第06:WHO星系、手紙の配達~其の2。想い。
次に追いつかれた追っ手、忍者№2の風鈴と侍№3の誉の二人だ。
風鈴は金髪に染められたのウェーブ掛かるストレート、顔は表情のない機械人形のような整った顔、身に着ける衣類も色々と足りない様な短い衣類、スタイルの方はやや子供のような凹凸が少ないのがネック。
風鈴は一直線にアルトを見ているし、誉の方は冥夜を見ていた。
「はいダーリン」
サツキとしてももう嫌と言いたい、どいつここいつも恋に狂った連中過ぎる。
「前々から疑問だが、俺のどこがいいのだこんな地味な奴が」
全員が首を傾げる、サツキとしても容姿以外は派手なものしかない奴がアルトだ。
「容姿」
風鈴の誰もが困るような台詞は斜め上だった。
「後はおまけって感じかな」
よく分からない女の子であった。
良識派のサツキはアルトに提案した。
「まずはお互いの気持ちから」
「愛しています」
「興味がない」
「何が不満なのよ?」
「そこが知りたいダーリン教えて」
「興味が持てない」
どうも風鈴の様なギャル系には、興味が持てない様な奴がアルトらしい、女性陣としても一つの勉強になったが、風鈴の方は特に変化がない、これには困る。
何せ日本連邦は女性が多い、そんな中で男女同権を言う奴が居るが、それをどこまで国民が行うかは別にある、女性社会の連邦で、アルトの様な奴がどんな目に遭うかは考えなくても分かる。
「どうして?」
「純血主義者が嫌い」
そう言う所だったのかと納得の一同、半分を持つアルトが純血に走る様な奴だったら仲はとうに最悪であることからも推測が付く、だが恋に狂っている風鈴はそんなものはどうでもよいようだ。
「他は?」
「ギャル系は嫌いだ」
ここまでの事を言われても風鈴は揺らがない、大したタフさだ。
「思想、容姿か、これは要改善」
「それって全部じゃの?」
「だから?」
サツキの言葉に、風鈴は一瞥もせずに底冷えするような感情のない声を出した。
まるで機械のような感情のない奴、ただアルトへの恋はこの少女の全てらしく、全部を変えてすら恋を実らせたいらしい、凄く極端な女の子、確かにこれは不味いとしか言えないサツキだ。
「アドバイス聞く?」
「聞く!」
一瞥もしないが、声には歓喜の感情が漲っている。
「ひとまず相手の好みでも調べたら」
「ダーリンはそんなへまはしない」
「確かに、なら清楚な感じにしたら」
「うーん。それはどうなの?」
懐疑的らしい、恋する女の娘らしく、全てはこの恋の成就のみに特化されているらしい。
「だって、姫の様にすれば、好感度も上がらない?」
「それは考えなかった、どうもありがとう」
「後、服装は面積を気にした方がいいわよ」
「面積?」
「セクシー系は好きじゃないのよこいつ」
「ありがとう。好い情報」
風鈴が撤退した。サツキとしても交渉で撤退してもらえれば幸いだ。
二人から一人になった誉、純血の日本人らしく黒々とした髪に、色白の肌の青年だ。
「冥夜様」
「お前もこりんな」
「どうかお考えを」
「意味が分からない話としか思えんぞ」
「日本に冥夜様に力がいるのです」
こちらは比較的まともそうな会話だが、サツキは信じていない、どう見ても惚れている。
十兵衛の溜息を吐いて渋々説明した。
「戦国に戻るべきという懐古主義者です」
誰もが意味が分からない、戦国に戻る意味って何だろうとサツキは思う。
「その理由が、侍のあるべき姿と」
「何の姿よ」
「戦国時代の闘争が好きな奴なのです」
「バカじゃない」
「そう言う考えの持ち主なのです。中々改まらず」
「よく持ったわね連邦」
「ええ。良く持ちました」
「上が嫌気がささない方が変な奴らばかりじゃない」
「まだマシな分類なのです」
夢も希望も一切がない、どうしようもないレベル、技術とか、そう言う問題ではない、根本的な人間性、人格や思想の面で狂った連中しかいない国、としか思えない。一行がどれぐらいまともな連中かよくわかるような国、それが連邦らしいとサツキには思えてならない。
