第03:WHO星系、老人達の逆襲
登場人物紹介、日本連邦側の貧乏くじを引いた者達。
アルト…本作の主人公、姫は片割れ、飛行団の長の息子、侍の一人の星渡見習い。
姫…アルトの片割れ、飛行団の長の娘、戦巫女の一人。
スター…日本連邦の忍者達この長の娘、若くし月光の称号を持つ。
サツキ…イーニャの細工師の娘、異星生まれに育ち。
ワイバーン…アイヌの戦士、アイヌの英雄の両親を持つ。
冥夜…アルトの刀の姉弟、所謂の義兄弟の関係。日本連邦の若侍を束ねる若長
十兵衛…冥夜の副官、冥夜の亡き婚約者の妹。
星守り…アルトの副官、珍しい純血の異星人の男性、優れたキャスター。
ソード…飛行団英雄の一人この一族の者、日本連邦の若騎士を束ねる策謀家
セイバー…ソードの副官、若き副団長、質実剛健な性格の女性。
レンズ…日本連邦の薬師達を束ねる若き生徒会長。アルトの先輩。
出雲…日本の若巫女を束ねる女性、見た目に反した中身を持つ。
シー…潜水団の長の娘、海の星渡の一人。姫の大親友。
クー…シーの副官にして星渡としての先輩。優れたキャスター。
ナコルル…アイヌたちを束ねる長の娘、優秀な戦巫女。
ティータ…琉球の若者を束ねる唐手の戦士、見た目は女性のようだがれっきとした男。
南風…ティータの副官、称号持ちの青年。
悪童…武装探偵学園の若き生徒会長、文武に優れた俊英。
A…武装探偵学園の唯一のランクA、世界的にも稀な魔偵。
サイレント…鳳凰学園の若き生徒会長、優れているものの称号には至らない。
スカル…鳳凰学園の怪盗、スターとは腐れ縁、Aとも腐れ縁等の数多い腐れ縁を持つ。
模犯製…獄龍会の組長の護衛を行う者の一人、最強に最も近し者。
星…台湾の国防を束ねる将の一人、琉球とは腐れ縁のご近所、冥夜の親友。
ホー…AZAの多国籍軍この最高司令官の息子、戦争より平和が好き。
5名が現れた一つの宇宙港、所謂の宇宙ステーションだ。
すでに数多い人たちがログインし、日本人以外にもいる為に武力衝突が起こっていた。
地球の歴史的な事もあって、国籍次第では争うのが常である、同じ陣営で集まり激しい攻防戦の真っただ中、殆ど戦争であるが、鎮圧する者もいない、調停する者もいない、そんな訳で時間単位で争いは拡大し、WHO人らして人達が一生懸命に仲裁中である。
エルフ達は地球人をいつも馬鹿にするが、そのWHO人の護衛で限界で有り、他の種族者は遠巻きに争いから離れていた。
「どうなってんのよ」
呆然とするサツキに、他の者も理解が及ばないが、再起動したスターは直ぐに意図を察した。
「くそ老木共が!?ハメたな!?」
「スター!老人に向かってそれはないわ」
「どうせ若者に苦労の一つでもしろと押し付けたのだ!!」
「おー賢い、さすがは老人」
「まあ大体の所は分かった。ちと知り合いを頼ろうぜ」
「アルトは異星の経験は?」
「まあぼちぼち、中学に上がってからは毎週土日と休日は旅だからな、国外にはよく行くし、異星にも時々は行けるしな、知り合いはいざという時に作っておくものだ。んじゃついてこい」
アルトが進み出し、近くにある一つの種族、蝙蝠の羽の生えた人達、外見は人に近く、竜の人に変化した姿の人達だ。
近付く一向に、一人の者が前に立つ。
「アルトってもんだ。タスクは居るか」
「・・・関係は」
「幼馴染って奴だな。よく冒険をしたものだ」
「・・・所属は」
「飛行団、一応確認だが、知っていたか?」
「空を統べる我らが知らない筈はない、少し待て」
待つとペールピンクの低身長の少女が現れる。
「ようタスク、元気そうだな」
「シルト、老人共にハメられた」
「大方そう言う成り行きって奴だ。他の所にも行って挨拶してくる」
「分かった」
「おし行くぞ」
次の場所に行く、翼の生えた人々、フェザートルクという人々だ。
「アルトってもんだ。ヨシュアは居るか」
呼ばれたヨシュアが来る、アルトぐらいの年齢の少年がアルトに挨拶する。
「毎度のお祭り騒ぎですねシルト」
「ああ。まあ予想は付くだろ」
「老犬共の説教臭い台詞が聞こえそうですよ」
「まあ殴る訳にもいかないしな、挨拶はこれ位で、タスクは知っているな?」
「ええ。やはりいましたか」
「ああ。まあ挨拶はしておいとけよ。じゃあ俺はよそに行く」
「星渡りも大変ですね」
「風の導きが有らんことを」
「星の導が有らんことを」
次の額に角の生えたコーンスの人々、戦いを忌々しそうに睨む。
「なんだ人間」
「日本の侍だ」
「ほう、侍」
「騎士か?」
「そのような身分の者ではない」
「あーそうか、飛行団の出身でな」
「飛行団?まさか」
「飛行騎兵の隊長さん方のご家族は居るか」
「しばらくお待ちください」
態度が違うが、そう言う貴族社会の人達なのだから仕方がない。
現れた一人の女性、近くには騎士らしき者達が居る。
「どうも、騎士団長代行の人か?」
「ええ。団長は何処?」
「色々と有ってな、まあ簡単じゃない、今頃嫁さんと一緒に旅行中だ」
「嫁さん?」
「知らないのか?」
「初耳」
「そうかい、まああんたらの事は別にどうでも良いが、くだらない政治利用はする気か?」
「下種な台詞ですね」
「あー騎士だったかそいつはすまんな、ハイケルなら結婚しているぜ」
「結婚!?」
