第3話 目指せ! 有馬記念!
「あぶない衣装も整った事だし、これから騎乗して訓練に入ろう」
「き、騎乗? 誰が騎乗するんですか?」
「御主人様に決まっておろうが」
「私、キスもまだなんですよ。それなのにいきなり騎乗だなんて!」
「安心しろ。キスをしながらでも騎乗はできる」
「私が騎乗しちゃってるーっ!」
「馬美君には年末の有馬記念を目指してもらう」
「有馬記念? あのファン投票で選ばれた馬だけが出場できる?」
「いかにも。1レースでの馬券の売り上げは世界記録になる、最高峰のレースだ」
「舞台は千葉県船橋市の中山競馬場ですよね。距離は2500メートルと長い。高低差も平地なのに5.3メートルありますよね」
「そうだ。体力がものを言う。おまけに冬の馬場は枯れ草だから重い」
「雌馬は冬場はホルモンの分泌が落ちるから、余計に不利ですよね」
ここでもっともらしい解説が入る。
有馬記念に出場した牝馬は今までで139頭。その内一着になったのは69回の開催でわずかに8頭。
圧倒的な強さと人気で有馬に複数回出場した、ブエナビスタ、ダンスパートナー、ヒシアマゾン、エアグルーヴなどはいずれも一着にはなれず。
有馬には3回選出。内2回が2着!
有馬では残念ながら6着と14着。
有馬には3回選出。1994年の有馬ではナリタブライアンに敗れ惜しくも2着。
有馬には2回選出。3着となった。
「有馬を制した雌馬は数えるほどだ。だが安心しろ」
「御主人様、何か秘策でも?」
「俺様が冬でもホルモンを分泌させまくってやる!」
「ええっ、私、分泌しまくりの体になっちゃうの〜?」
つづく