「日本でも立て直さないかなり不味いわ」
「可能とは思えませんが」
「そうね。こんな奴でもマシな分類って変な基準よ」
「基本的に連邦は能力主義一点です。他の方は見ての通りなのです」
「能力以外が変よ」
「ええ全く」
「面倒ね。アルト片付けて」
サツキの言葉に、アルトがスペルを放つ一瞬で誉の心臓が貫かれHPゲージが消滅し、淡い光を放って消滅した。
そこにアルト達の真の意味での味方が現れる。
アイヌの若長のナコルル、№2のリムルル、琉球の若長のティータ、№2の南風、薬師の若長のレンズ、薬師№2のクサラ、巫女の若長の出雲、№2の水鏡、潜水団の若長のシー、№2のクー、№3のウイッチだ。
武器を構えようとするサツキに、他は武器は下ろしていた。
「よう、なんつうか久し振り」
「僕らも逃げさせてもうよ。じゃ」
レンズが手短に言うと、他の者達は怒涛の様に逃走していた。
「彼方は真の意味での味方だ」
「ああまともな奴らね」
「じゃ逃げるぞ」
一行も逃走。
□狂都
到着した都、アルト達の真の意味での味方も、無事に到着。
門番も全力で逃げている一同に吃驚、事情聴取の為に呼び止めアルトが説明した。
「そのような話ですか、どうぞお通りください」
「感謝を」
通された一同、240万名中の味方はたったのこれだけ。
狂都の入り口の所でそれぞれが休む。
姫とサツキがそれぞれに挨拶、真の意味での味方、全員が若手の首脳部。
ワイバーンも納得のような面々だ。一人残らず苦労する側。そこには純血も、混血もなく、地球人も異星人もない、共通した苦労ばかりを長年続ける面々だ。
2,3名の集まりが首脳部、これだけしかまともな奴のいない連邦の実態、苦労するわけであった、むしろたったこれだけで巨大組織を運営できる方が変であるが。
飛行団の方はアルトと姫のみ、どのような連中であったか分かり易い物であった。
他にも忍者に関してはスターのみ、どれ程の事であったか、分かるものがある。何せマシな№2が風鈴だ。酷いというレベルではない。
飛行団も、忍者も若長は下を一切信じてもいなかったという事になる。
他の2名の所はマシ、3名の所は成功例だ。
「苦労するな」
優美な顔のスターがアルトに言う、アルトは首を振り、スターには意外に思えた。
「今頃、飛行団のまともな連中も動いている」
「上を逃がしたのか?」
「せざるに終えなかった」
「忍者達にも教えてやりたいものだ」
「無理だろうな」
「小波、姫野は元気か」
「ああ。二人ともよくやってくれる」
「そうか」
かつてのスターの幼馴染にして№2と№3だ。
二人とその一派は、忍者の腐敗具合に愛想を尽かし出奔した。
侍の所の一派も、薬師も、巫女も、潜水団も、アイヌも、琉球の一派も、アルトがかき集めたまともな連中ばかりだ。そうでなくて飛行団の巨大組織を運営できる筈もない。
そう言ったまともな連中は、あちらこちらのまともな連中と共にアルトと共に色々と動いていた。騎士団の者はいない、彼方はソードの元での一枚岩、いかにソードが傑物かわかるというものだ。
「相手はいるのか?」
「いや」
「そうか」
スターは昔を思い出した、懐かしい過去だ。
「主は見つかったのか?」
スターの言葉に、アルトは迷ったが頷いた。
二人が幸せなら何も言う言葉はない。
「難しいものだな」
「ああ」
「感謝を」
スターの偽る事の出来ない心からの言葉、随分と久しぶりの感情だ。
「僕からもいい?」
ワイバーンの投げかけに、アルトは迷うが頷いた。
「皆は元気?」
ワイバーンの一派、日本の最高戦力の使いの人達だ。
「ああ。良く笑う様になった」
「それは善かった」
ペールピンクのショートヘアーの小さな戦士は、もう帰ってこないモノを思い出した。
「鞘は見つかったかな?」
「多くが」
「それは善かった」
アイヌも色々なのだ。時間が経てば当り前である。