「ああ子供もいるしな、彼奴も元気にしていればいいが」
「団長が結婚!?」
「食いつくね。まあとうにな」
「誰と?」
「ヨリィだ」
「・・・知らないわ、そんなまさか男?」
「いや女だ」
「・・・誰」
「地球人の女だ」
「・・・」
女性はそのまま失神、アルトがおつきの人達に挨拶してから別の所に行く。
三つ目の人達の所に来る、アルトが挨拶する。
「日本の侍のアルトだ。ちと聞くがブロードの家族は居るか?」
「ブロード?」
「飛行団の操縦兵隊長のブロードだ。三つ目の名前でいえばまあそんな物よりもっと馴染みやすい言葉でいえば傭兵狩りだ」
「傭兵狩りか、彼奴らなら確か」
呼ばれた三つ目の一団、アルトに挨拶し、握手も交わす、手下がボスの葉巻に火をつける、そう言う仕事の人達だ。
「おい二つ目、彼奴は何処にいる」
「お家の稼業が好きじゃないって、今頃は好きな女と育児の相談中だ」
「女?あの女嫌いが、ガキだぁ?」
「まあ色々とな、目は二つか三つかと喧嘩中でな」
「・・・嘘」
「いや色々だよな。俺もさすがにはこれは難しいと思うわ」
「・・・どうなっている」
「タスクって竜がいる、挨拶はしておけ」
「あ、ああ」
他の所にも行き、今度は男か女かもわからない人々。
「日本の侍のアルトだ。ノノは居るか」
「・・・ノノ?」
「昔馴染みでな、潜水団のアタッカーのノノだ」
「あーマリナー達か、待っていてね」
呼ばれた人のノーム、アルトを見ると抱き着き、アルトも懐かしい人に放してから挨拶する。
「ようノノ、元気そうだな」
「久し振り、随分と君が大きくなった感じがする」
「俺達にも色々と有るものだ。タスクは知っているな?」
「・・・」
「そう嫌うなよ」
「恋敵」
「でも頼りにはなるだろ?」
「ならない」
「じゃヨシュアに挨拶はしておけ」
「うん」
次の場所に行く、ドワーフという人たちの所にも行き、挨拶し、知り合いを呼んでから少しの世間話と挨拶の紹介、次にホビット、次にリザート、次にマーメイド、次にケットシー、次にビーストetc、etc。
挨拶を終えてから、最後の方に向かう。
宇宙随一の嫌われ者達、遍く知識と芸術の王、エルフ達だ。
「ホーリーは居るか」
「ホーリー?彼奴なら適当に遊びに行っていないぞ」
「あのポンコツ、今度こそ溶鉱炉に突っ込んでやる」
「あー本当の知り合いか、まあ本当に遊びにいってな」
「じゃあリールは」
「・・・何なんだお前は」
「日本の侍だ」
「侍?あの敵の多い」
「ああ。その中の飛行団の者だ」
「空飛びか、なるほど日本の侍の飛行団、異世界帰りの連中か」
「詳しいな」
「ポリス様は」
「言ったら焼かれちまうよ、あのくそマッド」
「・・・そう言ういい方は」
「俺達の神を押し倒そうとする女だ」
「それは確かにそうかもしれないが、あの方も」
「あの女は好きじゃない、極端すぎる」
「好い方なのだが」
「じゃあガーリックは?」
「いるぞ。漬物好きなら適当な飯屋にも行った」
「自由過ぎるぜ相変らず、まあしゃあない、じゃあ王子は居るか」
「・・・なぜそんなに知り合いが多い、何故名乗らん」
「面倒な女が居るからだよ。ポリスの同類だ。お前たちの性癖は変だ」
「・・・もしかして」
「頼むから王子だけにしてくれ」
「あー傍にきっといるぞ」
「・・・くそ勘がいい」
「宮廷に知られたくないのだな」
「知られたら昔みたいに捕まるからな、王子なら話が通じるのに、邪魔したな」
唯一名乗らない理由、名前を知られると追い回される事が分かるからだ。
今度はWHOの所に行く、殆どの所に知り合いが居る事を知った一同、特に姫はショック、片割れは顔がとてつもなく広い。紹介したのは恐らく父親の方。
「ピローテスは居るか」
「ピロ?ピロなら何処かに居るとは思うけど」
「ティアとコマリもやはりいるのか」
「双子の事ねいるわよ」
「キンシキは?」
「あの子?いるわよ」
「なるほどね。我らの神も一枚かんでいるか」
「あらもしかして星渡りの人?」
「父がその仕事だ」
「地球人にしか見えないわ」
「片割れは翼人だ」
「隔世遺伝ってものかしら?」
「複雑な家庭の事情って奴だ。他の知り合いも呼んだ方がいいかな」
「要すればレドの一族ね?」
「ああ。ピローテスがいるのなら全員いるな」
「ええ」
「ピュシーはいるのか?」
「ええいるわ。珍しいわよね、リャナ様がこんな事をするなんて」
「リャナも色々と苦労したから、我が子に成長して欲しい一心って奴だ」
「さすがは星渡りの人、詳しいわね」
「ああ。まあロウは?」
「彼奴ら?適当に宝さ探しね」
「コウの息子は居るか?」
「コウ様の息子?」
「人格の方だ。女性型の人格は男性」
「まだ成人に達していないから娘よそこはきっちり」
「そう言ったら彼奴怒るし」
「色々なのよ」
「ダンケル学長は」
「いないわよ。だってあの人は大人しょ」
「中身はガキだ」
「・・・詳しいのね星渡って」
「ああ片割れの母星だからな」
「ええ知っているわよ。片割れが翼人、コウ様を知っている、そのご息女も知っているのなら貴方はスカオ様の息子さんね」
「正解」
「なら通っていいわよ」
「すまんな。おし行くぞ」
通った先にはダークエルフタイプのWHO人、その中でもひと際の美貌を持つ女性、レドの長女のピローテスだ。
