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第18話『寝取られ男と数カ月ぶりの故郷』

「ジョン〜〜!!帰ってくるなら言ってよー!」


 村の門をくぐってから早速、一番聞きたくない声が聞こえた。



 自分でもわかるくらい首がギシギシ軋むような音を立てながらその方向に視線をやると、第三者から見たら絶世の美少女であるものの俺からしたら人生を崩壊させてくる悪魔――――エリーゼがいた。



「あ、ぁ。え、エリーゼ。ご、ごめん。少し休暇をもらってな」

 あんまり言葉は交わしたくないのだが、ここで言葉を返さないと俺がこいつを無視してるようになる。



 確かにこいつとは可能な限り関わりたくないが、それとこれとは話が別だ。ある程度の距離を保ってなおかつこいつと深く関わらずにいる……それが最良なのだ。




「そっか!!………って、その横の子は誰?あの辺境伯家のお姫様じゃないみたいだけど」


「ん?あぁ、それが道中で急に野盗から襲われたから助けたのさ。どっかの貴族の人みたいで」


 と、言い切る前にエリーゼがとんでもない速度で俺に近づいてきた。鬼気迫る表情……まさか俺を殺すつもりか!?



「ジョン、怪我はしてない?どこも?傷ついてない?」

 くそ、やっぱりか。

この野郎、俺の傷口に毒でも塗りたくろうとしてやがるな!



 だが、俺は乗らないぞ。

それに実際に傷ついてなんかいない。残念だったな!



「いや、傷はないよ。それより、村長か衛兵局にこの人を案内してくれないか?俺はちょっと家に戻るから……」


「よかった……怪我はしてないのね。それと―――わかった。お嬢様、こちらへ。ご案内致します」



 やはり外部と関わることの多い村長の娘ということもあり、礼儀作法が見事なもんだと思うエリーゼの振る舞い。まぁ、だからといって微塵もあいつをどうとは思わないんだが――少しは俺もあぁいうふうにスマートにやりたいもんだ。















「お、ジョン!帰ってきてたのかい!」

 家に向かうために広場を横切っていると、今度は俺がこころなしか待ち望んでいた……というより家に行ったあとに会う予定だったヤツの声が聞こえる!



「ボーグ、元気にしてたか!」


「勿論だよ!ちゃんとこの通りピンピンさ。なんだよ、帰ってくるのは手紙くらい寄越してくれたらよかったのに」


 いつから掛けたのか分からない丸眼鏡は初めてだ。

だがしかし、こいつのファッションともいえる脇に抱えた頭の良さそうな分厚い本!完全にボーグだ。



「いや、それが唐突でさ。……って、その丸眼鏡はどうしたんだ?前は掛けてなかったろ」


「ん?あぁ、これか。舶来品らしくてね、父さんが出張から帰ってきた時に買ってきてくれたのさ」


 あぁ、そういやボーグの父親はいわゆる商会員だった。


 というのも、クローバー村自体には小さな店はある。しかし、殆どの生活必需品やらを販売する一般の行商人とかは商会所属だったりするのだ。正式な所属ではないが、しかし商会の範囲内ならどこでも来るのが行商人。



 クローバー村はクローヴィス城に程近いということもあり、近々商会の店舗を建てようという話になってるのだ。

 


 経営者はクローバー村に来ていた行商人……まぁ、いわゆる契約店舗ってやつだ。商会のブランドを借りて自分の店を経営する……最近ではよくある感じだな。



 そして、その商会の正社員で契約店舗の店主になる行商人を指導したり商会との繋がりになるのがボーグの父親みたいな商会員ってわけだ。



「ま、立ち話はなんだしさ。とりあえず河原に来てくれないかい?実は良いものができてね」

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