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自由に過ごしたい魔物使い  作者: 志位斗 茂家波
夢追い人(ドリーマー)になり、そして魔王にもなるで章
139/162

これは病と言っていいのだろうか?

面倒ごとの予感しかしないなぁ

・・・・・・異常が発覚したのは1ヶ月ほど前。



 エルフの長・・・・・アルべリアいわく、名前はルーンというそうだが、この長の肌に何かが出来ていたのが始まりらしい。


 最初は足の裏にちょっとした塊が出来ていて、魚の目のようなものかと考えていたそうだ。


 だがしかし、徐々にいつの間にかそれが足から上へ広がり、段々鱗のような形状へ変化していった。


 そして、ついにはこのような大蛇の姿に変貌してしまったのだというのだ。


「気が付いたときには、集落の者を襲いたいような強い衝動にかられ、皆に頼みこみ、こうやってこの洞窟に隔離され、縛られているという状況なのです・・・・・」


 そう大蛇が・・・・・元エルフの長ルーンが説明したが、今こうやって説明できているのはまだ昼間だからなのだとか。



 真夜中になると理性が飛びそうになり、無性に周囲の生物を襲い掛かりたくなるような衝動にかられ、非常に苦しい思いをしているのだという。


「・・・・・しかし、エルフがこんな大蛇になるような病って聞いたことが無いな」

【大昔に銀色に光る素早い液体状のスライムになる病なら聞いたことがあるでござるが‥‥あれは毒のせいだったでござるな】


・・・・・え、なにその気になる情報。というかそれって、倒したら多めの経験値が獲れるあれか?


 ルピナスのその言葉で、まずはその体が変化する毒がある可能性が出てきた。



「そんなことがあったのか?」

【生前の事はいま一つ覚えてないが、印象的なものなら思い出すときがあるのでござる。特に、毒関係でござるが・・・・・生物が別の姿に変えられる毒というのはそうたやすく手に入らぬものでござる】

『とりあえず、毒の有無を確かめるために血液検査から入ったほうが良さそうですネ』


 そうワゼがいうと、腕をいきなり変形させた。



 そして、その変形してできたものは・・・・‥‥ワゼの身体以上に巨大な注射器である。


「でかっつ!?」

『これは大型生物用の採決器デス。このような大蛇の場合、鱗がぶ厚いことが多いので、それを貫通できるようにしているのデス』

「いやちょっとまって!?それをこの私にぶっ刺す気か!?」


 流石にその注射器のでかさに、大蛇が、エルフの長であるルーンが慌てだす。


 そりゃ注射って苦手な人もいるが‥‥‥あれはでかすぎるであろう。


 

「やめて!?まだ血を出す方法ならあるから!!」

『問答無用!』


 

ドスッツ!!

「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」



・・・・・うん、すっごい痛そう。


 ワゼが刺した注射は深く刺さり、吸い上げて中に血液が貯まる。


 長は白目をむき、気絶したようだけど……なんというか、ご愁傷さまです。



「ま、まぁ、ワゼ、解析はできるのか?」

『これだけあれば、十分可能デス。‥‥‥本当は、指先にちょっとぐらいで良いのですけど、これだけあったほうがやりやすいですしネ』


 ちょっと待て、つまりそれだけの血液を採る必要がなかったんじゃないのか?




 そのツッコミを入れ損ねつつも、ワゼが血液の解析に取り掛かる。


 ついでにファイもピポから様々な薬品などが入った薬品棚などを出してもらい、そちらでも解析を始める。


【ふむ・・・・・A27番、D25番に異常は無しカナ。で、G19からK13も特に・・・・・】

『血液成分分析中・・・・・平均的なエルフの血液成分と一致箇所34%・・・・・大蛇化により成分変質確認中・・・・・・』


 少々時間がかかるようなので、結果が出るまでとりあえずこの状態になるまでの異常とかがなかったのか、リューたちは尋ねた。


 ルーン本人は気絶しているので、アルべリアに聞いたのだが‥‥



「うーん、1カ月前の長も、これまでずっと何も変わったことはしていなかったのじゃよ。いつも通り朝起きた後は集落の者たちを見て回り、時たま森から抜け出してどこかへ遊びに行ったりしておったし‥‥‥その先で、何かがあったとしか思えぬのじゃ」


 どうやらこの長、アレン国王のようによく色々なところへ行く癖があり、その先で何かがあったとしか言えないようだ。


 だがしかし、何か異変があればすぐに長自身が言ったりするのだろうけど…‥‥もしかしたら、知らぬ間にその先で何か食し、その中にこの大蛇となった原因のものがあったのかもしれない。



 と、考え込んでいたところでちょうどワゼとファイの分析が終了したようだ。



『分析結果‥‥‥毒物反応アリ。ただし、成分の一部が破損していたり消失していたりするせいで、正確な結果ではありまセン』

【こちらも似たようなものカナ。多分数種類ほどの毒物を同時併用されているタイプで、それぞれの効果が作用しあっているようだけど……特定が難しいカナ】


 どうも二人とも特定がしにくいようなものらしい。


「つまり、解毒できるかどうかまでいけないものか?」

【結論付けるならば、そうなるカナ。毒というのはそれに対応した血清や解毒剤が必要なのだけど、色々複雑にからみあって作用しあっているからその解毒用のもそれに対応させないと難しいカナ】