「何しに来た」
「我らの神にハメられてな」
「・・・星渡は好きになれない」
「ああそうかもしれんな。しかし我らの神のかつての仕事だ」
「・・・かもしれんが」
「予想は付くだろう」
「・・・そうかもしれないが」
「神なりに色々と考えての事だ」
「だといいが」
「安心しろ、我らの神は家族に成長して欲しいのだ」
「だからと言ってこんな事をする必要はない」
「子供の成長を願う親なのだ。分からない姉ではあるまい」
「まあな」
「恐らくこのゲームはそんな大人たちの願いを秘めて作られた計画の一旦だ。何処もかしこもゲームは1時間という鉄の法が成立している、そこに出てきた一つのゲームに釣られたのだ。美味しい餌をぶら下げて若者が食いつくためにあれこれとしてな」
「で、どうしたい」
「恐らく我らの神の考えを読む事は出来る、その真意を測る為には星に下りるのが一番だ」
「なるほど、確かにその通りかもしれないが、この騒動を放置するわけにもいくまい」
「餌には餌だ。より美味しい餌をぶら下げれば釣れる、それが星に下りる方法だ」
「なるほど、確かにその通りだな。父の教育法にも考え物だな」
「経験主義だからなあの人は」
「そちらは?」
「片割れと連れだ。自己紹介は後ほどな、それほど時間があるのか怪しいぜ」
「老人方の台詞が思い浮かぶ」
「そういうものだ。若者には苦労させろ、それが老人の楽しみだからな」
「父は老人ではないぞ」
「ああ。そう言う爺さんじゃない、この宇宙以外を知る異世界帰りだからな」
「後で連絡しろ」
「・・またな」
□
「綺麗な人ですね」
「・・・そうかもな」
「ああいう女性が好みなのですか?」
「女性?ピローテスが?まあ見て目だけの話だ。片割れも薄々気づいただろ。見た目だけでは測れない策謀が絡んでいる、それも全種族を巻き込んでの事だ」
「だから?」
「我らの神が何を考えたかはわからないが、全若者がいると睨むね」
「だから?」
「物騒な事に既になっている、既に策謀を考える者もがいる、これを利用しようとする者が居る、これを調べようとするものを嫌うだろう、あるのはPKだ」
「そうですか、よかったですね」
「友好勢力は作ってあるが、勢力拡大には時間もかかるしな、まいた種が育つまでは適当な囮でも作るかな」
「国はどうする?」
「時間稼ぎも十分だし、そろそろ回収しておこう、向かうぞ」
地球人内部での戦争の歴史から争う若者たち、スター近付くと忍者の者達が集まる。
「月光だ。挨拶はいい」
「二代、これは」
「色々と絡んでいる、それも全種族を巻き込んだ策謀のど真ん中だ」
「良い任務になりそうだ」
「ワイバーンはアイヌを」
「うーん。まあ別にいいけどね」
「気が進まんか?」
「指揮官って奴が好きじゃないんだ。やっぱり真正面から力一杯叩き潰すのが好きなんだ」
「だが頼める者もいない」
「分かったよ」
「アルト、侍共を纏めてくれ」
「面倒は他人に押し付けるのが一番だ。適当な奴に貧乏くじは押し付ける」
「すまんな」
「いい。まあ馴染みもいるしな」
二人が関係者に挨拶し、適当な奴に貧乏くじを押し付けた。
「やあルル」
「あれーもしかしてさくらちゃん?」
「うん。皆を纏めて、なんか凄い事になっているみたい」
「うーんまあ別にいいか」
アルトの方も貧乏くじを押し付けた相手に挨拶。
「何の用だ」
「そう怒るなよ」
「どうせ貧乏くじを押し付けに来たのだろ?」
「かといって他に頼める奴もいないしな」
「いつも私に押し付けるのがお前の常套手段だ」
「いつもだったか、最初に押し付けたのはお前と記憶するが」
「二番目からは全て私だ」
「まあ怒んなよ」
「刀の兄妹なのに、いつも貧乏くじを押し付ける」
「いや年齢的にはそっちが年上で、俺は弟になるのだが」
「細かい事はどうでもいい」
「細かい事か、まあいいやいつも通りに頼む」
「仕方がない」
急速に統率を取り出した日本連邦に、あちらこちらでの衝突が収まり出した。
騎士の方にも挨拶に行く、金髪の碧眼の青年はアルトを見ると忌々しそうにしていた。
「何の用だ疫病神」
「いつも通りの不幸にお裾分けさ」
「くそ、疫病神が」
「そう嫌わないでくれ、色々と有る、お前の策謀の力がいるのだ」
「ふん」
「全宇宙の種族の法律が同時の制定された」
「100%ない」
「調べたらこの予想は的中した、知りたければ竜のタスクの下に行け」
「・・・誰が」
「我ら星渡の神だ」
「レドが?」
「あの人の考えを読むためには星に渡る必要がある」
「なるほど、その為の捨て石か、見くびられたものだな」
「一族の者をそんな風には扱わない、例えお前が嫌ってもそれは変わらない」
「分かった、盟約は守る」
「感謝する」
次に向かう海の者、挨拶する。
「よう海」
「ん、空」
「ちと大変な事になった」
「ん、了解」
短く終えから別の所に挨拶に行く。
「ちーす。空の者です。」
「飛行団の者か、この茶番の回収か?」
「纏めてから適当に」
「空の者が地上に干渉するとは珍しい」
「聞けば大変な事になりますよ」
「分かった」
次の場所にも行き、薬師達の方に挨拶する。
「久方ぶりだな」
「シルト、毎度思うがね。そうやって貧乏くじを配るのは止めないか」
「色々と大変なんすよ先輩」
