【65】体育祭編⑨ 〜勝利の夕焼け、そして─温泉へ〜
体育祭が終わった校庭には、赤く色づいた夕陽が差し込んでいた。
遠くで撤収作業をする教師たちの声が響き、生徒たちも徐々に散り始めていく。
そんな中──
「アーシス!ほら、こっちこっち!」
「一緒に写真撮ろうよ〜!!」
「にゃんぴんちゃんも入って〜!!」
勝利の興奮冷めやらぬAチームの生徒たちが、アーシスたちを囲んでいた。
みんな、最高の笑顔だった。
アーシスも、シルティも、マルミィも、アップルも。
肩を組み、笑い合いながら、カメラの前でポーズを取る。
「にゃふ〜、もっと可愛く撮るにゃ〜!」
にゃんぴんもちゃっかり、アーシスの肩の上でピースしている。
──カシャ。
夕陽の中、一枚の写真が撮られた。
それはきっと、彼らにとって一生忘れられない一枚になるだろう。
◇ ◇ ◇
少し離れた場所では、2年生たちが談笑していた。
「ったく、やられちまったな〜」
「でもまぁ、あの一年どもなら……安心して任せられそうだな」
「すぐ追い越されちまうかもな、俺たちもまだまだ負けてらんねーな」
ガイラ=ジンクスはにやりと笑い、拳を軽く鳴らした。
◇ ◇ ◇
アーシスたちは、芝生の上に並んで座り、空を見上げていた。
「……終わったなぁ」
アーシスがぽつりと呟く。
「うん……楽しかった……」
マルミィが小さく笑う。
「いやぁ〜、勝ったら温泉リゾート宿泊券だって!?ヤバくない!?」
アップルが興奮気味に騒ぎ、ゴロンと芝生に寝転がる。
「ふん……これで、ようやく骨休めできるな」
シルティはそっぽを向きながらも、どこかうれしそうだった。
アーシスは、目を細めて空を見た。
真っ赤な夕焼け。 どこまでも続く広い空。
(──すごい戦いだったな…)
濃密に過ぎ去った一日を改めて振り返り、自分自身の成長にたしかな手応えを感じていた。
「よしっ」
アーシスは立ち上がった。
「じゃあさっそく、温泉リゾートに行く準備するか!」
みんなが「おー!!」と手を挙げる。
「温泉だー!露天風呂だー!旅館飯だー!」
「マルミィも一緒に行こうね〜!」
「し、シルティちゃんも……もちろん、行くよね?」
「……当たり前だろ、バカ」
──こうして。
彼らの、冒険と青春の物語は、またひとつ新しい章へと進んでいく。
──そして次回、「温泉リゾート編」開幕!!!
(体育祭編、完)




