第157話 私は神ぞ?
翌日の月曜からまた仕事が始まる。
もう高校を卒業してから干支が一回りするくらいに働いているが、いまだに月曜というのは慣れない。
というか、年々、平日と休日の差がすごいと思ってきだしたところに今は異世界で楽しんでいるからもっとすごくなっている。
とはいえ、働かなければならないのが社会人であり、当主である。
俺は自分にそう言い聞かせ、仕事をしていった。
まあ、繁忙期でもないし、普通に定時で帰れるため、楽なもんだ。
家に帰ればジュリアさんとご飯を食べ、借りた本を読んだり、一緒にゲームをしたりする。
そういういつもの1週間だが、木曜日は有休を使い、午後から休んだ。
理由は木曜が8月1日であり、新居を借りれる日だからだ。
会社から直接、不動産屋に行き、鍵をもらうと、家に帰り、サクヤ様とタマヒメ様と合流する。
そして、車で新居に向かい、中に入った。
「おー、結構、広いじゃないか」
「良いところねー」
サクヤ様とタマヒメ様がまだ何も置かれていない部屋を見渡す。
「テレビはここですか?」
家でゲームをしていたはずのノルン様がいつの間にか現れ、部屋の窓際を指差した。
「ええ。そこですね。ほら、そこに置けば、キッチンから見えるでしょ」
「確かに……ふむ、良い部屋ですね。あっちがあなたとジュリアの寝室ですか?」
ノルン様が今度は隣の部屋を指差す。
「そうですね。夜にゲームをする時も俺達はあっちでしますからノルン様はこちらでできますよ」
「なるほど、なるほど。わかりました。新居祝いに最新のゲーム機をプレゼントしましょう」
「ありがとうございます!」
ノルン様がやりたいだけだろ……
まあ、おこぼれをもらってるからいいけどさ。
「これから引っ越しに向けて動くわけ?」
タマヒメ様が聞いてくる。
「ええ、新たに買うものを買っておきますし、掃除をしながら荷物を運びます。お手伝い、よろしくお願いします」
「任せておいて!」
「転移ですぐじゃからのう」
本当に便利だし、ありがたい。
「ありがとうございます。じゃあ、帰りましょうか」
そう言うと、ノルン様とタマヒメ様がシュンッと即座に消えた。
「帰ろうかの」
「別にいいんですけど、一緒に帰る気はないんですね」
「あやつらはあの冷却石のせいで家から出る気がなくなっておるの」
確かに快適だけどね。
なお、寝る時はジュリアさんに譲っている。
「早くもう1つの冷却石が欲しいですね」
魔石の売却はまだかな?
「まあの。ところで、新たに買うものってなんじゃ?」
「ベッドですね」
「あ、なるほど……」
俺達は部屋を出て、車に乗り込むと、家に戻った。
そして、夕方になると、仕事を終えたジュリアさんと合流し、2つもらった鍵のうちの一つを渡す。
「部屋はどうでした?」
ジュリアさんも内見の時に見ているはずだが、聞いてくる。
「やっぱり良かったよ。3神の方々も良かったってさ」
「おー、私ももう一回見たいですね」
気持ちはすごくわかる。
「私の転移でいつでも連れていってあげるわよ」
「あ、そうでしたね。ちょっと見に行ってもいいですか?」
「いいわよ」
タマヒメ様とジュリアさんが転移で消えていった。
「ジュリアも楽しそうじゃの」
「良いことですよ」
その後、戻ってきたジュリアさんと引っ越しの計画なんかを話し合っていった。
翌日の金曜日はこの日も仕事を頑張り、火の国の方の別荘に泊まる。
そして、翌日の土曜日になると、午前中は家のことをしていき、午後になると、サクヤ様に浴衣を着付けていく。
「サイズがぴったりですね」
昔見たままだ。
非常に可愛らしい。
「我は別に成長もしないし、老けもしないからの。ちなみに、太ることもない」
羨ましい。
「さすがですね。神様はいつまでも可愛らしくてすごいです」
「ん? 呼びましたか?」
「ノルン様はいつもお美しいですね」
神様はなんでこんなに自己主張が強いんだろう?
「知ってます。ところで、あなた方は土の国や風の国には行かないのですか?」
ん?
「いや、優先的に行こうと思っていますよ。今滞在している魔導帝国も図書館には定期的に通うと思いますが、魔石を売って、買うものを買ったら用は済みますからね」
あそこは避暑地ではなく、買い物をするところだ。
「ふむふむ、次はどちらに?」
「地理的に次は土の国かなーっと思っています」
どちらも微妙に遠いが、まだ土の国の方が近いのだ。
「土の国ですね。わかりました」
まーた、巫女様に何か言うんだろうか?
「あのー、そんなに別荘はいりませんよ?」
「それは知りません。巫女同士の意地ですので」
ディーネさんもサラさんに対抗した節があるもんなー。
「土の国って砂漠ですっけ?」
「そうですね。オアシスの近くにある国です。夜が綺麗と評判です」
へー……
「ハルト、スマホが鳴っておるぞ」
「えーっと……」
ジュリアさんからメールが届いており、【準備ができたのでそちらに行ってもいいですか?】とあったんので【いいよー】と返した。
すると、すぐにジュリアさんとタマヒメ様が転移してくる。
「おー……可愛いね」
ジュリアさんは水色の浴衣を着ており、髪を巻いていた。
非常に可愛いし、ジュリアという名前とは思えないほどに日本の女性って感じがした。
「ありがとうございます」
ジュリアさんが照れながらも礼を言う。
「タマヒメ様も可愛らしいですよ」
タマヒメ様も赤い浴衣を着ており、非常に可愛らしい。
なんでウチと浅井が争っているかわかる気がした。
「私はどうでもいいわよ。あんたはジュリアを褒めるのが仕事よ」
もう褒めたよ。
それにタマヒメ様やサクヤ様への可愛いとジュリアさんへの可愛いは意味合いが異なるのだ。
「ジュリアさんは和服が似合うね」
「そうですかね?」
ジュリアさんがえへへと照れる。
「前も和服だったじゃない?」
見合いの時。
「あれは暑かったですね」
でしょうね。
「今日は大丈夫?」
「はい。昔はよく着ていましたし、慣れてますので。それにあの時みたいに緊張もありませんし、大丈夫です。花火と屋台が楽しみです」
屋台でかき氷くらいしか食べたことないって言ってたもんな。
「じゃあ、ちょっと早いけど、行ってみようか」
「はい」
ジュリアさんが頷く。
「りんご飴じゃ!」
「焼きそば!」
「私のタコ焼きとブルーハワイを忘れないように……チッ、こののるん様を悪魔の子って言うな……殺すぞ、この髭……」
俺、唐揚げを食べよ!
いつもお読み頂き、ありがとうございます。
早いところではもう書店に並んでいるかもしれませんが、いよいよ明日が本作の1巻の発売日となります。
改稿、加筆も頑張りましたし、ぜひとも手に取って頂ければと思います。
また、電子は0時から読めます。
よろしくお願いします!




