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第07:WHO星系、手紙の配達~其の3。改革。

 

 7日目、一行が帰還し、鎌倉でアルト派に向かい入れられる。

 各組織の改革案もすでに出来上がり、政治的な調整も終えており、残った各種調整を行うため帰還に、マシな連中、ゴミな連中は襲ってくるも、アルト派によって全滅させられる。一人の残らず捕獲されて牢獄行き。

 各組織の代表代理による議会の運営も行われ、結果としてはまずまず。

 色々な処罰の末に、アルトは星守りを呼ぶ。

 泣きはらした青年は、未だに泣いており、あれ程のスペル使いも恋には敵わず、全てを拒絶されて打ち砕かれた挫折。

 飛行団の方もそんな星守りは捕獲せず、全てが終わってから星守りが運ばれた。

 サツキとしても色々と有るが、考えれば気の毒な青年でもあり、姫の方にも色々と有ったが、忍びによって守られて別室にいる。


「よう」

「若」

「だから言っただろバカ」

「どうすれば」

「ひとまず武器の訓練で侍に行け、それだけはしておけ」

「はい」


 星守りは侍1年生に配属された。

 サツキとしても悪くない処置で有り、アルトのやり方は確かに問題もあるが、決して血の通わない冷酷ではないし、事情やらなんやらも考慮するやり方には好感が持てる。

 改革の若手の方は終わり、これらの情報からの大人へと手が伸びる。

 代理による会議もあるが、代表同士の会議により、素早く決定していく、サツキからしても見事な手並みとしか思えないやり方で、本気での改革を行う気なのは分かる。

 全てが終わり、アルト派による改革案が完全にまとまった。

 ログアウトした後に、改革を行い、後にログインしてから各所との話し合いになる。


 七日目の0時の前に強制ログアウト。

 自宅のVRルームにログインとした二人、全てを行う為に動いた。

 姫の方は半分の行う事は理解しており、全ては知っていないが、止める事はなかった。


 飛行団の若者たちへ外出禁止令、その他の者へも外出禁止令、実質的な全外出禁止令に、反対するところもあったが無視された、日本連邦全土がこのようになり、情報の一切が遮断され、最初にゴミな連中以上の屑の連中が排除、次にゴミな連中が排除、抵抗するも一人残らず全てを奪われて生き残りは捕獲された。

 マシな連中は抵抗せず、全てが終わっていることは分かりきっているので、捕獲された。

 若者、大人の二つに伸びた改革、老人達もすでに決しているのは分かっているので、抵抗せずに捕獲された。


 全てが決した夕方。

 帰宅したアルト、サツキの方もアルトの自宅に不思議に思う。

 極普通の一戸建て、平凡な敷地に、平凡な建物、全てに於いて平凡と言い切れるような一戸建て、使用人の一人もいない、護衛の一人としていない、極普通の一般的な家庭の当たり前の自宅だ。

