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プロローグ『寝取られ男は重大事項を思い出す』

 竜教会。

精霊ではなく、竜を信仰する者たち。



 このサンシア地方の土着宗教と言えば、精霊教と呼ばれることも多い。実際、聖地サンシアが地方東部の山中にあるから。



 今でこそ宗教は変わったものの帝国は元々精霊教……というより古精霊教を信仰していた。

 


 だが後に建国から300年経ったあたりでより洗練されて当時の時勢に合った精霊教が広まった結果、精霊暦という暦が使われ始める。


 

 なら、帝国建国以前は?

実は古精霊暦というのも便宜上としてつけられてるだけで、実際はその時代……帝国が建国される以前のサンシアには無数の国家が建国されては争っていた。



 エルフ、ドワーフ、ウェルシア人、サーシア人、獣人。

今はまったく見なくなったが、巨人や竜といった物も堂々闊歩していたと聞く。


 

 そして、そんな中で古精霊教と竜教会と呼ばれる者たちが地方の中で宗教対立していた。

 


 まぁ歴史から分かるとおり、古精霊教が竜教会に勝利。結果的には古精霊教を信仰する帝国がサンシアを統一するわけだが。

 

 

 では、竜教会は消えたのか?

そんな訳はない。むしろ、彼らは今も水面下でひっそりと信仰や活動を続けている。



 精霊教からは忌み嫌われ、サンシアではタブーとされる者たち。そんな彼らのことをなぜここで話しているのか?



   








 時は巡って精霊暦791年10月4日。

俺ことジョンが11歳になった年だ。




 あれから山賊の襲撃も退けたし勉強と訓練の毎日をしておけば良いかと思っていた矢先。





 幸か不幸か俺はとんでもない事を思い出してしまった。

793年の3月。南にあるストレリチア公領を中心に竜教会の大反乱が起きるということ。




 ストレリチア公領を中心、というだけでシャムロック辺境伯領なんかにも余裕で奴さんたちは来る。




 完全に山賊のせいで失念していたが、前世では村の1/3を焼かれる大損害を食らった挙げ句に一時期はクローバー村を竜教会に占領されたのだ。



 まぁ当時の俺は馬鹿だったしあんま理解はできてなかったが、山賊に比べたらマシとは言えど脅威なのは変わらない。なんとかして止めたいのは事実だ。

 



 すぐに辺境伯軍から解放されたとは言え、早めの山賊襲撃で前世より疲れてるこの村が竜教会に攻撃されたらどうなるか……前世よりひどくなる可能性だってある。



 いくら山賊以下の被害とはいえ、本当になんで今の今まで忘れてたのか。


 

 山賊を退けたせいで考えが緩みすぎてたのではないか?と言わんばかりの失態だ。もし思い出せなければゾッとしてた。








(だけど、どうすりゃいいんだ。虱潰しにいろんなところを回って竜教会を探せと?まだ戦闘力的にも未熟な俺が?)

 



 山賊撃退後の第二波を止めようにも、連中は数百年も隠れ潜んできたステルスのプロ。付け焼き刃で見つけられるわけがない。




 しかも俺に至っては確かに山賊撃退後も一通り訓練は続けてきたが、やれてるのは基礎訓練と剣だけだ。



 だけど、これではフルパワーを出すことができない。

俺は元々色々な武器を使って自分の才能の無さを補ってたので、一つの武器程度じゃどうにもならいのだ。


 ましてや生前便利武器として多用してた銃の類はこのへんにはめったにない。未だに地方の猟師はクロスボウを使うんだからな。



 第一として他の武器を買う金もない。

辺境伯から山賊撃退の報酬として貰った金は家に全部入れたし。


 第一見つけられたとして、フルパワー出せない俺なんてただのカモだろう。







「どうしたもんかなぁ……」


 堅い麦わらのベッドに座りながらため息を吐く。

冒険者にでもなって稼いで準備するか?でもそれを母さんたちが許すだろうか?



 冒険者なんて言ってしまえばゴロツキだ。

まともな人生送って欲しいなら普通は止める。親を悲しませてまでやりたくはないな。



 そう悩んでいると、コンコンと家のドアに音が響いた。

父さん母さんは今日領都に行ってるのでいない。村の人達は知ってるはず。


 なら誰だろうか?

そう思って扉を開けると。




「あっ、先生!よかった、おられたんですね!」

 金髪にくりくりの碧眼の人形のようなお嬢さん。

率先して村を守りに来た恩人でもあり、俺の生徒のヴィクトリアがそこにいた。

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