『うかつに成分を間違えるとどれかの毒が強まり、もしくはさらに副作用がでたりして、このままだと迂闊には解毒不可能デス』


 ファイもワゼも、そろってお手上げというように手をあげた。



「そ、そんな・・・・・どうにかならないのかのぅ?」


 アルべリアが悲しげな顔を見せたが、今回ばかりは難しいようである。


 とはいえ、ワゼはまだ考えがあるようで、少し悩んだあとに話し始めた。


『‥‥‥解毒が難しいのであれば、別の解決方法として、3つほどありますけどちょっと厄介かもしれませン』

「というと?」

『1つ目は「血液の総入れ替え」デス』


 幸いというか、この毒らしいのはどれも血液の中を流れているからこそ効果が発揮されており、血液そのものをきれいなものに入れ替えることが出来れば、自然と毒を抜いて元の身体に戻る可能性があるのだとか。


 ただし、それはそう都合のいい話ではない。


 大蛇化しているせいか、通常のエルフ1人分の血液よりも流れている量が多いらしいので血液が足りないかもしれないし、、しかもこれは一気に変えなければいけないものだが、それだけの設備はここに無い。


 同じ血液型の人をと思っても、少なくとも集落にいるエルフ全員分では足りないそうだ。





『2つ目が「万能薬」と呼ばれる類の使用デス』


 魔法とかがあるこの世界、どんな病を治せるような万能薬のような物も実はあるらしい。


 だがしかし、現在それの入手は難しいそうだ。


『それらはエリクサーなどと呼ばれるようですが、それの産出は現在ありまセン。精製方法も不明ですし、ほぼ入手不可能デス』


 原材料も不明なので作成不可能であり、この案は不可能のようだ。



「じゃあ、3つ目は?」

『3つ目の方法なのですが、この毒を盛った人たちに直接解毒方法を問いただすのが良いかと思われマス』


・・・・・ああなるほど。


 その案に、全員が納得して手を打った。


 考えてみれば、毒を盛った人がいるならばその人の下に解毒剤がありそうなものである。


 もしくは、その入手先を聞ければ、そこで解毒剤を得ることが出来るだろう。


「‥‥‥というかそもそも、エルフの長ルーンさんに、こんな大蛇の毒を盛って得するような奴っているのか?」


 ふと、その疑問をリューはつぶやいた。


「言われてみれば、こんな人を変化させるような毒を使用するのも妙な話しですわよね」

【偶々盛られたか、もしくは狙ってか‥‥‥そのあたりは分かりませんよ】



 何にせよ、今は解毒をさっさと出来るに越したことはない。


 というか、そろそろ夕暮れ時になってきたようで、もう間もなくルーンは理性が吹っ飛んで襲いたくなるようなので、聞ける時間も本日はあと少ししかない。


「ルーンさん、大蛇化する毒を盛られた記憶ってありますか?もしくはその心当たりとかないでしょうか?」



 気絶から目を覚ましたルーンに向かって、リューはそう尋ねた。


「そうだね‥‥‥1カ月前から変化が出たという事は、その時当たりの事だから‥‥‥あれかな?」

「あれとは?」

「ちょっとここから出て、遠いところに行ったことがあるのだが・・・・・確か、都市アールバスだったか。1カ月前に口にしたものであるならば、そこにあった店で食事したことぐらいしかないな。その店の名前は・・・・・確か、クーレスという店か」


 つまり、その店の食事ぐらいでしか外での食事は記憶がなく、時期としてはそこが最も怪しいらしい。


「でも、確かその店の料理は900種類以上あって、適当に頼んだからどれが原因かといわれると思い出せない・・・・・」



 メニュー多すぎない?


「いや、その店が原因だとして、同じような毒を含んでいるようなメニューがあるならば、他の人達も同じような症状がでていないか?」



・・・・・なにやらものすっごい嫌な予感をリューたちは感じた。


 もし、その大蛇化する毒がそのメニューにあったとしたら、同様のものを頼んでいる人は他にもいるのかもしれない。


 そして、もしそれを食した全員に毒が回れば…‥‥街中大蛇パニックがありそうだ。


 隠す人がいるかもしれないけど、ここまで見事な大蛇になっているとなるとそう身を隠せるようなところはない。


 しかも、人を襲うとなればとんでもないことになるだろう。




 リューはすぐさまワゼにその情報収集を命じ、急いでその都市へ向かうことにした。


 アルべリアたちにはそこでまだ待ってもらい、一応念のために暴れても大丈夫なようにルーンの大蛇の身体にはハクロが作った縄で新たに縛っておいた。



「こういうのって、誰かが意図的に毒をばらまいたようにしか思えないけど・・・・・いったいどこのどいつが大蛇化を狙ったんだろうか」

【というかリュー様、これって毒の組み合わせによって大蛇化しましたよね?でしたらほかの組み合わせになっている可能性も・・・・・】


 ハクロのその言葉に、更に嫌な予感をリューは覚えた。


 こういう時は大抵、その嫌な予感が当たるものである…‥‥

大蛇化する毒が、都市の飲食店で出回っていたとしたら。

もし、他の組み合わせの毒もあって違う物になる物もいたら。

そして、人々を襲う衝動に駆られるものだとしたら。

最悪な状況を考えつつ、次回に続く!!


・・・・・にしても、こんな人々を別の生き物の姿に変えるような毒を使うやつって何を企んでいるんだ?かなり重い奴ならまだしも、ふざけた理由の奴もいるからなぁ・・・・・


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