 周囲の方も同じであったし、どこもかしこも同じ様なものばかり。

 サツキとしては偉そうな建物に、使用人が一杯、護衛がごてごて、ごつい警備ロボット、正しく権力者というイメージの中にいたので、不思議としか思えない。

 自宅にはアルトの父親のスカオ、妻の夕霧と美姫がいた。

 アルトの方は父親によく似ており、姫の方ば美姫と瓜二つ、夕霧の方はアルトの実の母親らしく、性格がよく似ていそうであったし、纏う雰囲気が瓜二つだ。


「帰ったぜ」

「お仕事ご苦労様です。夕飯は出来ていますが、そちらは」

「サツキです」


 三名とも意外そうな顔で、夕霧の方が微笑んでからお茶を入れる。


「お気遣いなく」

「いいのです。アリサはお元気」


 母親の名前にサツキは硬直し、夕霧を見る、この日本美人のような女性は微笑みながら話してくれた。


「レドの妻の一人ですから、戦友ですし」

「そちらの美姫さんは」

「同じくです」

「スカオさんも」

「同じだ」


 サツキも考えてみれば、天井画に書かれるような英雄達、知っていてもおかしくなく、どうも母親の戦友たちの自宅に来ていることに、姿勢をさらに正した。


「仕事も終わったし、まずは飯だな」

「お前はいつも飯ばかりだな、偶には」

「そう言うなよ」

「やれやれ」

「じゃヒメの方は」

「色々と話してくれた」

「そうか、まあ振りまくったからな」

「なぜお前なのか、困る話だ」

「半分じゃないとだめって泣いてね。あれは恋なのだと分かった」

「あの子は諦めが悪いですから、何とかしてください」

「サツキもいるし、よい結果になればよいが、まあなると信じている」

「あの子、アブノーマルよね」

「ああ。それが困る」

「もう少し出会いを増やすしかないわ」

「なるほど、それはどうにかしよう」


 夕飯の方は味噌汁に白米、各種漬物、メインはコロッケ、建物並みの平凡な料理だ。

 集まっての夕飯、姫の方はアルトの隣に座り、泣き腫らした顔でいた。

 食べ始める夕飯、サツキが思うにこれは何だろうという味わい、別に不味い訳ではない、恐ろしく美味しいのだ。料理が上手というレベルではない。見た目こそ平凡だが、味わいの方はサツキの母親が作るような味に、思わず涙が零れる。

 親御さんたちは何も言わず、どうやらサツキを心より歓迎してくれたようだ。


 夕飯の後に、子供達用のフロアに行く。

 地下の方にあり、広い空間に小さな公園のような敷地、二人の使う建物はやはり平凡と言い切れるような建物、サツキと二人以外はおらず、護衛ロボットがいない代わりに、維持の為にロボットが一体いた。

 贅を凝らした建物より、よほど良い感じの建物だ。

 建物内部にも一人のロボットがいた。

 メイドのような格好ではあるが、取り立て美貌とかいう感じでも、スタイルが良い訳でもない、特に強そうでもない、極普通のメイド担当のロボットという感じだ。


「サツキ様ですね」

「はい」

「アリサ様はお元気でしょうか」


 まるで人のように尋ねるこのロボットに、サツキは頷いてから話した。


「はい。元気にしていると思います。イーニャの細工師ですから」

「そうですか。それは善かった」


 そう言ったメイド担当のロボットは去る。

 どうもサツキの知らない事は多そうであったし、知る必要がある事も多そうであった。

 二人に案内された部屋、真新しい部屋で有り、内部の方にはサツキの私物がある。


「好きに使ってくれ、手伝いは姫が行う」

「手伝います」


 姫の気持ちは嬉しいのだが、出来たら遠慮してもらいたいとは言えないサツキであった。


「じゃ俺は他の事でもしておこう」


 アルトが去る、サツキとしても新しい生活ではあるし、母親の戦友の所でもある、姫の方は問題の箇所もあるが感じの良い女の子、アルトの方はザ・権力者という奴でもあるが、別に問題がある訳でもない、サツキを押し倒そうとは考えない奴でもあるし、何か変な事をする奴でもないから安心でもあった。そもそもサツキはガキに対し、アルトの周りはあれである。


「姫」

「なんです?」

「アルトの仕事関係の周りは知っているの?」

「いえ全く」


 納得であった、もし知れば姫がキレる事は間違いなしばかり、しかも若い方から大人まで年齢層も種族も幅広く、連邦の社会事情からも女性が多い。

 あれを知った姫が怒り狂うのは目に見える、色々と不味い人しかいない。

 男性に於いても全てに於いて優秀な人材ばかり、文武に優れるなどは当たり前の関係先だった。

 好みの男性もいたで、当然のようにアルトに言ったのだが、子供は趣味じゃないの一言で一蹴された。

 サツキも容姿的には良い方ではあるが、アルトの仕事関係はそのレベルを遥かに超越していた。あんな耐性を持つアルトが簡単に女性に靡く事は100%ない、正しく論外の問題外で、それが姫にも言い当てられる。


「幸せっていいわよね」

「う、うん?」


 そんなアルトがサツキを受け入れた事の衝撃は大きい、正確には大きいのレベルが違う、空がいきなり海になった方がマシなぐらいのレベル、全ての関係者がサツキを見るのは頷け、各顔にはあり得んという文字しかない。

