第200話 ノルン様「今日は送ってくれないのかな……?」
俺達は空いているテーブルにつき、ノーラさんを待つ。
「本当に賑わってますね」
ジュリアさんが周りをキョロキョロと見渡しながらつぶやいた。
周囲では家族連れにカップル、他に男性の集まりに女性の集まりと多くの人が笑顔で話しをしながら飲食を楽しんでいる。
客層から見ても冒険者ギルドの子が言ってたような大丈夫な客層だろう。
「こういうのも良いよね。空も綺麗だし」
見上げると、大きな月が見える。
「ですね。それに都会って感じがします」
確かにねー。
「私はちょっと居心地が悪いけどね」
大人しいタマヒメ様はあまり好みじゃないらしい。
「陰の者には辛かろう」
「誰が陰キャよ……いや、陰キャか……」
まあ、陽の者ではないことは確かだ。
「俺達もどちらかというとそっち側ですよ。でも、たまには良いじゃないですか」
「まあ、あんたらも大人しい側の人間か」
「陽の者はディーネさんみたいな人でしょう」
アイドルやってるし。
俺達が話をしていると、ノーラさんがこちらにやってくるのが見えた。
「おすすめなやつを適当に注文してきたわよ」
「ありがとうございます」
「どうぞ、どうぞ」
ジュリアさんが座るように勧めると、ノーラさんがジュリアさんの隣に座る。
「ふぅ……ここに来るのも久しぶりな気がするわ」
ノーラさんは一息つくと、周りを見渡しながら感慨深くつぶやいた。
「あまり来ないって言ってましたね。飲まないからですか?」
「いや、確かにお酒も人気だけど、普通の飲食店としても美味しいのよ。よく教会の食事会とかでも利用するわ。ただ、普段はどうしても簡単な食事で済ませてしまうのよね。研究に熱中しすぎて気が付いたら朝方ってこともあるし」
えー……
「大丈夫ですか?」
「周りから止められるわね」
そりゃそうだろ。
「身体が第一ですよ。俺も昔は夜遅くまで働くような職場にいましたが、親に送ってもらった地元の食べ物を食べて涙が出たこともありましたよ」
「……あなた、かなり苦労してるのね」
それも昔の話だ。
それにそれ以上に親が死んだ時は泣いた。
「今じゃないですよ? 今はそこそこ働いて、家族でまったりと過ごしています。ノーラさんもディーネさんを見習って、抜く時は抜きましょう」
今ならわかるが、それこそが幸せなんだと思う。
実際、ディーネさんっていつも楽しそうだもん。
サラさんだってちゃんと息抜きしている。
「それもそうね……とても重たいアドバイスをありがとう」
「いえいえ」
俺達が話をしていると、ウェイトレスが料理と飲み物を持ってくる。
料理は肉料理が中心であり、大皿に乗ったローストビーフみたいなものや骨付き肉だ。
飲み物は俺とジュリアさんは青っぽいお酒でサクヤ様とタマヒメ様は透明のお酒であり、ノーラさんはお茶のようだ。
「何の肉ですかね?」
「さあ?」
ジュリアさんと首を傾げる。
「まあ、美味そうじゃし、食べてみるか」
「そうね」
サクヤ様とタマヒメ様がローストビーフらしきものに箸を伸ばしたので俺とジュリアさんは骨付きに手を伸ばした。
「漫画肉ではないですけど、美味しそうですね」
「だね」
骨付き肉を口に入れてみる。
すると、思っていたより柔らかく、簡単に噛み切ることができた。
そして、コショウかニンニクかはわからないが、パンチの利いたスパイスがガツンとくる味わいだった。
「ふふっ、美味っ……」
思わず笑みがこぼれるくらいに美味しかった。
「ええ……すごく美味しいです」
ジュリアさんも笑顔だ。
「美味いのう」
「さっぱりしていくらでも食べられそうね」
神様方も満足そうにローストビーフらしきものを食べている。
「サクヤ様、タマヒメ様、この骨付き肉、ヤバいっすよ」
「ほーん、こっちも美味いぞ。食ってみい」
「ジュリアも食べてみなさいよ。すごいわよ」
俺とジュリアさんは神様方に勧められたのでローストビーフらしきものを食べる。
「あー、うん、美味しいね」
「こちらはあっさりですね。でも、すごく美味しいです」
タマヒメ様が言うようにいくらでも食べられそうな気する。
というか、箸が止まらなくなるやつだ。
「こっちの肉も美味いの」
「うん、お酒と合う」
神様方も骨付き肉を食べて、満面の笑みだ。
「お口に合ったのなら良かったわ。この町はこういう肉料理が豊富だから是非とも楽しんでちょうだい」
ノーラさんが笑顔でお茶を飲む。
「すごいですね。このスパイスが肉にすごく合います」
「でしょ? こういうのが観光客で人気になってどんどんとお店が増えていったからこの歓楽街ができたの。まあ、それと同時に奥にも何かできたけどね」
それはしゃーない。
健康的な男子としては否定できない。
もっとも、俺は行かないけどね。
行く必要がないのだ(ドヤァ)
俺達はその後も肉料理を食べ、お酒を飲んでいく。
「いやー、お酒も美味しいね」
柑橘系のカクテルか何かだと思うが、あっさりとしていて飲みやすい。
「ですね。しかし、本当にディーネさんが好きそうな町ですよね」
うん。
「ディーネさんとかサラさんってこの町に来たことがあるんですよね?」
ノーラさんに聞く。
「ええ。1回だけね。巫女ってその地にいるだけでなく、たまに巡礼するの。当然、各地の聖都に行くわけよ。サラはもっとスパイスをかけた方が良いって言ってたわ。ディーネは朝までここにいた」
うーん、サラさんとディーネさんらしいな。
「来週くらいに2人を誘ってみる?」
「良いと思います。ノーラさんもどうです?」
ジュリアさんがノーラさんを誘う。
「あー、そうね……確かに久しぶりにあの2人に会いたいかも……シルフィには悪いけどね」
風の巫女様か。
でも、風の国に行ったことがないから誘うのは無理だ。
しかし、4人の巫女様が揃ったらノルン様が降臨するんじゃなかったっけ?
「では、誘ってみますね。それとですけど、来週辺りに歴史の話を聞かせてもらえませんか? 他にも遺跡のこととか気になることが多いです」
「私も気になります」
ジュリアさんも頷く。
「それはいつでもいいわよ。ぜひ、教会にいらっしゃい」
「ありがとうございます」
「楽しみですね」
ねー?
しかも、来週も3連休だ。
すごいね。
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