第十七話:大好きな甘味を求めて
食材の種類を増やしたい!
果物食べたい!
できれば、ハチミツみたいな甘味も欲しい!
さて、三日目。
朝御飯もちゃんと食べて、昼ごはん用に麦飯でおにぎりもたくさん作っておいたし、今日の予定を決める段階。
ヤタがいうには、チュートリアルは終わったから、あとは好きにすればいいとのこと。
「と、いうわけで、あっちの森に行こうと思う」
果物の木とかハチミツとか探したいって言ったら、ヤタもジョンもメグも反対しないので、できれば今日中に果物を見つけたいところ。
ただ……。
「……徒歩、半日……」
ヤタが示した周辺マップから計算した結果、西の森にたどり着くまでに徒歩で半日かかるそう。
それも、権限が拡張されたから周辺マップも広くなったし距離の計算もできたそうで、初日に森を目指していたら……うん、歩いても歩いても一向に森に着かないと、途方に暮れていたかもしれない。
でも、今なら。
「行こう。それともヤタ、反対する理由はある?」
『ねーな』
「じゃ、行こうか。《付与・速度、体力、活力》」
『まあ、そう来るだろうな』
ワイバーンの素材から作り出したブーツのおかげか、走る速度は昨日よりさらに速くなった気がする。
ジョンとメグが先を警戒しながら走るので、安心して全速力を出せる。
……で、休みなく走ること一時間。
目の前には、見渡す限りの森、森、森。
背の高い木々は、いったい何十メートルあるんだろうね?
森の中は、遠く見通すことの出来ない暗さ。
けれど、不思議と低い位置に枝は生えてないみたい。
高く高く育つ木々の間隔は意外に広く、太い幹を見上げれば、高い位置で枝葉を広げていて、日の光を遮っていた。
「……うーん、暗いね。ヤタ?」
『おう、こういうのはガイド妖精の得意分野だぜ。《フェアリーライト》』
森の暗さにちょっとびびっていると、ヤタがすぐに複数の明かりを灯してくれる。
『森の中でも、ボクたちの鼻と耳はしっかりと働きますワン』
『お守りしますワン』
ジョンとメグも、頼もしいセリフを可愛く言ってくれた。
スキル《洗浄》で汗を流して、軽食と十分な水分をとって、森では扱い辛い薙刀と弓を、小太刀と短刀に変更。これで、準備は万全。
「……よし、行こうか」
森に立ち入れば、今までの草原とはまた違う匂い。
腐葉土の匂い、なのかな?
なんか、少し落ち着く気がする。
「うーんと、えいっ!」
小太刀をゆっくりと抜いて、目の前の木へ横一閃。
すると、刀身の長さよりも太い木も、あっさりと傾いていく。
「収納!」
周囲の枝をバキバキと折り大きな音を立てて倒れていく巨大な木も、一瞬で消えてしまった。
うん、アイテムボックスへの収納は、大きさは関係ないね。
『おま、おいミコト! いきなり何やってんだよ!!』
「なにって、見ての通りだよ? 木を斬り倒して木材確保、切り株を目印にして迷子対策、ワイバーンの素材から作った刀の性能テストにアイテムボックスの限界の確認。一石三鳥にも四鳥にもなるじゃない?」
ふんすと胸を張ってみれば、ヤタが頭を抱えていた。
あれー?
『ここは既に魔物の領域なんだが……。そんな場所で、これほどでかい音を立てたら……』
『ご主人さま、何か近付いて来ますワン』
『この臭い……おそらくゴブリンが複数……五匹ほど来ますワン』
「うん。ジョン、メグ、やるよ?」
仮に五匹でも、五対三。僕が三匹受け持てばいい。
そう考えていた。しかし、現実は……。
『《ウインドアロー》』
『一つ!二つ!』
『三つ!これで終わりだワン!』
……僕の出番は……?
ヤタの魔法による先制攻撃に、ジョンが剣を二度振り、メグが急ブレーキをかけた一匹と背を向けた最後の一匹の首を飛ばし、あっという間に戦闘終了。
僕の出番なんてどこにもなかった。
『おいミコト、ガイド妖精がいれば道に迷うことなんかない。木材が欲しいなら、オレが良いのを見繕ってやる。お前は、付与が切れないように早めに掛け直せ。それだけやってりゃいい』
『モンスターが近付いて来たら、またボクたちが見つけますワン』
『ワタシたちがご主人さまをお守りしますワン』
……うん、頼もしいよ……。そして、ヤタ? 戦えたんだね? 知らなかったよ……。
そして、ヤタやジョンやメグが倒すと、ドロップ品に変わったりしないんだね。
……ところでこれ、自分で解体しなきゃならないの……?
・装備変更
頭:天女のリボン
胸:天女の襦袢 (インナー)
腰:巫女の緋袴 → 天女の緋袴
腕:飛竜の弓掛 (左右非対称)
脚:飛竜のロングブーツ&天女のソックス (セット)
外套:巫女の白衣 → 天女の白衣
その他1:火伏せ猪のお守り
その他2:絵馬 (無病息災)
その他3:天女の下着(上下セット)
メイン: 飛竜牙の薙刀 → 飛竜爪の小太刀
サブ: 飛竜骨の弓 → 飛竜牙の短刀




