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Another Eden Online  作者: 平民のひろろさん
2ー2 テストの終わりに
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第百九十五話:二十七日目

 別のプレイヤーからの依頼で一日中装備を作って休んでして納品した翌日。

 この日は、なんだか朝からそわそわしていた。

 なにか、よくないことが起こりそうな予感がして、普段よりさらに早く目が覚めてしまった。

 微妙な悪夢を見てしまった後のような、少しの動悸と疲れた感覚。

 明け方の薄闇の中、体を起こして呼吸を整える。

 動悸はすぐに治まったけれども、嫌な予感は治まってはくれず。

 なんだか心細くなってしまって、ヤタ(僕の妖精さん)を呼んで、胸に抱く。

 ようやく落ち着いたのは、いつもの起きる時間。

 寝汗を流してから厨房に行って、ライラさんやリラさんと一緒に朝ごはんを作り、ミナトにトールくん、ステラ、リンドくんにちびっ子たちと一緒にごはんを食べる。

 食べてる最中も僕は浮かない顔をしていたのか、トールくんに声をかけられた。


「ミコト、どうかしたのかい? なんだか元気がないよ?」


 問われて、うーん、とうなる。

 感覚的なことをどう言葉にすればいいのか悩んでいると、思ったこと、感じたことをそのまま言ってごらん。と言われたので、感じたことをそのまま伝える。


「……うん。……なんだか、今日はね、嫌な感じするんだ。…………なんだか、よくないことが起こりそうな、そんな予感がするんだよ」


『……ふむ。虫の知らせ、というやつかもしれんな』


 僕の言葉を聞いたヤタが、少し納得した感じで言う。

 感受性の高い人は、何かが、災いが起きることを事前に察知する場合があるのだと。

 神に祈りを捧げる神官などは、神の声を聞いたと表現したりするのだとか。


「いつもと違うなにかがあって、みんなが傷ついたりするのは嫌だから、今日は《北の街》に薬草を届けるのは中止にしよう。みんな、ここ(拠点)にいてね」


 今日のお出かけ(薬草の売却)は中止と宣言して不満が出ると思いきや、ちびっ子たちはしょうがないねって雰囲気。


 あれー? と首をかしげると、その理由をミナトが教えてくれる。


「ミコトがそんな神妙な顔してるから、ちびっ子たちも迷惑かけちゃいけないと思ったんだろ」


「あや、僕、そんな顔してたんだ」


「しているぞ、今も」


 そう指摘するステラも、心配そうな表情。


「なにか起きたときにすぐ動けるように、今日は体を休めておこうよ」


 不安な気持ちを拭い去ることができない僕を安心させるように、トールくんが頭を撫でてくれた。


 午前は《拠点》を巡って、家畜……家畜? や作物の様子を見て回り、昼ごはんをみんなで作って食べて、片付けをしたらみんなでお昼寝して。

 午後は思い思いに過ごして、日も傾き、そろそろ晩ごはんの支度をしようかという頃。




 …………ぞくっ、と、悪寒がした。




 なにかがくる。よくないことが起きる。

 そんな直感に従い、ヤタに声をかけようとしたその時。




《緊急クエスト:異界の悪魔》


 全プレイヤーに対し、緊急のクエストを発行。

 異界の地からの侵略者たる《黒》の上級悪魔が顕現した。

 上級悪魔ともなれば、竜すら屠る。

 今まさに、世界の危機が訪れた。

 世界を蝕む邪悪を討滅してほしい。


・依頼者:???

・対象:炎の上級悪魔(グレーターデーモン): 《黒》 の討伐。

・報酬:参加報酬白金貨10枚 + 討伐報酬。

・制限時間:なし。討たねば国の一つは容易く滅びる。

・補足事項:敵は《北の街》の北に位置する《朽ちた地下遺跡群》への街道沿いに出現した。

 なぜそのような、なにもない場所に出現したのか。どこへ行きなにを成すのか、敵の狙いが分からない。精鋭で対応してほしい。

・特記事項:報酬は、参加したプレイヤー全員に配布される。



 ステータスウインドウが勝手に開いて、緊急のクエストを告げてくる。


「ヤタ!」


『骨ども! 鬼ども! 出番だぞ! 腕に覚えのあるものどもは集まれ!』


 ヤタの号令で、ゴスケさんやぐれ太をはじめ、強い力を持った子たちが集まる。

 コボルトのジョンとメグも駆けつけるけれども、


『犬ども、お前らはダメだ』


『なぜですワン!』


『一緒に戦いますワン!』


『お前らは、ここでチビどもを守れ。(かたわ)らに寄り添って励ますのは、人の言葉を話せるお前らにしかできない』


 2匹がちびっ子たちと仲が良いことと、言葉を話せるのは大きいようで、ちびっ子たちに寄り添って安心させる係を言いつけられていた。


 集まったのは、僕、ミナト、トールくん、ステラ、リンドくんの戦える5人と、ゴスケさんたちやぐれ太、レーヴェをはじめとした、強い力を持った仲間たちが40以上。

 みんなそろえば、どんな敵だって負けないといえるくらいの自慢の仲間たちだ。


「いくよ、みんな。ヤタ、お願い」


『任された』


 号令をかけて気合を入れ、ヤタ(僕の妖精さん)にお願いして敵の待つ場所へと転移する。


 一瞬の浮遊感の後、広い平地に来た僕らは、まずは周囲を見渡す。

 背の低い草花に覆われている草原の正面には、道といえるかはちょっと微妙な、草がまばらに生えている程度の草原の切れ目が続き、その先には、かろうじて視認できる距離に、頭に2本のねじれた角を生やしコウモリのような翼を持つ人型の存在が……悪魔がいた。



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― 新着の感想 ―
 お~、今回は導入ですか。  しかし、参加者全員となると、ここに駆けつけただけの人ももらえるのかなぁ。
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