「・・・どうにかする」
「感謝を」
次に琉球の戦士達、挨拶から入り適当な世間話の後に適当に依頼。
「大変な事になるさー、でーじって奴?」
「相手に与える必要もない」
「了解」
全部に伝え終わり、日本連邦の者達が集まる一角に向かう。
□
色々と集まった一角、一人残らずアルトの知り合い、繋がりは要は星渡の仕事である。
それぞれが挨拶を終え、台湾とAZAも挨拶に来る、特に代表とかは毎度のように変わると説明し、星渡方式の会議なのだ。
基本的に地球の少数派なので、身内意識はある。
初代進行役を押し付けられたのは薬師達の生徒会長の悪童、押し付けた後輩を睨まずにいた出来た青年だ。
星渡の見習いのアルトより伝えられた情報、誰もが呆然とするような策謀のど真ん中にいる、仕掛け人の星渡の初代であり、遍く冒険者達の神のレド。
関わるのは全種族、世代的には十代の若者、老人方の思惑が透けて見え、大人達が喜んで許可するような内容になっていることも窺える。
つまりどうあがいても援軍はない、幸いアルトの星渡の仕事から知り合いは多く、全種族に派閥は形勢済みだ。これらは星渡派と言えるような勢力ともいえる。
エルフ達、WHO人達は基本的に地球の味方、日本に味方するかは別としても心情的には好印象だ。
今後ともイメージの強化は必要であるとも言えたが、それは別としても最低限の軍事力が渡されたことが非常に気に食わない状況と言えるアルトだ。
地球の他の勢力にくれてやる情報ではないので、侍、忍者、騎士、戦士達が激闘の真っ最中だ。
「ひとまず下りる必要がある、戦闘指揮は出来ない訳ではないが、得意ではないので他に任せ、案内担当は頼むよアルト」
「それがな、見つかっていない」
「困るよ」
「困られても困るよ」
「君らしくもない」
「まあその内分かる、彼方のバカ共は適当に無視して、さっさと移動しよう、中継地までは既に発見済みだ」
「所で、この星系は君の」
「片割れの母星だ」
「君の母星は?」
「空だ」
「せめて地球と言ってほしいよ。でもまあ、ここにいるのは全員何かしらの関りがあるから安心とは思うが、船頭を頼むよアルト」
「了解」
移動を開始する日本連邦陣営、先頭に立つのは星渡見習いのアルト、広大な宇宙ステーションの内部には重力が再現されており、標準重力内だ。
他の陣営も移動に気付き、既に追撃が始まっていた。
幾つかの種族陣営、竜人のドラゴニア、エルフ、フェザートルク、ドワーフ、マーメイド、ビースト、エレメントのアルトの友人が挨拶する、全員が星渡の見習いだ。
軽く説明し、見習いたちもやり過ぎな行いに憤慨、しかしどうせログアウトは不能、デスゲームが好きではないレドの性格からしてこれはないが、ペナルティは大きいと推測できた。
集まった情報を更に互いに提供し、これをそれぞれの種族に持ち帰る。
こうやって移動しながら情報を集めては提供し、星渡たちは仕事を行う。
集まった情報を考えるアルト、星渡の海の方の幼馴染であり既に正式な星渡のシーも協力し情報を分析、片割れと親友の作業を、姫は面白くなさそうに見ていた。
「面白くなさそうだな」
「姉さん」
話しかけたのは冥夜、凛々しい日本の若き侍だ。
「片割れと親友が作業中に自分は無役、それは確かにつまらないな」
「うん」
「前々から疑問だが、星渡を行わないのか?」
「・・・許さないのです。両親が」
「許さない?」
「うん」
「何故自分で檻を壊さない、自分の力で切り開かない空があるのか」
「ボクだってしたいけど、星の行き方なんて知らないし」
「本当にお前を他の星に行かせないつもりか、さてさてこれは不味い」
「どういう意味?」
「両親はお前を信じていない、何かを疑う何かがあった」
「ボクは」
「もしくは両親がお前だけは手放したくない、あるいは兄を引き留める枷だな」
「・・・翼のあるボクは枷?ボクを檻に閉じ込めるのが、教育なの?」
「難しい所だあるべき場所、即ち鞘だ。彼奴は空が飛べたらずっと飛ぶからな、それは決して避けられない、回避できない兄の切望だ」
「分からない」
「だが、何故このゲームを許可したか、その謎はどこかにある」
「翼があるのボクは飛べない、翼がないのに飛びたいシルト、変です。逆なら良かったのに」
「お前の役目が兄に回るだけだぞ?」
「・・・分からないです」
「分からないのなら、星に下りるしかない、あの思わせぶりなGMの台詞、この策謀を無事に打ち勝つのなら、自らの翼を信じよ」
「うん」
アルトに比べ、遥かに幼い姫、義兄弟の片割れではあるが、ここまで似ない家族も珍しい。
「複雑な家庭の事知っているが、打ち明けないのか?」
「ダメ」
「何故だ?お前の大切なモノではないのか」
「シルトの負担だけにはなりたくない」
難しいモノが有るらしい、アルトが好きで好きでたまらないが、血の分けた家族の半分であり片割れ、時間を共にしたいが負担にはなりたくない、この義兄弟の半分は辛い時期でもあり、なにが薬なのかもわからない。
欲望に生きるタイプでもない、自由気ままに生きる性格でもない、ただ唯一半分の為に生きる、半分との時間が欲しい、それだけを切望して生きている。
この少女が両親が好きになれない理由もここにある、唯一の半分だけがこの少女の初期からの味方だ。
