おしおき合戦
正座を崩さない俺達の後ろでホノカが現場の指揮を取る。
《さぁ! どんどん送って〜!》
【よしキタァ!】
【全お兄ちゃん出動!!】
【お嬢様、お許し下さい……】
「ヤメロお前らぁああああ!」
《DEATHわぁぁあああ〜!?》
【ホノカさんテンションMAX】
【やり返し感が凄いww】
《フッフッフッ……ユウのせいで一体どれだけ酷い目に遭って来たことか。今がその恨みを晴らす時よ! 絶対に滅茶苦茶恥ずかしいお仕置きを選んでやるんだから!!》
《アナタ日頃どんだけ恨み買ってるんですの!?》
「くっ……覚えてろよ、ホノカ」
お願い助けて、俺のファン。
今頼れるのは君達だけなんだよ!
【ユウ早くざまぁされろ】
【羞恥に染まるお嬢様の顔が見たい】
きさまらぁああああ……っ!!
《……決めた! 今回の命令はコレ!!!》
<< 命令:2人別々に罰ゲームを考えさせて、より恥ずかしかった方が勝ち。敗者は勝者の考えた罰ゲームを食らう >>
《な、何て悪趣味な!?》
「性格最悪じゃねえかっ!!!」
【クッソwww】
【完全にサイコパス】
【提案者やべーやつで草】
【マジで普段どんなこと考えてんの……?】
《ふ。命令は命令よ! さぁふたりとも! お互いに与える罰ゲームを考えなさい!!》
「クソ……まさかこんな事になるなんて」
《私は巻き添えではありませんの!?》
画面にタイピング用の余白が表示される。
ここに書き込めと言うことか。
【やべえ面白くなってきた】
【自分たちの罰ゲーム考えさせられるの草】
この命令の最悪な点は、罰を回避しようとすればするほど相手を陥れる事になる所だ。
相手を思いやってショボい罰ゲームを考えれば裏切られるかもしれないと疑心暗鬼になり、ヤバめの案を考えざるを得なくなる。
「せ、先輩、提案がある」
《え、ええ……分かってますの。流石に冗談ですまないような罰は考えませんわ》
【おいズルすんなし】
【つまんねぞ】
ふっ!
相手と結託すれば恐るるにたらず!
これこそがこの罰ゲームの攻略法だ!!
《ちょっと〜、反則はなしよ? それじゃ、二人同時にオープン♪》
<カノン>
【"ごめんなさい、ホノカ様"と謝る】
<ユウ>
【"ごめんなさい、お兄ちゃん♡"と謝る】
【普通じゃね?】
【ショボい……】
【こんなのお兄ちゃんは許さんぞ!!】
<<< 結果発表!!! >>>
<<<夜来ユウWIN!!!>>>
《なっ!》
「ふぅ〜……悪く思うなよ、先輩」
《……チッ》
ちょ、ホノカさん?
いま舌打ちしなかった?
【ホノカさん?】
【お怒りかな】
《カノン先輩、提案があります……》
《な、何ですの?》
《今から三本勝負にするのはいかがです?》
《え、本当ですの?》
「オイ! そんなのありかぁああ!?!?」
【ありありーーーー!!!】
【賛成ーーー!!】
【YES!!!!】
《あら、みんなも賛成みたい♡ なら仕方ないわよね〜〜♡》
「……ホノカ、ぶっ壊れてね?」
《怖いよぅ》
《さぁ! 2回戦目行くわよ!!!》
「ちくしょう! 覚えてやがれ!」
<ユウ>
【3回まわって"わん"と言う】
<カノン>
【3回まわって"あん♡"と言う】
<<< 結果発表!!! >>>
<<<二条院カノンWIN!!!>>>
「何だと!?」
《ふ〜、これでドローですわ》
【これはお約束】
【次ので決まるな】
【ショボいやつ考えるなよ?】
「カ、カノン先輩……?」
《わ、分かってますわ……お互いにやりすぎた罰ゲームは……》
《さぁ! 泣いても笑ってもこれで最後!》
オープン!!
掛け声と共に現れた命令は……?
<カノン>
【ルルミさんに踏まれながら腕立て伏せ】
<ユウ>
【マリモ先輩にくすぐられる。その時は犬の鳴き声と"お兄ちゃん"しか言ってはいけない】
「なっ……先輩、裏切ったな!?」
《あ、あなたこそですわ!?》
【ドラマを垣間見たw】
【人間心理で草】
【罪深い生き物よのう〜】
<<< 結果発表!!! >>>
<<<夜来ユウWIN!!!>>>
<<<二条院カノン、罰ゲーム!!>>>
……あっ、勝った。
《そ、そんな……てマリモ? 何で両手をワキワキさせながら近づいて来るんですの?》
《……ごめんなさい、カノン先輩》
「罰ゲームは罰ゲームだからしゃあない」
「すまん先輩……じゃ、そういうことで」
《え? ……や、やめなさいマリモ、冗談でしょ、ァハハハハハッッ!?》
【おー珍しい】
【カノンお嬢様の悶える声や】
《ちょ、ちょっとシャレにならなぁあああああ〜〜〜ッッ♡ やらぁあああッ……!!》
【やべえまたセンシティブ食らう】
【"お兄ちゃん"て言え】
【犬の鳴き声! 犬の鳴き声!】
《お、お兄ちゃんっ……♡ ワンッ!! ワン!! ワン!! ワ……わぁんんッ!? あぁん!! あぁッ……!? あぁあッ♡ アァァ〜〜〜ンンンッッ!?………♡♡♡》
【あっ】
【駄目みたい……】
【センシティブ不可避。】
《なっ、先輩たち落ち着いて!?!?》
《やめっ……やめなさい、マリモ!? もう止まっ……アァンッ!? お兄…………ちゃんッッ♡》
「……終わったな」
「またセンシティブ!?」
いつになったら解除されんの?
俺まだ運営に許されてないんだよ……!?
「のぉおおおおおん!!!」
《アぁぁああああンッ!!!……♡》
◇◇◇
その夜、俺の元へ2件の通知が届いた。
一件は吉田さんから。
もう一件は、マリ先輩からだった。