 中には色々と向けてくる人も多かったし、多くの理由が何故?中には激昂する者もいるぐらいだ。アルトに部下というべきか、非常に困る二人もいて、スターの同類という少女の二人だった。しかも護衛兼秘書のトップの二人だ。

 居辛いというレベルではなかった。


「あれは知らない方がいいわ、遭わない方があたしは幸せ、姫にとっても幸せが近付くからそうしなさい」

「う?う、うん」


 □


 残業を終えてから、そろそろゲーム時間開放前なので、着替えてからVRルームに行く。

 二人は待機していた。

 VR専用の衣類、別にエロいボディスーツではなく、普通の衣類に各種の専用パーツの入ったカスタムだ。


「お仕事は終わったのですか?」

「ああ。特に問題もないし、ゲームが安心してできる」

「正直に言うと、あたしは地味すぎるわ。これは地味しかない」

「そうですか?」

「格が違うもの、強いて言うのなら砂粒と惑星の差が有るわ」

「じゃ頑張りましょう」


 頑張っても無理としか言えないレベル、土台の基礎が違う。


「あれを見て超地味て言葉がよくわかるわ」


 サツキはしみじみに思う。


「訓練でもするか?」

「辞めておく、どんな目に遭うか分かったものじゃないわ」


 一言で言うのならアンチサツキの勢力、賞金が懸けられない方が奇跡のような場所だ。


「じゃ始めるぞ」


『アルト、姫、サツキのログインを確認』


 親御さんたちは別に忘れていた訳ではないが、問い合わせの多さに困っていた。

 関係先全てからの問い合わせに、困る事しかない、引き下がるところはまだ良いが、引き下がるとは思えない事情の所もあり、また猛烈な所もあって、一部の所からは激怒し過ぎた激昂から政治的な問題になりかけていた。