何故この二人の内、この半分の中でアルトを選んだのかはよくわからないが、ある意味納得のいく理由もあるのだが、この少女は反発すること間違いなしだ。
「姉さん」
「・・・言うべきか迷うが、言うべき時期なのかもしれないな」
「シルトの事?」
「半分の事だ」
「・・・・」
「父は一人、母は二人、多いぞ?」
「知っています」
「戦で男はよく死ぬ、28年間の戦争で日本はボロボロだ。日本の侍は勇敢で有り、退く事を知らない、退けば滅びると知るからだ。常にあるの前進、唯一これのみ」
「・・・」
「異星人の血があるものが認められたのもこれが理由だ。地球全土に比べ、日本連邦は明らかに少数派で有った、琉球も、アイヌも必死に戦った、だが先に逝くのは常に男だ」
「・・・」
「結果、男は激減し、今度は女も戦場に出る、見えるべき先もなく、永遠に戦い続け、戦争に続く戦争で、あるのはガリガリに痩せた人口グラフだ。我らは滅びの中にある」
「・・・」
「プレイヤー達も解っていたから何が何でも守ろうと動いた、全てを出し切っての総力戦を28年間も続けた、世界的に見ても驚異的な数字だ。台湾やAZAも同じだ。先に逝くのは常に男、次に女、多くが戦いの中で果てた」
「・・・」
「その中で私は独身主義、一夫一婦制主義、別にいいが、現実的には不可能だ」
「・・・」
「滅ぶか滅ぶないのかの渦中の中で、理想を訴える者は確かに居た、別にそれを悪く言うつもりはないが、平和を守るためには兵がいる、戦う者が居る、皆死ぬか、それとも国を壊されるかの選択の中で、逃げる場所も無ければ戦うしかない、どこもかしこも小国と島国ばかり、碌な収穫もない、あるのは海と空、プレイヤーがいければ我らはとうに滅んだ」
「・・・」
「インドも、中国も、ロシアも死に物狂いで我らと戦った、彼らの兵も多くが死んだ。我らが殺した、我らも殺された、28年間の戦争、あるのはただひたすらの破壊、残ったのは滅びかかる大地が残った」
「・・・」
「あのインドも今の人口はたったの1億、あの中国の人口は僅かに1億、ロシアの人口は既に一千万に近い、長い戦争の中、日本連邦の純血は僅かに一千万、琉球も、アイヌももっと少ない、人口の多くが混血、そう言う時代なのだぞ」
「・・・」
「その中で独身は別にいい、多妻を認めないのも別にいい、結婚は望めない結果になり、社会的に見ても人生的に見ても辛いぞ、綺麗ごとや理想だけではどうにもならない現実を押し付けられたのが我らの世代なのだから」
「だから」
「好きな人生を思い描いてもよい時代なのだ。理想も綺麗ごとも何とか通る時代なのだ」
「・・・分からないです。何故ボクは何も知らされずに育てられたのです。分からないです」
「知ろうとしないからだ。手に入る者ではなく、手に入れる者を尊べ」
「納得できません。それば我儘です」
「若いな、こういう時代もあったのか、いやはや懐かしい」
「・・・」
「私からすれば随分と恵まれた環境だぞ?」
「納得がいきません」
「やれやれ」
「前々から疑問ですがよいですか?」
「うむ」
「相手はいますか?」
「かつてはいたな」
「振ったのですか?」
「戦死した」
「すみません」
「よくある話だ。言っただろ日本の男はよく死ぬ、琉球やアイヌの方がまだ生き残る事を考える、だから多少はマシだった、まあおかげで日本連邦との宿敵関係の国は多いな、インドや中国やロシアとの相性が最悪だ。国境では毎日のように武力衝突だからな」
「姉さんは沢山知っていますね」
「まあな。何せ私は戦後生まれではないからな、戦争の中に生きた、婚約者もその中で戦死したしな、いや懐かしい思い出だ。幼少の頃が懐かしいものだ」
「全然懐かしくないです」
「かも知れんな、何せ戦前は生まれた頃から戦場にいたからな」
「・・・・」
「ちなみに私は独身主義だ」
「理想主義者だったのですね」
「婚約者が戦死したら自然と考える様になった」
「なんか」
「ちなみに結婚しないでも子供は作れる、人工授精でな」
「・・・聞きたくなかったです」
「いや女性もついに結婚から逃れる時代になったのだ助かる話だ。しかも女は多数派だしな、助かる話だ」
「男性にとってみれば最悪の時代ですね」
「そうでもないな、ある意味そうかもしれないが、何せ日本人稀少だ。異星人もそれを知っているから獲得競争が激しい、琉球やアイヌも同じだ。種になる男は大変だぞ」
「そう言う男性を道具に考えるはいかがなものでしょうか」
「そうだな。確かに兄の事もあるし、これは失言だった」
「色々ですね本当に」
「非常にな。騎士団長も大変だそうだ」
「あの方ですか」
「ああ。非常にモテる」
「そうなのですか、理解に苦しみます」
「基本的に称号持ちはモテるからなまあ男性のみ」
「えーと女性は?」
「モテない女№1」
「・・・・」
「強過ぎる女はそれはもうモテないことモテない事、月光も大変そうだな」
「スターは確かに強いですが、ちゃんとした女性です」
「それが男に伝わらなければ何の意味もない」
「それはそうですが」
「まあゴミのような男は基本的に訓練送りだからな、女もそうだが」
「好い時代です」
「そう言う連中は訓練に合格できなければ、戦場送り出しな早死に№1」
「それはどうなのですか」