冥夜も、十兵衛も聞きたい事は有ったが、今は聞かなかった。
アルトの半分も、サツキも知らない裏方の話だ。
「休憩は終わりだ。代表に会いに行くぞ」
アルトの言葉に、それぞれが頷いてから腰を上げる。
姫も、サツキも合流し、嬉しそうにしていた。
多くを見て知っている5名は何も言わない。
10万名の大都市、かつての江戸のような建物が多く、時代劇好きにはたまらないような街並み、歩く人々の恰好も着物が多く、概ね現代風に近い、例えるのなら着物だけとミニスカートなみとか。
一行の恰好の洋服の為に浮きまくる、明らかに異邦人だ。
「アルト」
「ん」
「お腹がすきました」
そう訴える姫に、他の者も似た様なものらしく、一様に頷いていた。
我慢しろというのは簡単だが、スキルを使ってどうにかするしかないのだ、しかし全員が武器・研究・事務の3個。武装も初期装備、エネミーを狩ろうにも現れるのは巨大なタウンシップ、にっちもさっちもいかない。
「私が探るか?」
「いやとうも根本的な生活力を身につけるしかない、方法を探る為に自由行動だな」
全員が頷いて行動を開始した。
「待て待て」
全員が止まる。
「ヒントだが、ゲームなのでクエストがある、これは確認済みだ。何かをすることで何かが手に入る事になる、要するに仕事だ。以上」
これで全員か納得して動く。
アルトのPTは町中を探索し、一つの建物を見付けてほくそ笑む。
「あれだな」
「決定です」
姉妹の方は以心伝心、姫の方は分かっていないようで何だろうといった顔で見ていた。
アルトとしても異論はない、その建物は道場、看板も出ている。
進み門番に冥夜が挨拶した。
「ここは開いているか?」
「道場なら開いているが」
「そうか、通ってもよいか」
「別にいいぞ」
四人が中に入り、道場に入り、三名には凄く懐かしい剣の稽古中で、子供も大人も剣の稽古、更に三名のほくそ笑む。
冥夜と十兵衛がアルトを見る、黒一点の少年も頷き、指南役の方に歩み寄る。
「なんだ部外者」
「つかぬ事を御確認させてください」
「あ、ああ」
「賭博は好きですか?」
「賭博?ああ好きだが」
「なるほどなるほど、一つ賭け試合をしませんか」
「ふむ。まずは腕前の方だな、門下生ぐらいにしておこう」
【クエスト:道場の賭け試合】
『受けますか』
YESを選択した。
「誰が試合する」
「私だ」
「分かった」
門下生の一人と冥夜が試合をする、互いに礼を行い、構えてから門下生が駆け出して振り上げようとしたところを冥夜の木刀が胴を薙ぐ。
「一本それまで」
一つの試合が終わる。
「次も試合するか」
「頼む」
次の門下生は大人、これも冥夜の一撃での一本。
「中々の腕前だ、ひとまずあんたの次だな」
「なら私です」
子供の門下生、礼をして構え、振り上げた木刀を突いて弾きそのまま面をした。
大人の門下生も同じ様にして倒した。
冥夜より木刀を借りたアルトが、子供の門下生と大人の門下生を倒した。
次に冥夜が師範代と戦いこれに勝ち、十兵衛、アルトも勝つ。
賭け試合での報酬を受け取った。
姫が空腹で倒れかかっていたのでアルトが担ぎ、近くの飯屋に入る。
食事後の作戦会議。
「まずは装備だな」
「刀だな」
「ええ」
「他にもPOT」
「ポーションですね」
「姫の装備も整えなければならない」
「ボクは弓がいいです」
「なら決まりだ」
今度は装備を求めて飯屋を出て、歩きながら武具屋に入る。
侍の三名は刀、姫は弓と矢筒と矢を購入した。
「意外に高かったな」
「ですね。物価は高めのようです」
「次は服だな」
「いいですね!」
次は服屋、入った店での服の値段に困る、高いのだ。
出直し、次のクエストに探す。
道場での賭け試合、次に見つけた力仕事の作業、荷運び、手紙の配達等々。
これらを終える頃には時刻は夕方、稼いだ資金を持ちながら広場に集まる。
それぞれとの挨拶、クエストは見つかっていたらしく、全員の装備が違う。