 サツキの事情もあり、話す訳にもいかないので困る事しかない。

 親御さんとしても色々な絡みから、仕方なしに強制的にログインを許可した。


『ログイン許可を確認、ログインします』


 □


 現れた三名、飛行団の専用の2号区画、三名の家の近くにあるポイントだ。

 使える人材の№1の星守りが居ない為に、若手№2決定戦の真っただ中。

 一応会議、仕方なしに最年長にしてプレイヤーの零が手配し、何とか厳選し、アルトの書類を持ってきた。


「これ位だ」

「彼奴のバカさえなければ」

「使える奴だったからな」


 №1と№3は揃って溜息を吐く、サツキや姫としても意外に思えたが、それ程に星守りは有能だったらしい、それも若手の年齢を考えれば恐ろしく有能な奴でもあったようだ。


「かといっても、彼奴の代わりになれる奴なんて、いるのなら当に引き抜いているしな」

「足せば何とかなるレベルの奴しかいないが」

「足しても達するか怪しい」


 二人はまた溜息を吐く。

 候補に挙がる者達、どれも粒ぞろいの優秀な者達だが、星守りの優秀さに比べればどう贔屓目で見ても劣る、しかも一人残らず星守りより年上でもあった。

 考える二人に、サツキは仕方なし提案した。


「アルト」

「ん」

「彼奴に、星守りに選んでもらえば」

「そいつは正論なんだが」

「優秀なんでしょ?」

「ああ。文句のつけようがない、しかも年齢は15才だ。彼奴の代わりになる奴が居たらどこも欲しがる、それでも残っている奴は皆無だ」

「探してもらえば?」

「その手があったか、しかし彼奴がいなくなるのは困る、飛行団の仕事の多くの面で彼奴なくしては動かん」

「でもどうにかしないと潰れるわよ」

「仕方ないか、零、呼んで貰えるか」

「彼奴に探させるのは良いが、幾ら彼奴でも難しいぞ」


 そう言った零が呼びに行く。

 現れた星守り、全てが様変わりしていた、まず侍装束、腰に指すのは刀、本気で侍を目指すらしい事が分かる気合に入れようで、呼び出したアルトに侍の礼儀を示した。

 余りの変わりにように言葉がないサツキと姫。


「何か若」

「お前の代理が最低限可能な、10代を探してほしい、将来的にはお前の右腕だな」


 さすがの星守りも言葉がない、いかに無茶苦茶な仕事か星守り自身がよく知っている、アルトや星守り位の優秀な人材で、しかも10代という条件がいるはずもない。

 星守り自身も何度となく調べたので知っていた。


「居ません。いるならば当に引き抜いて、俺の仕事を押し付けています」

「それは連邦でしょ?」

「ええ。そうですサツキ、しかし俺のような純血の異星人に従うものがどれほどいます、若のような方でも非常に珍しいのですよ?」

「探さないと、貴方のオフはどうするのよ」

「確かに、時間だけはどうにもなりませんからね」


 いかに優秀な星守りと言えど、時間だけはどうしようもない、この困難な仕事をこなしオフの時間を獲得するしかない、そうしなければ永遠に侍の訓練は難しい。


「団長を頼るしかありません」

「ソードか、仕方ないな、向かおう」


 準備し向かう。

 騎士団も大忙しであったし、現れた四人に、団長の元に通され、アルトの同世代の傑物の少年は、仕事をこなしながら用件を聞く。


「星渡の代理が可能な奴を探している」


 執務室のソードも、他の者も言ったアルトを見る、ソードが代表して言った。


「いるなら当に引き抜いているわ。しかもお前にくれてやるだ?バカ抜かせ」

「同盟なら」


 部屋の者達は真っ青になる、ソードもこのバカにつける薬を探すが、悪くはない話でもあり、運が良い事に幾つかの所よりも似たような人材探しの話もある。

 セイバーが休憩を取り、部屋に中の者を追い払う。


「同盟か、確かに、既に時代の変化からあちらこちらが改革準備だ。嵐の前の渦中に飛び込む事になるぞ」

「それでも欲しい、星守りの代わりになる様な奴の一人が手に入るのなら安い物だ」


 ソードとしても星守りの変わりようもあるし、幾つの情報もあるが、この優秀すぎるスペル使いは正直言ってほしかったが、扱えるのかも別にあり、この点、アルトの能力には一目置いていた。

 兎に角にも人材の宝庫のような所の飛行団、この人材を束ねる星守りの優秀な人材管理能力には、素晴らしい物が有り、他の能力も突出しており、特にスペルに関係する能力は恐らく世界でも屈指、スペルマスターに匹敵する唯一の人材でしかも年齢で15歳で有った。

 考えるソードではあるが、正直喉から手か出るほど欲しい、こいつがそれを手に入れにいくのだから、ソードがそれを我慢する必要はもうない。


「分かった、セイバー留守を頼む」

「心得ました」


 向かう先は侍の所、用件を伝える、案内される。

 冥夜も十兵衛も生き生きと仕事をしており嬉しそうだったが、あまり歓迎できない組み合わせの一向に、恐る恐る十兵衛が質問する。


「どこに何しに」

「同盟に人材探し、準備してくれ」


 二人は困る、同盟と連邦は宿敵、和解などあり得ない関係で、国民レベルでそれであった。

 しかしソードも、アルトの牙をむいた星守りも、サツキも、姫も行くのに、侍の二人がここで留守番をするのはどう考えてもあり得ない。

 重い事を動かすしかないのだが、気が向かないというレベルではなかった。

 そんな二人にやる気に出させる話をアルトはした。


「称号持ちを探しに行けるぞ」


 この言葉に二人は準備し始める。

 スターの方も察知して現れ、ワイバーンも捕獲されて待たされていた。

 説明に、困る事しかなかった。


 □


 アルト、姫、星守り、サツキ、ソード、冥夜、十兵衛、スター、ワイバーンの一行は同じ地球サーバーの、AZAに行き、その旗艦の所にいる一人に会いに来た。

 説明に、ホーは言葉がない、こいつらはバカだろうかではない、ひとまず正気かどうかのランクのなんかで、こいつらは狂っているとしか判断できなかった。

 しかし彼らはを失う訳にもいかない、どうしても行かない、怨嗟に満ちた地球の冷戦を何とかしようとする奴らであり、狂っているからしれないが、悔しい事に能力はずば抜けたモノがあるものばかりで、失う訳には絶対に行かなかった。