「良識派だな相変らず、安全圏な後方担当の薬師の人気も絶大だ。巫女もそうだな」
「両方とも好きではありません」
「まあな。戦場に行かない連中だしな、それはもう話が合う筈もない」
「シルトは侍です」
「無理だろうな間違いなく無理だ。一般的な女性ではどうあがいても無理だ。特に薬師や巫女では話すら無理だ。あのシルトを手に入れようとしなかった女の権力者がいないと思うか?」
「知りません」
「飛行団の長の息子、純血の日本人、笑えるほどのブランド付きだ。高級志向の女が喜ぶ様な兄だからな」
「ゴミ共が」
「今でも諦めきれない奴らなら掃いて捨てるほど居るぞ。ただ私がいるから諦める者も多いな」
「姉さんは足利ですしね」
「ああ古き時代の物だからな、色々な所から話が多いぞ、主に兄の事だが、いやはや分からぬ奴らだ」
「しかも称号持ちですしね」
「まあな基本的に侍大将だからな」
「権力志向でしたか?」
「くだらぬな、権力でしか男を振り向かせられない阿保女にでもくれてやればよい、よりゴミな男が引っ掛かる」
「気分いいです」
「そう言う環境なのだから、もう少し我儘を言ってもよいのだぞ」
「我儘は敵です」
「空の姫君は真面目だな」
「・・・」
「まあ遊ぶのこれ位にすべきかもな、家庭の事だが」
「うん」
「まあ父親は一人、母親は二人、片方に夕霧の息子が兄、美姫の娘が半分という訳だな」
「うん」
「何が不満なのだ」
「三名ともシルトとの時間を妨害する」
「ああなるほど、道理でおかしいなと思えばそういう事か」
「なんで半分との時間を妨害するのかわからないです」
「人の話を聞いていたか?」
「・・そりゃあまあ」
「やれやれ穢れを知らんな、お家の仕事をした経験は」
「・・・ないです」
「・・・それはシルトが優先されるのも頷けるな」
「・・・」
「何かと不満だけしか言わない半分と、よく出来、色々と動ける兄とではそれはもう待遇が愕然とするぐらい違うぞ」
「・・・」
「一応言っておくが、飛行団の長の息子なのだぞ兄は、お前はその半分ではないのか?」
「色々と有るのです」
「そうか?それはもう息子のみに期待が寄せられても不思議には全く思わないぞ?」
「む」
「せめて兄の補佐が出来るように慣れ、もう14だろ」
「うん。頑張る」
周りの者は内心喝采だ。
飛行団の若者たちは、やっとの事で姫がお家の仕事をやる気になったと泣いて喜ぶ。
幼い頃から仕事をしていた者でもある、このアルトを知る者は、苦労されますなと言った所だ。
姉としてもやっとの事で色々な事が分かり、信用できる者が動ける様になった。
足利のお家の仕事は基本的に侍の統括、話す事が基本、これが出来なければ何もできないのと一緒だ。
「おし。適当に駆逐するぞ」
侍大将の腰が上がり、防いでいた騎士団は交代に回る。
「適当に切り込むか?」
「多勢に無勢」
「後ろには既に回り込んではいるが、アサシンやらなんやらが妨害中だ。忍びとの闘争で理解したようだな」
「北欧は?」
「相変らず動かんよ。あちらはいつもの静観だ」
「ならば放置、相変わらずの国々だ、アフリカの方は」
「若様が何かをしているな」
「北は相変わらずの主力か」
「北米はいつも通りの喧嘩だ。有るのは物量戦の一点」
「南は」
「南米は相変わらずの及び腰、旗色が悪ければいつも通りの逃走劇だな」
「中は」
「中米ならいつも通りだ。雇われたようだが、基本的に北は好きじゃないからな」
「とすると主力の北、元気な欧州、不景気な西、仲のよろしい事だ」
「露・印・中は相変わらずの宿敵だ」
「残るは」
「オーストラリアはいつも通りの日和見、及びいつも通りの面子だ」
「冴えない連中だ。いつも通りに囲んで潰すぞ、指揮官のない連中などゴミだ」
「了解、よーし作戦決定だ」
闘争、侍の常套手段の指揮官潰し作戦、この為に指揮官の成り手は常に不足するのが地球の伝統だ。
飛行団と潜水団も待機はするが、二つの指揮する者は基本的に戦わない、そもそも地上の争いに干渉するのが得策ではないからだ。
しかし非常に珍しい事にそれぞれの指揮官が動く。
「おし、久しぶりの戦だ。うしじゃやるぞう」
「え?マジで?」
「地上に干渉するのはいくらなんでも不味いって」
「海の方も加勢するから戦うぞ」
指揮官がやる気なので、飛行団の若者たちは渋々武器を取る。
潜水団でも同じようにことが言えたが、こちらは基本的に戦闘が当たり前なのですんなり済んだ。
「得意分野の方が楽だしな、おし射撃で行こう」
武器を変える、飛行団の基本的な武器は射撃、それぞれの得意な武器を使いこう言う場合に有効な隊形を取る、所謂の密集隊形だ。
「おし、適当に撃ち方はじめ」
本当にやる気なのかは不明だが、命令に攻撃が始まり、狙撃が開始される、侍への支援の指揮官潰しだ。
海の方も槍を持って白兵戦に突入、薬師達、巫女達は戦う経験がないのでよくわかっていない、騎士団の方は指揮官の方は思案から戻り、武器を持ち替えてからの横殴りが始まった。
戦いの中、日本連邦は無勢ではあるが、毎度のような指揮官潰しに次第に組織的な闘争が不可能になっていく対レド同盟、経験が豊富な三国同盟の仲良しの国々は直ぐに撤退する、これによりあちらこちらが撤退を開始する。