「代表に会いに行く前に装備を整えよう、他にもスキルLv、いつでも旅に出られるような感じにしよう。宿の方は少数だし一塊だな。薬師や巫女ではかなわない奴らも多いし」
薬師も巫女は基本的に非戦闘員だ。戦闘員の侍や忍者や戦士には敵わない。
「宿の基準のスターに一任しよう。よいか?」
「構わん」
「では移動だ」
スターの選んだ宿、広い敷地に囲まれた二階建ての宿屋、ここでの休みに入る。
□
日本の侍3名のアルト、冥夜、十兵衛、忍者1名のスター、琉球の戦士2名のティータ、南風、アイヌの戦士1名のワイバーン、潜水士の3名のシー、クー、ウィッチは集まり、ひとまず挨拶。
「まずはクエスト情報の交換か」
アルトが言うと、他の者も肯定し、同意した。
「まずは侍からしよう」
この決定に、十兵衛が説明し、他の者も生命線なので真剣に聞いていた。
次に忍者のスターが説明し、琉球の戦士の南風が説明し、アイヌの戦士のワイバーン、潜水士のウィッチが説明し、情報交換の一つが終わる。
次に装備の情報交換、次に道具の情報交換、四番目に衣類、こちらの衣類の方は値段が高過ぎて商品の安値の物でも高いのが悩みで、より安い物を探すしかない。
これ位で切り上げて、それぞれの夕飯に戻る。
その後の風呂は男女交代、交互の守る。
着替えの服もないので、これは深刻な衛生の問題につながるが、仕方なしにそのまま休む。リアルでは夏休みの前日、このゲームワールドでは初春頃、過ごし易い物の夜は冷える。
半分の事もあり、アルトは二人に頼み部屋を一緒、姫が狙う事には二人も薄々理解できるので承諾し、二人がガードした。
安全になってからベッドで休む。
半分の方はお多福風邪のように頬を膨らませ、壮絶に不満そうにベッドに入った。
翌朝、明け方に起きる。
アルトは半分を確認し、健やかに寝ていた。
他の二人も起き始める。
「おはよう冥夜、十兵衛」
冥夜も十兵衛も久しぶりによく寝たので、朝が気持ちよく起きられた様だ。
「おはようございます兄様」
「兄おはよう」
挨拶の後に、半分を起こし、あれだけ寝たのにまだ眠そうに寝ようとする。
「姫、起きろ」
「うにゅ」
「起きろ」
何とか叩き起こし、不満そうに起きる姫。
「おはよう」
「おはようございます」
「食事に行くぞ」
「うん」
朝方の食事、サツキ達と合流し、他の方もPTの話もちらほら。
琉球の戦士の二人は薬師の二人とPTを組み、巫女の四人のはPTを組み、潜水士の三名もPTを組む。
3個のPTが生まれた。
戦士と薬師のPTはティータはレンズを推薦したが、レンズがティータに頼み、これを受けティータがリーダーになった。
巫女の四人のうち、日本の二人、アイヌの二人は色々と話し合ったが、ナコルルに決まる。潜水士のPTの方は最も若いシーとなる。
アルト達、サツキ達とリーダー会議。
「じゃリーダー会議、優先するのは安い服だな」
このアルトの話に、他の者も肯定する様に頷いて、ティータがとあることを話した。
「裁縫のスキルもあったし、染織も有るしね、そう言った生産スキルの方も十分視野に入れるべきだし、かといってもLvも上げないと取れないし、やはり狙うは安い中古だ」
「妥当ね」
サツキの同意に、ティータの方は意外そうな顔で質問する。
「サツキはいいのか、他人が使った物だのに?」
「別に気にしないわよ」
「姫様なのに」
「そういうのじゃない」
他の者からすれば十分お姫様なのだが、サツキはこう言ったものが嫌いなのだ。
ナコルルの方も意外そうに顔でサツキ見てから、とある提案を行う。
「共闘PT組みませんサツキ」
「共闘?あれはまあ今は無理ね。何せ装備が整わないし」
「そうですかぁ・・分かりました」
「ごめんね」
あんな父親の娘ではあるが、全く似ていない為に、意外に普通な感じなのだから、誰もが内心は驚くようなものだ。
「ん、私達、潜水は生まれながらの訓練を辞めようと思う」