 素早く考える、人材で済むのなら兎に角も探すしかない、陣営内でも最高峰の人口を誇るAZAでも優秀な人材を集めるのが、ホーの趣味だ。

 このホーを以てしても星守りのような10代は皆無だった。スペルマスターレベルの10代を探すというのはまずいない、何故ならスペルが使えるのがその10代が最低レベルなのだ。それも生まれた頃より訓練してである。

 それを15歳でスペルマスタークラスの星守りの能力は飛び抜けていた、ずば抜けているというレベルではなく、天才中の天才、スペルの愛されまくった少年なのだ。

 それをスペルも知らない同盟に探しにいく言う、どう考えても無理だ。

 どうしようもないが、どうにかしなければホーの好きな平和が崩れる、これらの葛藤に末に友人に助けを求めた。

 呼び出された星、泣きそうなホーに、一行、またこいつらの無茶苦茶が始まったと言った所だ。


「泣くなホー」

「だって、こいつらが無茶苦茶を言うんだ」

「まず話せ」

「同盟に探しに行くって」


 星は妙な事を聞いたというべき事だ。この為に確認せねばならなかった。


「どこに行くのだ?」

「同盟」

「・・・同盟?」


 頷くホーに、星は頭が真っ白になった。

 大嵐の前の、敵の中に探しに行くという、姫とアルトを除けば一人残らず称号持ち、実質的な最高戦力のような構成、どいつもこいつも最高峰の人材ばかりであるし、下手しなくても死ぬことはない、このゲームワールドの中であるが、いくらなんでも無理だ。


「どうしてもか?」

「そうだ」

「正気とは思えん」

「至って正気だ。今日の所はここら辺だ。これだけの称号持ちに戦う気がなれる奴らかせいればよいが」


 台湾の将に星にとってみても、無理だと言い切れる、敵と繋がる事は不可能、どうしてても無理な事の一つだ。


 □


 連邦より同盟陣営の中に行く、厳戒態勢の中、草原の中を歩く一行を発見するのは簡単だった、一人残らず超高額の賞金首、姫を除けば通称は化け物級のランクに入る正しく化け物たちだ。一兵卒が敵う相手ではない。

 報告し、確認の者が幾人も現れ、一人の勇敢な者、どうせ戦えば負けるのは決定のような相手達だとやけくそになって交渉に訪れた。


「何の用だ連邦」


 一兵卒の者が言うと、化け物代表のような地味な顔の奴が笑って言う。


「挨拶に来た」


 同盟の一兵卒は、直ぐ報告し、これが済むと武器を抜き襲い掛かる。

 星守りが動き、武器を抜いた一兵卒にスペルを使い眠らし、呟く。


「よい夢を」


 進む中、9名の殺害に多くの部隊が現れる、しかし星守りの眠りのスペルにより、一人残らず夢の世界に入り、接近する事すら無理だった。


 戦いというべきか、歩く一向に、通常部隊など何の意味もなく、全員がスペルによる昏倒を受け、どんな射撃武器も不可視の壁の前に弾かれる。

 胸を焦がす様な憎い宿敵を前にし、傷の一つもつけられずに眠る兵達。

 中国の通常部隊は捨て石になるも、傷の一つもつけられず、後方の司令部は歯ぎしりでも我慢している方で、切り札を使う。

 タオ、中国の道という意味の術士。


 現れた道士達、一行に攻撃するも、星守りのスペルにより全てが消える。

 力の差というものは筆舌つくし難く、星守りにとってみれば軽い挨拶でも、道士達からすれば全力らしく、いかなるダメージも負わない一向に、道士達は攻撃を繰り返していたが、その最後尾の指揮官が攻撃を辞めさせた。