残った北米、欧州、西アジアの仲良し組は抵抗するが、忍者達の攻撃により次第に指揮官が潰される。生まれた頃から訓練を受ける者達と、適当に育ってから訓練を受ける者とでは訓練の練度が違う。
「残党狩り行くぞ」
冥夜の冷酷な言葉に、副官は慣れた感じで命令を発し、いつも通りの戦いに終わる。
「じゃ突撃」
ナコルルの命令で戦士たちが進み出し、近くにいたティータも同じ様の命じ、掃討作戦に移る。
「どうする?」
「適当に潰し置きましょう、突撃」
武装探偵学園も攻勢に出る、勝敗を決した事により、鳳凰学園はいつも通りの静観を終える。
「戦争の参加する気はない」
生徒会長のいつもの方針だ。周りとしては好い点数稼ぎなのだかとは言わない。
闘争の終わり、特に冴えない日常の一部となるものだ。
「出るぞ、適当に潰せ」
「僕らは平和にしておくよ。悪趣味な戦いは好きじゃない」
「好きにしろ」
台湾の将の命令で動く、若いが列記とした将軍だ。それだけの才能か、それだけの世代が足りないかは意見の分かれ目だ。
PKされた者の回復を待ち、回収した後に移動を開始する、痛手を受けた対レド同盟の方々の少しの間の自然休戦だ。
戦いの間にあらかたの派閥は形成され、地球での闘争には不干渉という取り決めになる。
とは言っても、日本連邦とAZAは異星人受け入れ賛成派、それ以外は反対派という政治状況なので、交渉できるのは唯一の賛成派のみ、実質的に日本連邦側との協定だ。
地球という点に置いては少数派、宇宙ていう点に置いては圧倒的多数派となる。
日本連邦側からの説明は、若気の至り、若さゆえに過ち、若者の暴走等々。
異星人受け入れ反対派の方は、膨大な宇宙関係の異星人達を憎々しげに見る。
こう言う場合においては薬師や巫女は出られない、政治的な実績がないからで、主に星渡を仲介して行われる一般的な宇宙外交、技術者や祭事担当者が出てきても困るのだ。
日本連邦でも担当は侍や戦士、時々忍者、飛行団、潜水団は特に関わらない。
鳳凰学園や武装探偵学園は学園の学生なので、関わる事はまずない。
必然的に侍や戦士が外交を握り、立法議会、行政議会に強い影響が出る構図なのだ。これを面白く思わない方々が多いも頷けるが、これはどうにもならないもので惑星政治と、宇宙政治は全くの別物だ。宇宙政治の基本は惑星の死守、惑星があれば生きていけるのが基本的な考えだ。対して惑星政治は国土防衛などの国家防衛に元ずく国防、考える根本の考えが違うのだ。
エルフ達からすれば地球人同士の争いは別にいいが、あまり面白くないのが本音、これを何度も伝えるが日本連邦の足利はいつも通り回答だ。
飛行団を通して何度も改善を提案するも渋られる、WHOも同じ事、竜と竜眷族を束ねる神龍達も何度も提案するも同じ、地球の宇宙外交の基本は不介入の一点のみ。
寿命のある短命種の地球人にしては非常に頑固な態度だ。
若き侍の長は、アルトの義兄弟だ。よってアルトを動かしたいがこのアルトはとんだ曲者、幼い頃から星渡の為にどの種族の色々な事を知ってる、それをカードに動くと普通の勢力では話にならない、交友のある者達もいるがこいつらも曲者ばかり。
都合が悪くなれば忘れていたととぼけ、都合が悪ければ白きを切る、あの手この手と回避する、癖のばかりの連中が星渡という仕事の者達だ。
この為に政治家たちは、何度も煮え湯を喉から溢れるまでに飲まされた。
外交官たちも星渡だけには油断が出来ない、曲者だけしいないのがこいつらだというのが既に常識だ。
だが星渡なくして宇宙外交も成り立たないのも事実、しかしこの星渡が唯一便宜を図るのがWHO、星渡達の神の守護す星系の住人だ。
この守り神は、宇宙最古の賞金首、暴君の名前で知られる戦闘艦、サイズはいつも新鋭成長中、性能も当社比アップというふざけているような事ばかりだが、既に幾億の戦いで立証されていた。
エルフや竜ですら喧嘩を売る奴は皆無の奴だ。
そんな賞金首が珍しい事をしたのがこのゲーム、プラネットオーシャン、通称PO、全種族向けに一つの法案の提案、一つのゲームプログラムの提供だ。
暴君は有名過ぎて知らないものは皆無、幼児でも知っているような有名なお尋ね者だ。
その暴君からの提案に、宇宙外交は大混乱、確認を何度も行い、いくら調べても単なるゲームプログラム、にっちもさっちもいかない状況で、日本連邦は勇敢の行いをした。
サーバーの設置だ。この勇敢な行いに称賛の前に混乱がまた起きた。
そうやって完成したのがこのゲーム、日本では馴染みのあるVRMMO、フルダイブ機能を有したゲームプログラムだ。宇宙の基本は移動、つまり深刻な暇であった。
娯楽の提供に頭の足りない連中は喜ぶ、暴君のゲームという訳でゲーマー達は喜んでプレイしたがったが、何故か稼働しない、そして成功したのが現在。
非常に意図に満ち満ちた話なのだ。
そして宇宙的に見ても驚愕だが、この暴君は極度のゲーマーなのだ。
ゲーム好きが高じて作られたゲームという、その暴君が守る星系が初期で選択できる星系、誰だって及び腰にもなる、かといってエルフの選択肢は決してない、宇宙随一の嫌われ者達、それがエルフだ。
そんなエルフ達でも大変困った状況、何せ外交下手なエルフ達は友好的な勢力が極端に少ない、あるのは二つ、WHOと地球の賛成派だ。