シーの言葉に、他の者も深く同意していた。
「私達は間違っていた、これを繰り返す必要はもうない」
「ウチナーも同じ」
「ウタリも同じです」
「俺達はまだ無理だ。しかしまあ自滅はしてもらう」
「悪辣」
「そう言うのは誉め言葉というのだ」
「こんなののどこがいいのか」
「さて、次に行こう。夏休み期間中の全参加者の外出禁止令」
「ん、賛成」
「問題なしさー」
「賛成です」
「今頃本心むき出しでの闘争、ありがとう」
「外道」
「こちらも気持ちよく潰せるのが嬉しいね」
「星守りは?」
「スペルの封印、後に幽閉、禁固の方は50年位かな」
今回のPOのログインで、今までの事が一気に噴き出し、これを利用して一気に連邦のゴミ掃除と改革を推し進める、それが若長達の思惑の一つだ。
「ん、なぜ殺さないの?」
「ああ。疑問か、彼奴は優秀な囮だ。何事も分かり易く単純、優秀と言われているが、どの方面でとなる」
「都合のいい囮、ですか」
「最大の敵を手元に置いた理由がそれだったか、分かり易い奴だったからね」
「風鈴の方は、まあどうするスター」
「昨夜考えていた、引き取ってはもらえないか」
「別によいが、寝込みを襲いそうなのがまあ困る」
「小波と姫野に守らせているのだろ」
「半分の方はな」
「次に遭遇したら話しておこう」
「ああ」
「後はあの戦バカだな」
「始末するのは簡単なのですが」
「左遷かな、適当な役職に配置換えかな」
「薬師の方はどうにかなる、まあまともな連中が上がり、ゴミの連中は排除、マシな連中は左遷、残るは適当です」
「巫女の方も同じくです。適当に踊ってくれたので褒美は与えましょう」
「しかし、いい夏休みだ。幸せが近付くな」
誰もが頷いていた。まさしくバカンス一直線だと。
若長達は今後のゴミ掃除と改革の話に入っていた。
□
ログイン三日目、昼間まで話し合いを続け、問題の多くを終わらせ、今後の事もありクエストの方も進める。
サツキの方は、色々な話を聞いて溜息を吐く、正しく政治話の難解さ難し煩雑さはあまりに面倒なのだ。姫の方はサツキと共に暇ばかりの時間だった。
全員が未成年ではあるが、アルトのような悪辣な者もいれば、違うような考えの善良な者もいる、しかし現状は酷過ぎ、このままでは連邦は潰れるのは目に見えていた。
この結果、改革なくしては進めず、適当にという意味の、最善を尽くしてこれをこなすしかなかった時に、このPOであった。
知らない方々は、今頃楽しい闘争劇、リアルに帰還すれば待つのは破滅。
そこに一人の忍者が現れる、波打つ金髪に染め上げられた風鈴、服装の丈の短い服装から面積の多い物に変わっており、本当にアルトとの恋を実らせることに全力らしい。
「風鈴、話がある」
「なに」
「お前の任を解く」
「そっ」
「アルトに元に行かせる」
「それは嬉しい」
「良いのか?」
「ええ。さすがは二代、話が分かるでも」
「今までの報酬だ。幸せになれ」
スターの言葉に、風鈴の顔に初めて悲哀のような表情が浮かぶ、どうも本当と確信したらしく、それは本心からスターに従っていたらしい証、相手の元には行きたいが、かといってスターの元を離れるのも辛そうであった。
「ひとまず話は以上だ」
「・・・二代」
「幸せになれ、私にはそれで十分だ」
「・・・」
風鈴はスターとアルトを交互に見る、どちらかを取るしかない現状に、風鈴は逃走した。
「簡単にはいかないな」
「ああ」
次のクエストなどをこなし、資金を貯める。
そうやった夕方、宿に戻り、今後の話し合いも含めた夕飯、再びの政治話、サツキと姫は蚊帳の外、その後の風呂、再びの政治話、その後の睡眠、起きてからの朝食、昼間までの政治話、その後の夕方までのクエスト、これを繰り返していた。
□
ログイン6日目。
昼間までの話し合いも終え、再びのクエスト、今回は最後になるかもしれない、そこに風鈴とその一派が現れる。スターに本心から従っていた者達だ。