 傷の一つもつかない、力の差は歴然としている。ここは交渉するのが最良。

 攻撃が止み、アルトが代表して話しかけた。


「挨拶に来た、少し話せないか」


 敵と話す事は禁忌の一つ、奪われる覚悟が無ければ無理だ。

 かといってもこのままでは全滅、責任を取らされて死ぬか、得てから一筋の希望に縋るか、指揮官は昔を思い出し仲間に別れを告げた。


「何の用だ連邦」

「ちと聞きたいが、地図はないか?」

「ない」

「では道を尋ねたい、どこにある」

「何を探している」

「どこに行けば先があるのだ」

「どこにもない」

「道士ではないのか?」

「力があるだけの人間に過ぎん」

「道の士が力か、自衛の力か?」

「敵を殺す力だ」

「殺してどうするのだ?」

「それが我らの道」

「敵の躯と血で染め上げた道か、気分が暗くならないか」

「爽快な気分になる」

「仲間の躯を見てか」


 言葉が止まる。


「道を尋ねたい」

「貴様らには教えぬ死ね」


 交渉が決裂し、同市の指揮官は力を使うが、星守りのスペルにより昏倒した。

 他の道士達は撤退する。

 怨嗟と憎しみばかりの地球の若者の台詞だ。

 サツキも姫も、ここまでとは思わなかった、心から憎んでいる、どうしようもない、和解など夢を通り越し、妄想すら可愛げのあるものだ。

 次に仙人達が現れる、道士の一人の行いもあり、多くが助かったが、優秀な指揮官だったためにおしい事であった。

 歩き出している一向に、仙人達の若長が顎をしゃくる。

 攻撃が始まり、その全てを星守りのスペルにより防がれる、何をやってもどうにもならない。


「化け物共め」

「効きそうにありませんな、にっちもさっちもいきません」

「どうにかしろ」

「どうにもなりません。蒼い翼の前に我らの攻撃が効いたためしがない」

「化け物が、これだから異星人は嫌いなんだ」

「どうにかしませんと責任を取らされますぞ」

「全くだ。兵器の用意は?」

「若、効く様な可愛げのある奴らではないのです。出る前に言ったではありませんか」

「お前の言葉を聞いておくべきだった。今までありがとうな」

「いえ、話をして持ち帰るしかありません、相手の目的さえつかめば、もしくは可能なのかもしれませんぞ。古老たちも連邦の作戦は常に意味が分からない、彼らの目的や作戦は我ら同盟の常識が通じない、この為に作戦レベルでの失敗しかないのです」

「しかし、俺は異星人が嫌いだ。彼奴らと話すぐらいなら死んだ方がマシだ」

「そこをどうにか、これも作戦の一つと思えばよいではないですか、若が頼りなのです」

「全く厄日だぜ」

「攻撃は続行させておきます」

「ああ。酷い日だ」


 仙人達の若長は動く、力を使い飛行して進むが、化け物たちは歩いてる、仙人達の攻撃すらなにの障害にもならない、攻撃が全て途中で消える、力の差は歴然としておりこれを埋める事は叶わない。


