米独反帝協定
――1940年5月10日朝、ロンドン、ダウニング 10
「独軍がオランダ、ベルギーに航空攻撃を行っています。独は日に対し、米は英仏に対し中立を表明しています。同時に米独が反帝協定を発表、民主主義国が結集して君主制国家と戦うのだそうです」
「戦争は西向きにしかできないというルールにでもなったのかね」
「日には早期に対独宣戦布告してもらいたいものですな」
「いずれにせよ計画通りベルギーに遠征軍を派遣しダイレ川に防衛線を用意する」
――1940年5月13日、テレビ
「独の大部隊が、ベルギー南部、アルデンヌを通過し、部隊が仏のセダンに侵入しました。この事態をうけ、本日、帝国は対独宣戦布告を行いました。米、独がいうところの反帝協定は反帝国主義の名をかたり、白人至上主義を貫こうとするものです。独のアーリア人優越主義については、繰り返す必要はないでしょうが、米も白人による支配を貫いているのです。インディアンや黒人に市民権をあたえるとはいったものの、税金徴兵の対象とするだけのことで、多くの州で投票権は与えられていません。日は白人至上主義の広がりを防ぐため、英仏と協力して戦います」
――1940年5月13日、参謀本部
「コディアック南方で米潜水艦の活動が高まっています。コディアックの攻撃機が何隻か撃沈したところ、大爆発を起こした艦がありました。少しでもアラスカにガソリンや弾薬を補給し、アラスカに滞留しているB17を利用しようというこころみでしょう」
「カナダが中立を守ってくれているのはありがたい。別になにかするわけでもない対独宣戦布告ぐらいで、カナダの中立が買えれば十分。これで多少なりとも英米の亀裂が深まり米が大西洋の部隊を自由に動かせなくなれば大儲けだ」
「英が独軍後方への上陸作戦の可能性を問い合わせてきました」
「あんな数百km幅に100個師団単位で動いているところで何をどうしろと。数個師団陸揚げしたところで補給部隊に蹂躙されかねんぞ。多少は協力するが、こちらはこちらでできることをやる」
――1940年6月2日、ロンドン、ダウニング 10
「輸送艦が活躍し、我がベルギー派遣軍、仏軍の多く40万近くを引き揚げさせることができました」
「よろしい。仏はもう持たん。英仏部隊の引き揚げをすすめよう」
――1940年6月12日4時半、コディアック 曇
「南方300kmに小型機200機。時速400kmで接近中」
「戦闘機隊100機全力出撃」
「敵艦上爆撃機80機程度突入してきます」
「急降下開始を待って射撃開始」
「ハリボテ軍艦を狙っています」
「撃て」
――同日、参謀本部
「攻撃部隊に対し潜水艦が雷撃を敢行、空母2隻中破」
「撃破戦闘機20機。艦上爆撃機80機。我が方の損害戦闘機10機、うち6機は搭乗員無事脱出しました」
「もらった鉄で10cmと40mmを量産し、山岳に配置したかいがありましたな」
「艦載機が増え、速度が上がっているのは問題だが、これで夏はやり過ごせるかもしれん」
――1940年8月16日、ロンドン、ダウニング 10
「日からゴムや石油で購入したレーダーと10cm対空砲により、沿岸部や戦闘機基地で独急降下爆撃機をほぼ無力化できました。本土防空戦の勝利は動かないでしょう」
「すばらしい」
――1940年9月23日、サンフランシスコ沖合
「甲標的帰投。金門橋、爆薬設置完了です」
「潜航し退避する」
「爆発音、重量物の水中突入確認」
――1940年9月30日、参謀本部
「米大西洋艦隊が太平洋への移動を開始しています」
「すばらしい」
――1940年10月20日、ファンデフカ海峡潜水艦
「敵大型艦10隻、ピュージェットサウンドに向かいます」
「雷撃開始」
「命中3」
――1940年10月25日、参謀本部
「最良のタイミングで決戦になりそうですな」