さすがに反省もするし学習もする、頭の良い彼らエルフは直ぐに打開策を講じる、宇宙でもユニークな種族の地球人、その賛成派だ。
しかしかといってもエルフ達に功績を譲るような心優しい頭の極端に悪い奴らは皆無だ。
かくして日本の若き長は、大変な目に遭うという事になる。
とはいえ賛成は常に不干渉、この賛成派を脅かす反対派に温厚になれる者は皆無なのも現実、侍の長は愚痴らなかった出来た侍と言えた。
さすがに冥夜の顔色が思わしくない副官は直ぐに中断し、信頼する薬師に頼む。
その間に代理として押し付けられかけたのが二番手の忍者、しかし出来るはずもなくバトンタッチ、渡されたナコルルは慌ててティータに押し付け、分かるはずもない少年は困った末に友人に押し付けた。
その友人は賢くも直ぐに身替わりを行い、押し付けられたのがアルト。
超困っていたが、飛行団の若手№2が気を利かせ、ひとまずは茶会、巫女達に直ぐに依頼し、巫女達の長の出雲も仕方ないと言わんばかりに対応した。
さすがのアルトも胆が冷え冷え、宇宙外交のキーマンを押し付けられた。
日本連邦やAZAの幹部達は集まっての会議。
頼るべき大人も老人もいない状況で、この結果だ。
しかし彼らにも意地がある、決して投げ出さない誓いを立てて行う。
だからと言ってみ宇宙外交を知らない者が多い、誰もが辛かった。
そこにピローテス達が来る。
「いつか返せ」
「感謝」
WHO人の協力の下、秘蔵の調停マニュアルの元に学習開始。
優秀な策謀家の騎士団長も辛そうに学習していた、それ以外などは辛いというレベルにすらない、拷問と同じぐらいの効果を生む。
膨大なすべてのマニュアル暗記するしかない、頼るべき情報機器などないのだから。
音を上げなかった彼らではあるが、さすがにストレスから倒れる者が続出した。
そして頼るべきスキルもまだ選択できない為に使えない、大人や老人たちがどのような思惑かは知らない彼らではあるが、一つだけ確かな事は恨む事は確実だった。
ただ一つだけ成功があった、外交だけは勉強しようと決意するのも無理はない、いつの日かの牙をむくために彼らは努力する。
結果的に倒れなかった者は極少数派、元々頭脳で生きる様な奴らのみとなった。
普通の奴らでは無理、覚えるレベルが多過ぎる、情報機器が使えない、圧倒的な不利で、しかも官僚すらいない、殆どが軍人の若者だ。
対して使節団などはのんびりと休憩、ふつふつと灼熱がこみ上げるが、なんとか押し殺した残った者達。
一人残らず貧乏くじを押し付けられ、老人達に思いっきりハメられた、何故大人たちが許可したか、自分達に貧乏くじを引くのが嫌だったから、と推測が容易につく。
つまり宇宙外交の責任を押し付けられたのが、このゲームの参加者たちだ。
いつもいつも、老害という言葉を胸にある若者たちへの、逆襲で有った。
とある策謀家は恨みから直ぐに行動をとった、星渡たちにこの貧乏くじの話をし、協力を取り付け、恨む者達に密かに協定を提案していた。
ハメられた若者たちが獲るのは単純なものだ。密かに通じる事だ。
どこからも内容は読んだの一文のみ。
心理的には絶賛の嵐だとしてもこう言うしかないのだ。
次に回ったのがスキルを取ろうという文面、これにはどこも納得し、何せゲームの目的は簡単な物だ。星系の謎を解いて次に渡る、単純の唯一のヒント。
役に立つのが武装探偵側、これなら大変な得意分野だ。鳳凰学園も協力を申し出る、さすがに恨み所ではないレベルの顔だった。
少なくても復讐の一点で協力体制が整う。
老人達の知恵か、若者の知恵か、どちらが上回るかの知恵比べの始まりだ。
スキルについての詳しい説明があり、各種族の代表たちは詳しく聞いていた、当然だ死活問題に直結するからだ。しかしこのスキルが曲者。
単純な戦闘スキルとこれを補助する補助スキル、単純な生産スキルとこれを補助する生活スキル、魔法スキルや装飾スキルもあるが、外交系は交渉のみ、政治系はNPC言語、数多い生活スキルの知識系、つまり若者の苦手な分野がごっそりない。
一応役に立つ事務系もある、そこでアルトは提案した。
当然の原動力となったのは復讐、恨みをバッチリと晴らす気でいた。
外交も政治も行わない、単純にゲームを楽しむ事だ。これは言い換えれば交流、何の問題もない、臨時もPTも組んではいけないルールがないからだ。
ただ老人たちの頭もある、きっと何かしらの妨害を行うことは確実で有った。
その為に居た一人の老人の事を話した、沸き立つのは灼熱より熱い超新星のようなものだ。絶対の失敗を課せられた以上、徹底してこれを行う。
つまり闘争である、単純なシンプルなもの。
喧嘩を売った老人方に、若者たちは直ぐには行動を起こさなかった、まずは現状確認から入ったからだ。さすがに軍人としての経験が物を言う。
ひとまずは種族単位での活動に入る、一応地球の反対派にも知らせた。
さすがに反対派も沈黙した、まさかの宇宙外交のツケ全てを押し付けるとは予想だにしなかったらしい、トカゲの尻尾切りもまだ可愛いものだ。
そこに策謀家より報せ、全てにおいての現状維持であるこれだけを死守せよ。
殴る方も殴られる方もあれである。
老人達が司る政治の後始末を押し付けられたのがこのゲームの参加者となる。