「何の用だ連邦」


 化け物の一人が挨拶する、地味な顔に侍の恰好の奴だ。


「挨拶に来た」

「はっ」

「ちと道を尋ねたい」

「んなもんねぇ」

「場所の名前は知っている、そこに至る道を探している」

「気持ち悪い」

「この星の先は何処にある」

「てめえらの墓場かな」

「常々疑問だが、お前らは話す気があるのか」

「ある訳がねェ」

「じゃなんで話す」

「仕方ねぇから話してんだよ」

「俺達は道を探している、お前さんは困っている、互いにどうにかしたい、違うか?」

「ああ」

「どうしたい?」

「ああ殺してぇくそ、目的は何だ」

「だから道を探しているといっただろ」

「意味が分からん、これだから異星人は嫌いなんだ」

「かといっても至らねば続くだけだしな」

「分かるように話せ」

「分かり易く言っているが、翻訳機能の失敗か」

「てめえらの言語体系がおかしいんだよ」

「ひとまずこのままでは意味がない、何処か休める場所はないか」

「ああ酷い厄日だ」


 若長が戻る、側近の攻撃を止めさせ、化け物共を招く、司令部より何をしているとヒステリックに伝わるが、側近は黙殺させた。

 直に見る連邦の化け物共に仙人達は観察する、どのみち蒼き翼が守るので何の意味もない事は明白であり、側近が気を利かせて水を出した。


「あっお気遣いなく」


 化け物の一人がまともな事を言った、どうにも言葉の通じるらしい。


「で」

「至る道を探している」


 また始まる、意味の分からない言葉を話す化け物の代表だ。


「至る道ですか?」


 側近が考える、道は至るからこそ道ではあるが、至るような道があるとは思えないのが現実だ。確かにそれだと納得できる。


「なるほど、奥深いですね」

「分かるのか?」

「道は至るから道なのです、至らない道は道ではない、しかし至ると思える道もない、かといって道を探さねば導もない、だからこそ道を探すのです」

「意味不明だぞ?」

「正しい、至る道とは至るから道である、それ以外は道ではない、どの様な道であろうと至るのなら道である、それが何であれ道は道である、それがいなる状況でも道は道である、よって至る道は道である」

「何に至る道なのです」

「知る道」

「知る道ですか、なるほど、中々素晴らしい言葉です」

「いいのか、我々の事を知れば殺されるぞ」

「ああ構いません、我々は若の一派ですので」

「なるほど、どうりで」

「何を知るのです」

「至る道に至る道を知る者への至る道を知る者」

「なるほど、確かに道です。なるほど、まずは知る者を探さねばなりませんね。はていたものか」

「おいこいつらは」

「若はもう少し頭を使いましょう」


 仙人達は一斉に頷く、若長はぐっと我慢していた。


「知る者ですか、これは大変な旅路になりますね。皆準備を」

「おい」

「連邦を知った以上、我々を生かす事はない、特に若を殺したがる者は多く居ます」

「酷い厄日だ」

「指揮官の方も拾っておきましょう、彼は良い仙人になりますし」

「そうかよ。くそ厄日過ぎて涙が出るぜ」


 素早く準備を整え、回収する道士の指揮官も連れ、旅に向かう。

 次に来たのはロシア、奇妙な一向に、確認の連絡を入れるも全て途絶、連邦と仙人達が何かをしに来た、超弩級に危険な生物まで連れているのは正気とは思えない。

 通常兵力による攻撃、超弩級の危険生物によりこれは無力化、近接を挑んだ勇者は眠らされ、毎度の様な化け物級の力は正しく化け物だ。

 通常兵力ではどうしようもないので、魔導戦力を解き放つ。

 現れた魔術師たち、司令部は思い切りがよく魔導士まで出した。

 魔導士の長は、蒼き翼を生やした美しい化け物を見る、見惚れる様な美しい生き物ではあるが、力の比は違い、単独で幾つもの軍が潰され、掛けられた金額も飛び抜けている。


「全てを出し切る、我らに加護を」


 全力での加護、魔術師、魔導士、騎士、聖騎士の長達が武器を抜く。


 近接を挑む四人、攻撃をし続けながら進み、そこに地味な顔の化け物が帽子を取って挨拶してきた。そして言う。


「道を探している、知らないか」


 聖騎士の長も、騎士の長も、魔術師の長も、魔導士の長も沈黙する。

 連邦の意味不明な事は常日頃、会話できる者ですら意味が分からない事が多く、色々と受け入れ過ぎて言語体系に変化が起きた事は明白であった。この為に地球にいる連邦は異星人と同じ意味の連中た。

 裏切り者の日本人もいるが、この平べったい地味な顔に、道を尋ねる者、噂に聞く尋ねる者だ。

 常にいう事は一つ、探している、道を、どの様な武器も魔法でも傷つけられず、相手を傷つける事すら稀な超弩級の賞金首、通称尋ねる者。


「みれば騎士か?」


 騎士の長を見て言う、騎士の長はどうしたものかと考えるが、尋ねる者は相手を傷つけないし、殺害もしない、確かに力は化け物だ。しかし時には傷ついた者を癒す事すらする、祖国でも捨てられるような者を助ける事も多い、訳の分からない奴ではあるが、やる事は間違ってはいない、見境もなく殺害するよりよほどまともだ。