スターが挨拶し、風鈴が代表し、願いを言う。
「二代、お願いがあります」
「なんだ」
「主君になってください」
「何を言っている?」
「忍びには禁じられたものかもしれません、しかし私達の心からの本心です」
スターの優美な顔に初めて困惑が浮かぶ、何せスター自身が主君探しの真っ最中、ここで受ければ主君を探せ無くなるかもしれなくなる、それはスターには到底受け入れられない、かといってもこの者達を排除する様な非情なスターでもない。
困るスター、見かねたサツキが仲裁に入る。
「あんた達にもあるかもしれないけど、スターの主君探しはどうなるのよ」
サツキの言葉に、誰も一瞥もしない、正しく黙殺。
「この分からず屋共」
「落ち着いてよサツキ、アルト何かないかな?」
ヘルプされたアルト、非常に厄介な事を押し付けられて軽く殺意が湧くが、仕方なしに切り札を使う。
「お前さんらの気持ちは分かったが、忍びの主君を得る為に必要な事をせねばならない、これを各所にも認めてもらうしかない、それを預からせてもらえないか」
忍び達がざわつき始める、代表の風鈴も考えているらしく、スターとしてもホッとしていた。忍びの主君を持つ事は忍びの最大の禁忌なのだから。
これを認めてもらうために政治工作等、正気の沙汰ではない様なものだが、アルトならまだ出来、ただアルトも非常に痛手を受ける、これを厄介と言わずなんというべき事なのかわからない。
「分かりました。ダーリンに預かってもらいましょう」
風鈴の納得に、ホッとした空気になるが、姫の方は最大の警戒中だ。
小鳥が険しい顔で風鈴を睨み、風鈴の方は特に変化はない、正しくどこ吹く風の様だ。
「そう睨むな半分」
「あれはボクの敵です!!」
「恋敵な」
「そうです!!」
「振られたのに、懲りんなお前も」
この爆弾に、一同は硬直して狼狽える、色々と不味いのだ。風鈴も真っ青になってスターを見る、他の者もアルトを見ていた。
苦笑する少年に、仕方なしにカードの一枚を切った。
「だから振ったといっただろ、半分に性愛的な興味は一切ない」
これにホッとした空気が流れるが、再びバッサリと切断された姫の方は、大粒の涙を零し泣き始め、十兵衛があやす。
「なんで半分の俺に、そんなものを向けるかさっぱりだ」
アルトの方は、性的に関してはノンケらしい事にホッとしていた。
色々な問題の中でも、最大の懸案事項の一つが解決でき、皆胸をなでおろすようであった。素質に優れる姫ではあるが、性的にはアブノーマルな少女なので、全員が困っていた事の一つだ。
空に蒼き鳥が現れる、蒼穹の翼を生やした知的な美貌の貴公子、星守りだ。
「お迎えに上がりました姫」
全員が問答無用で戦おうとするが、アルトはこの頭が悪すぎるバカをどうしようかと思案中だ。使えるがとことこ頭が悪いバカなので、どうしようもないバカだ。
「お前は頭が悪いな」
呆れるアルトに、貴公子の星守りは優美な片眉を上げる。
「おや出来損ないの七光ではないですか」
これにはアルトは苦笑する、頭の悪さ全快過ぎて、どうしたものかも考えられない。
「一応確認だが、何しに来た」
「姫のお迎えですが?」
「お前に一応言っておくが、半分の方はお前に興味は一切ないぞ?」
誰もが納得の事はで有り、どうみてもこちらのバカ丸出しの貴公子に興味の一つがあるのも考えられない様な物で、姫の方は一瞥もない。
「時間が解決してくれます」
誰もが思うのは一つ、無理だなと。
仕方なしにアルトが切り札を使う。
「一応だが、前に聞いてな」
「なにを?」
「半分がお前に対する評価なのだが」
「なるほど」
「キモイ、だ」
壮絶な沈黙、女性からすればそうだろうなとしか思えず、男性からしてもだろうなとしか思えない、100%繋がる事は不可能な拒絶、星守りは沈黙していた。
「まずしつこい所がキモイ、ストーカーがキモイ、もやしがキモイ」
全弾がクリティカルしていく、誰もが言うんだと言った所だ。
