってことで、三曲頑張って」

「待ってください、アイドルソングですよね!? しかも結構ハードなやつ!」

「古式ゆかしい神楽でもいいけれど、一曲が長いから回復に時間かかるしねえ」

「そういう問題!?」

「これなら約三分の曲を三回、計十分程度で全回復」

「簡単に踊れるやつよりも回復が速いのよ」

「そうそう、記憶を失う前の楓ちゃんをだいぶ鍛えたわあ」

「鍛えられてたんだ……」

「きっと体が覚えてるわよ、はいスタート!」


 言われる通り、確かに曲が始まると体が勝手に動く。

 神楽鈴をいい感じにしゃんしゃん鳴らしながら、自分でも驚く切れのよさで三曲を終了した。

 息が上がる。座り込んだ私に、人魚さんたちがぱちぱちと拍手する。


「体力落ちてんよ、楓ちゃん。またしばらくダンス付き合ってあげるね」

「あ、ありがとうございました……今後もよろしくお願いします……」


 立ち上がって頭を下げる私に、彼女たちは手を振って「いいよいいよ」と言う。


「いいよいいよ、お礼は気にしないでー」

「まあ、伝言伝えてあげた代わりに今度のチケ取り手伝って欲しいなあ」

「一緒にDVD観て欲しい。初見の楓ちゃんの新鮮な反応が見たい」

「そ、それくらいなら喜んで……」


 ふと、私は岸が見えなくなっていることに気づいた。天神よりもどちらかというと、志賀島や能古島のほうがはっきりと見えてきた気がする。


「あの……人魚さん、私どうやって戻ればいいと思います?」


 みんなが顔を見合わせる。

「先輩呼ぼっか」

「だね、先輩が適任だよね」

「先輩とは?」


 彼女たちは海の中に向かって、呼びかけた。


「冷泉せんぱーい!」


 突如、波が揺れる。

 船が怯えたように姿を薄くしていく。


「えっ嘘、落ちる、あわわわわ」


 海の中から、規格外の大きさの人魚が現れる。船は消え、私は彼女の両手の中に収められていた。


「こんにちは、今世では初めましてだね」


 おっとりと微笑まれる。どこか多国籍なムードのある、長い巻き毛とふわふわのマシュマロボディが魅力的な美女さんだ。博多の冷泉山龍宮寺には全長百四十七メートルの人魚が埋葬された伝説が残る。彼女もその同族なのだろうか、このサイズは。


「こ、こんにちは……」

「陸に行きたいのかな?」

「は、はい」

「えいしょ」


 彼女はなんてことないように、私を天神方面の空に放る。あとは飛べるよね? と言いたげな笑顔で、私に手を振って海に消えていく。


「うわーッ!!」


 複製神域といえど、重力はあるし落下はする。

 私は放物線を描きながら天神に落ちていく。

 もうダメだ。声にならない。どうしようもない。

 気絶しようとした刹那。


「はいはい、回収しますよっと」


 体が急にふわっと軽くなり、私は誰かの腕に抱き留められていた。


「羽犬さん!?」


 空中に浮いたバイクに乗った羽犬さんが、私を横抱きに確保してくれていた。


「お疲れぇ。頑張りよったねえ、えらいえらい」

「えーん、死ぬかと思いました」

「あはは、死なねえよ楓ちゃんは。死ぬほど痛かろうけど」

「それはそれで嫌だなあ」


 羽犬さんは私をバイクの後ろに乗せてくれる。黒い車体に金のラインが眩しい、流線型の美しいバイクだ。黒革のライダースジャケットを合わせて、犬耳の形に尖ったフルフェイスのヘルメットをかぶっていて、すっごくかっこいい。


「ところで今、花を散らさせてもらったんだけどさ」

「えっ!?」


「へへ、俺の願いも聞いてくれん?」

「どんなことですか?」

「時々今みたいに、空のドライブ付き合ってよ。ひとりで走るのもいいけど、楓ちゃんと一緒に走りたいんだよね」

「それは……別に、梅の花のお願い事にしなくてもお付き合いしますよ」

「楓ちゃんがよくても、紫乃がなあ」


 苦笑いする。


「紫乃にやっぱ遠慮するやんか。俺は楓ちゃんのこと可愛い妹みたいに思っとるけど、紫乃からしたら面白くねえ存在になりかねないし」

「そんなものなんですか? 一緒に暮らしてるし、気にしないんじゃ?」

「俺が気にするって話よ。っつーわけだから紫乃、よかよな?」


 羽犬さんがスマートウォッチに話しかけると、紫乃さんの声が聞こえた。


「相変わらず義理堅いな、お前は。だからこそ信用しているのはあるが」

「信用さんきゅー、愛しとるよ紫乃♡」


 紫乃さんの後ろのほうから、ひゅーひゅーと外野の声が聞こえる。


「誤解を招くだろうが。男二人で楓育ててるから、余計に妙な詮索されるんだぞ」

「だはは」


 私も紫乃さんに話しかけた。


「紫乃さん、人魚さんたちを連れて来てくださってありがとうございました」

「回復したか?」

「バッチリです!」

「よかった」


 紫乃さんの声が、少し柔らかくなった気がした。


「羽犬としばらくその辺うろついて、空気中の霊力をしっかり吸収してきなさい。羽犬からは吸うなよ、バイクが墜落するから」

「わ、わかりました」


 通話は切れる。バイクは心地よい速度で天神の上を走る。

 他の魔女さんや天狗さんよりも高い場所から見下ろす天神の街は、まるでおもちゃみたいだった。山と海に囲まれ、整然と並んだ町並み。中心を貫く那珂川。川と海が人と物の流れを生み、発展していった街─古代から栄えたのが理解できる立地だと思う。


「……気持ちいいなあ……」


 しばらく無言で風を感じていたところで、羽犬さんが私に話しかけてきた。


「……紫乃のこと、好き?」

日記①

ベタベタですけど私ニンジャ好きなんですよね……バイクの……

黒×金の凄くかっこいいのを……佐賀行ったときにツーリングしてるお兄さんが乗ってるのを見かけて……とてもよかったです……

日記②

寒暖差で完全におしまいになってます 

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