「二人の騎士、少し道を尋ねたい」


 聖騎士も、騎士も同じく騎士と認識されたらしい、仕方なしに二人は武器を収める。

 どのみち傷つける事は叶わない、どんな事を言ってもどうにもならない。


「至る道を探している、知らないか」

「何に至る道を探している」

「道に至る道だ」

「なるほど、正しく道を探しているのか」

「知らないか?」

「我ら騎士は戦う力、道を知るはずもない、知っているのなら当に歩んでいる」

「騎士なのに歩まらないのか?」

「・・・我ら騎士は力、自由な人ではない」

「それは剣ではないのか、騎士なのになぜ剣を気取る」


 訳の分からない事ばかりだが、言って居る事は至ってまともな言葉だ。


「騎士の武器は剣、我らは騎士、剣を持つ者、なるほど、確かに騎士だ」

「どうする?」

「どうするも何も、尋ねる者の噂は知っているだろ」

「まあな」

「国が掛けた賞金も大きい、それ以上に捨てられた同胞を助ける変な奴だ」

「どうする?考えないと不味いぜ、帝国が知ったら殺しに来る」

「一度戻ろう、偉い変な日だ」


 魔術師も、魔導士も武器を収める、偉い変な日であった。

 戻って来た四人が言う、尋ねる者の一行だと。

 ロシアでも有名な賞金首、尋ねる者、いかなる武器も魔法も効かないが、常にいう言葉は探している、道を、これを尋ねる、だから尋ねる者。

 途方もなく強いのに、傷つける事すら稀、侍のようではあるが、刀を抜く事は間違いなくなく、いかなる状況でも何も変わらずに道を尋ねる、どの様な者も差別も嫌いもせず、どの様な身分も地位も意味はなく、どの様な境遇であろうと意味はない、ただ道を尋ねる。

 傷つき倒れかかる者を癒し、どの様な病の者も癒し、どの様な醜い者でも尋ね、どの様な美しい者にも尋ね、癒しそして尋ねる、探している、道を知らないか。

 いつの頃からか現れる噂、絶望しかない地球では有名なお尋ね者だ。

 その賞金額も信じられず、その行いも信じられず、何も信じられないが、どんな事が有っても消える事のなかった噂、尋ねる者。

 ただ一つある事は判明している、尋ねる者に遭えば必ず消える、この為に忌み嫌う者が多いが、消えてもよいなと思う様な奴なら特に気にしない。

 そう言った消えてもよいな、という奴らしかいないのがこの四つだ。


「どうするよ?あれは尋ねる者だ。全てが一致している」

「噂の化け物が何用だ」

「噂は常にある、ただ侍の証の刀を付け、いかなる攻撃にも傷つけられず、道を尋ねる」

「知った以上は殺されるぞ、彼奴らを見ればわかる、侍から何までがいる、しかもこちらの攻撃が一切効かない、何故か仙人達もいる、あれは恐らく尋ねられたのだろう」

「道ね、そんなものがあるとは思えんが」

「どのみち捨て石の我々が、こんな奴に出会えば取るべき道は一つしかあるまい」

「・・・」

「屑のような連中にゴミの様に使われるか、そのまま使い潰されるかしかない我々だ。何を迷う?」

「・・残してきた者がある」

「尋ねる者に一任すればいい、何とかしてくれるだろうよ。それが交換条件でも悪くはない、どのみち失うものはない」

「決まりだな」

「お前が代表になれ」

「え、でも俺は」

「気にするな、最初に騎士と認識されたのはお前だ。お前でいいのだ」

「了解」


 一行の方に騎士の長が進む。

 若い傷だけの少年は、尋ねる者に一つの条件を出した。


「旅に出ようと思う、だが残してきた者が居る」

「どうにかしよう」

「礼を言うぜ尋ねる者」

「ああ」


 騎士とその仲間達の旅が始まる。


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