「思想がキモイ、性格がキモイ、容姿がキモイ、服装がキモイ、口調がキモイ」
星守りの全てがキモイらしい事が判明。
「最大のキモイ所は、スペルがキモイ」
どうしようもなかった、一切合切の全てがキモイ、星守りの誇りのスペルが最もキモイ、これでは時間も何もあったものではない。
星守りの方はさすがに沈黙し撤退していった。
「バカは追い払うのが一番だな」
「キモイのは消えた?」
「ああ」
「やったぁ!」
こちらは大喜び、あんなのに言い寄られて喜ぶ者は皆無なのは当然の事の一つで、それが追い払われて喜ぶのも当然の事の一つだ。
今頃はやけ酒の間違いなしと言った所で、青年は失恋中で初めての挫折だろう。
「クエストでもしておこう、バカには良い薬だ」
アルトの方は星守りを評価していた方なので、誰もが意外な事だった。
クエストの方は最近の一行の馴染み深い、道場での賭け試合、この試合が最も効率の良い資金源の一つであり、一日一回ではあるが集まってPT単位で試合を勝ち、次の道場にも行き、狂都の道場全てでの賭け試合を終える。
戦闘系にとってみればもっともの効率が良いが、生産系の薬師や巫女の方は別の効率の良い所に行っていた。
溜まった資金での古着屋での服選び、安値でも一行には高いのが服なのだ。
基本的に男性は袴、女性の方は普段は着れないミニスカート、上半身の方は丈の短い着物、普段は絶対に無理な構成で、特に女性は100%無理だったが、ゲームと都合よく解決しこれは叶う。
「眼福」
見た目は美少年ながらも、健全な少年のティーラは喜んでいた。何せ能力などは別にしたとしても、容姿的には良い側の方なので素晴らしい光景なのだ。
女性側の冥夜、十兵衛の侍姉妹、容姿は素晴らしく丈の短い服なので魅力が素晴らしい。
忍者のスター、いつもの恰好からミニスカート、美脚の生足が素晴らしい。
日本の巫女二人、美人過ぎ、スタイルも抜群なのでもう魅力的。
アイヌの巫女の二人、異邦の美少女の為に何よりも素晴らしい。
アイヌの戦士のワイバーン、異彩を放つ桃色頭ながら、丈の短い服が素晴らしい。
潜水士の海の女性の三名も素晴らしい、全てに於いての魅力が特に良い。
飛行団の姫、清楚な美少女なので清潔な魅力が素晴らしい。
「幸せだ」
いつもは女顔とかな碌な目に遭わないティーラも喜ぶ。
側近の南風としても偶には良いかといった顔でいた。
薬師の二人も素晴らしい光景に喜ぶが、表情には出さないそんな愚行はしない。
アルトの方は暇そうに、ゲームなので購入した煙草を銜え、吸っていた。
サツキの方は全員を誉めていたが、唯一全く興味がなさそうなアルトに文句を言う。
「あんたは」
「おいおい俺は星渡だぞ」
「見慣れた物なの?」
「お前、宇宙を渡り歩けばこんな物じゃないぞ。服装だってどれだけ派手な格好があるから、裸よりセクシーの恰好で押し倒される経験を沢山すればなれる」
男性陣は一斉に向く、サツキの方はこいつをどうしてやろうかと考える。
「まあ健全な範囲かな」
「色々とアウトな事が多過ぎない」
「多過ぎるぞ?」
「一応だけど、一応よ」
「さすがに一回こっきりだから、こいつは死守している」
守っているようであることに、男性陣はなんといえばよいのかが分からない。
「意外に身が硬いのね」
「おいおい俺は星渡だぞ。当たり前の事を言うのなよ」
星渡を行う為には色々と大変な事が判明していた。
普通の男性なら、当に辞めているような仕事でもあるらしい事に、男性陣は羨むべきか、それとも怒るべきか、複雑な心中の中で葛藤していた。
「道理で」
色々な事に興味を示さない理由が、星渡の仕事の中で摩耗していたらしい、それをどう考えるのかは人それぞれかも知れないが、それを単純に幸せとはとても呼べず、周りとのすれ違いが増えるだけの事なのだ。
その役目を終える旅の途中であり、少年の普通の幸せが少しでも近づけばサツキとしては言う事はなかった。




