夢幻の数え歌
掲載日:2021/01/30
ひとつ ひとよの ひめごとを
ふたつ ふるえて ふみにかき
みっつ みじかき みちのはて
よっつ よいまち よいしぐれ
いつつ いびつな いろとよく
むっつ むげんの むつみごと
ななつ なくした なをよべば
やっつ やさしい やみのおと
ここのつ このこえ このからだ
とおで とおくへ とつげもせず
■□ ■□ 原文 ■□ ■□
一つ 一夜の 秘め事を
二つ 震えて 文に書き
三つ 短き 道の果て
四つ 宵待ち 宵時雨
五つ 歪な 色と欲
六つ 夢幻の 睦み事
七つ 失くした 名を呼べば
八つ 優しい 闇の音
九つ この声 この体
十で 遠くへ 嫁げもせず
■□ ■□ 意訳 ■□ ■□
たった一夜の秘め事だったけれど
震える手で書き残した
二人で歩いた短い道の果てには
祝福するかのように宵待ちの月が照らしてくれた……かと思えば、あっという間に時雨に隠されてしまった
所詮はいびつな色と欲の関係
あんなに求めあった睦み事も夢か幻か
姿を消したあいつの名を呼べば
うすら優しい闇の音しか聞こえてこない
あの人に捧げてしまったこの声とこの体
もう、どこへも嫁ぐことはできない




