第142話 有能な人だわ
ディーネさんが帰っていったので俺達も家に戻り、家のことをし終えると、新居のことを相談していく。
そして、楽しかった3連休も終わり、仕事が始まった。
3連休が楽しかった分、辛いが、今週は4日でいいんだと言い聞かせ、頑張っていく。
また、直属の上司である部長には結婚することを伝え、『おめでとう』と『これからは家族のために頑張れ』というありがたいお言葉を頂いた。
1週間が4日だと早いものですぐに金曜日になり、仕事を終えた後にジュリアさんと合流し、水の国の方の別荘に泊まる。
やはり完全週休三日制を早く導入すべきだと思う。
「ハルトさん、会社には結婚することを伝えました?」
いつものようにソファーでゆっくりしていると、ジュリアさんが聞いてくる。
「部長には伝えた。その後、社長に呼び出されたから社長にも伝えたかな。他の人は結婚した後に伝える予定。ジュリアさんは?」
「私もですね。ただまあ、もう全員知っています」
あらら。
「噂になった感じ?」
「というよりも最初からお見合いしてお付き合いしている方がいるって言ってましたし、まあ、ウチの会社は父と繋がりがある会社なので」
そういやそんなこと言ってたな。
あー……深くは突っ込まないけど、多分、この前のゴルフに参加してそうだ。
そして、あんまり言いたくないけど、ウチの社長に話をした時に『浅井先生のお嬢さんか?』って聞かれた。
「何とも言えないけど、問題がなさそうなら良かった」
ちょっと思ってたのは入社して半年の子が結婚っていうのがどうかなと……
突っかかる人は突っかかるし。
「大丈夫ですよ」
この様子なら最初から結婚することも踏まえての採用だろうな。
まあ、寿退社するわけじゃないからいいのか。
俺達はその後も話をしながらゆっくりと過ごしていき、就寝した。
翌日、休日という気持ちのいい朝を迎えると、朝食を食べ、準備をする。
そして、例によって人が多いところを嫌がるタマヒメ様はお留守番し、サクヤ様とジュリアさんの3人でフロック王国の王都に飛んだ。
「懐かしいのう」
「そうですね」
「帰ってきた感がありますよね」
俺達は人がいない裏道から大通りに出ると、ひと月ぶりの王都の街並みを見渡す。
「さて、まずはギルドか?」
サクヤ様が聞いてくる。
「ええ。魚を渡してしまいましょう」
「では、冒険者ギルドじゃな。行こう」
俺達はちょっと懐かしい街並みを歩いていき、冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドにやってくると、そこそこの人がいたものの、相変わらず、ネイトさんのところが空いていたのでそちらに向かう。
「こんにちはー」
「これはハルト様、お久しぶりです。水の国からお戻りになられたのですね」
この人が今のところ、一番礼儀正しい人だわ。
「ええ。水の国は良かったですよ」
「この時期は人気ですからね。それで向こうから連絡があったのですが、魚の配達の仕事を受けられたとか……」
「ええ。持ってきましたよ」
そう言うと、サクヤ様がカウンターに魔法のカバンを置く。
「ありがとうございます。確認いたしますので少々お待ちください」
ネイトさんはカバンを持って、奥に行った。
「やはり配達の仕事は楽ちんでぼろ儲けじゃの」
「ですねー」
そのまま待っていると、ネイトさんが戻ってくる。
「確かに確認できました。依頼達成でございます。それでは依頼料の金貨30枚になります」
ネイトさんがカウンターに金貨を置いたので受け取った。
「ありがとうございます。実は俺達、今度は魔導帝国に行こうと思っているんですよ」
「魔導帝国ですか……確かにハルト様達は魔法使いでいらっしゃいますし、良いと思います」
「それで同じように配達の仕事ってありますかね?」
「ふーむ……結論から言いますと当ギルドではありませんね」
んー?
「ないんですか?」
「ハルト様は魔導帝国が魔法使いが作った魔法使いのための国というのは御存じでしょうか?」
「ええ。大体は……魔法使いなら一度は行った方が良いと勧められたんです」
両巫女様に。
「それは間違いないでしょう。ですが、冒険者というのは基本的には魔法が使えない者が大半です。もちろん、ハルト様達のように魔法ギルドと兼務している方もいらっしゃいます」
「あー、魔法が使えない人は行かない方が良さそうな感じはしますね」
「実際、行かない方が良いです。そして、ここで大事になるのは当ギルドに所属している魔法使いというのは基本的にパーティーを組んでおります。魔法使いは傾向的に接近戦が弱いというのがありますので」
確かにそのイメージはある。
ゲームだと基本パーティーは前衛の勇者、戦士と後衛の僧侶、魔法使いだし。
まあ、実際はウチのジュリアさんみたいな魔法使いもいるけどさ。
「パーティーでは行かないっすね……水の国の魔法ギルドで友人と縁が切れた話を聞きました」
「そういうことです。まず冒険者が行かない町があそこなのです。行っても魔道具を買いに行く程度ですぐに帰ります。そして、そんな国ですので冒険者ギルドを置く意味がないのです」
あー、わかった。
「配達の仕事がないのはそれでですか……」
「はい。そもそも配達先がありません。たとえ配達しても依頼料を受け取るところがないのです」
「それもそうですね。でも、配達がないと困りません?」
「もちろんです。ですので、配達の仕事も含め、そういう仕事はすべて魔法ギルドの方に任せているのです。当ギルドでは配達の仕事がないと言ったのはそういう意味です」
なるほどね。
「じゃあ、魔導帝国では冒険者ギルドにある仕事も全部、魔法ギルドってことですか?」
「そうなります。そのせいで魔導帝国には魔法ギルドの数が多いです。御存知か分かりませんが、魔導帝国というのは俗称であり、正確にはマジク市国と言います」
市国……
「小さいんです?」
「領土はこの国の十分の一もないです。というか、1つの都市とその周辺のわずかな土地しか所有しておりません。そのため、食料をはじめ、ほとんどのものを輸入に頼っていますね。そして、魔道具を輸出しているのです」
ほー……
「その都市は大きいんです?」
「大きいですね。そして、別世界です。あそこは世界中の魔法や魔道具が集まってますからね。詳しくは魔法ギルドで聞いた方がいいでしょう」
ネイトさんも十分に詳しかったけどな。
この人、すごいわー。
「わかりました。では、魔法ギルドの方に行ってみます」
「それがよろしいかと思います。お気をつけて」
「ありがとうございます。では」
ネイトさんから良い話を聞けたので冒険者ギルドを出た。
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