最後に愛は……
吉田さんとデートした後日、俺は瑠美とリビングでカノン先輩のライブ配信を見ていた。
《今日はコラボということですが、ゲストはお馴染みのマリモですの》
《よろしく〜♪》
【マリモたん久しぶりー!!】
【この二人が揃うと胸がアツい】
【あれから大丈夫だったの?】
【結局どうなったん?】
《おほん……まず先日のことですが、具体的に何とは言いませんけれども皆様には大変お世話になりました。私どもの事情に付き合わせたことをお詫びすると共に、今一度お礼を申し上げますの。本当にどうもありがとうございました》
【いいってことよ】
【良いもの見れたから許します】
【美しい愛情を見たよ】
あれから何やかんやあったものの、カノン先輩は未だにマリ先輩と同居を続けている。お互いの気持ちを確かめ合った二人は悩んだ末、不義理を働くことはできないと事務所に辞める意思を伝えたそうだが、偉い人達が協議した結果、今辞めると逆に事務所のイメージが悪化する可能性があることや、既に世間に認知されて受け入れていることなどから、黙認する方針が決定した。
それによって事務所の恋愛禁止令は事実上取り下げられ、他のvtuberに関しても開けっ広げでない限り交際許可が降りることになった。
てか、何でこうなった?
何で先輩たち付き合うことになってんの……?
分からない。でも幸せならOKです。
《それでカノンちゃん、今日のテーマは? 私、まだ何も聞かされてないんだけど?》
《今日のテーマは……これですわ!》
<<<ホワイトデー企画!!>>>
【このノリどっかで見たな】
【思い出される微笑ましい展開】
【あれは萌えたな】
【そして燃え上がった。】
《余計なことまで思い出さなくていいんですの!!》
《カノンちゃん、どーどー》
《ぜー……はー……》
【あやしかたww】
【馬で草】
【馬系美少女】
【そんなゲームあったな……】
【↑やめなさい。】
《今日は日頃お世話になった人たちに感謝を伝えたくてこの企画を考えましたの。今年はいろんな方々にお世話になりましたし、いっぱい感謝を伝えたいですわ》
【お嬢様……】
【大人になられて……】
【まさか俺たちに感謝を伝えてくれるとは】
【おじさん達、感無量です。】
《ではまず最初に感謝を伝えたい方は、この企画の背景を作って下さった運営スタッフのYさんですわ》
《あぁ! この背景描いてくれたのYさんだったんだ!》
《えぇ。何でも最近、新しいタブレットを買って筆がのっているそうですわ。可愛らしいイラストをいつもありがとうございます♪》
【は?】
【誰やYって】
【まずは俺らからやないんか?】
【……燃やすか。】
【あー、これは炎上案件】
《やめて下さいましぃいいッッ!?》
【速攻で草】
【もう炎上恐怖症になってる】
【恐怖に怯えるお嬢様可愛い】
【そしてもっと虐めたくなる。】
【me too.】
【↑通報しました。】
【海外ニキ……w】
【日本語理解し始めてて草】
何はともあれ心温まる企画……かな?
そしてカノン先輩はマリ先輩にどんな感謝を伝えるんだろう、それが一番気になる。




