表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ライラと『私』の物語【完結】  作者: GiGi
最終部 第六章
627/642

決戦[crescendo] 15 —最終形態—







「——マッケマッケ。セレス嬢を連れ、後方待機箇所へ。彼女の治療に当たってくれ。莉奈はエリスを連れ、先行して『炎』の戦場へ。マルテディ、私たちも行くぞ」


 復活した通信魔法で手早く指示を出したグリムは駆け出した。



 残すは新たに現れた『炎』の天使像と、本丸である『女神像』のみ。


 そして、六体の天使像を倒したことにより、『女神像』は実体化しているはずだ。



(……さあ、あの強大な敵を、どうやって打ち崩すか……)



 多くの命を失った。だが彼らのおかげで、エリスとジョヴェディ、メルコレディとマルテディという強力な手札を残したまま、ここまで辿り着けた。



 魔素は、満ちた。ファウスティのおかげで防御面の不安も最小限になっている。現状で懸念すべきは、『炎の天使像』の進化といったところか。



「……ドメーニカ、耐えてくれ。あと、少しだけ——」



 グリムのつぶやきは風に乗り、荒野を吹き抜けた。







 ——いまや極寒に包まれた、『炎』の戦場。



「——『空を飛ぶ魔法』」


 ジョヴェディの言の葉が紡がれると、彼の身体は宙へと浮かび上がった。


「……クク……どうやら魔素は、充分に満ちたようじゃのう」


 結界の外は、猛烈な吹雪。抗いの炎が燻るのが見えるが、天使像の動きが封じられているのは傍目にも明らかだった。


 そう。『時止め』を彷彿とさせるメルコレディの力によって、天使像の時間の流れは完全に制御されていた。



 エリスを連れ『空間跳躍』をしてきたリナが、ジョヴェディの隣に降り立つ。


「ただいま、ジョヴ爺。あとはアイツだけだよ」


 その姿を見たジョヴェディは、頬を緩ませて鼻を鳴らした。


「フン。燕にエリスよ、無事で何よりじゃ。さて、青髪よ。やってもよいか?」


『——ああ、待つ理由もない。ジョヴェディとエリス、キミたち二人の魔法を合わせてまずは天使像を排除してくれ』


 通信で返答を受けたジョヴェディとエリスは、目を合わせて頷いた。


「——承知。エリス、もう少し近づくぞい。ファウスティよ、前進してくれ」


「ああ、了解した」


 ファウスティの守りの結界に包まれながら、その場にいる皆は前進を始めた。



 長かった。



 多くの犠牲を払いながら、ここまで辿り着いた。



 『炎の天使像』は無力化、女神像の『大厄災』も、ファウスティの防御によって防ぐことができる。



 ジョヴェディとエリスは、詠唱をしながら進み続ける。後退の動きを見せる『炎の天使像』。



 ただ、天使像の後ろには『女神像』がそびえ立っている。どこにも逃げ場は、ない。



 迫り来る敵を認め、天使像は歪に微笑み、炎の竜巻に乗って上空へと逃げようとした。



 だが。



 ——トスッ



 —— 斬



 レザリアの一矢が、リナの斬撃が、天使像を地に落とす。


 リナはレザリアの元へと跳躍した。


「ありがと、レザリア。待ってたよ」


「ふふ、どういたしまして。リナは私が、守りますゆえ」



 地に落ちた天使像。二人の魔術師の言の葉は、紡ぎ終わっている。


 ジョヴェディとエリスは、天使像へと杖を向けた。



「——『爆ぜる……』」


「——『空間を……』」




 異変が、起きた。



 地に落ちたはずの天使像の姿は、炎となって女神像に吸い込まれていった。



 詠唱を止め、状況を見るジョヴェディとエリス。




 直後——




 ——『女神像』の身体は、大きく燃え上がった。







 高台の上からその様子を見る誠司は、呻く。



「……なんだ、あれは……」



 突如として、『女神像』は炎に包まれた。



 ——いや、炎を纏った、といった表現の方が正確だろうか。



 そして、眼下には戦場全体を覆う炎の渦。セレスの治療を始めようとしていたライラも、その光景を見て不安な声を漏らす。


「……お父さん……」


「……莉奈……エリス……」



 終焉の炎は、渦巻き始めた。







 ファウスティの守りの結界内。


 マルテディとグリムを連れたリナが、ドサッと転がり込んだ。


「……ふう、間に合った……」


 ——異変を感じ取ったリナは、すぐに行動に移した。


 まずはレザリアを結界内へと運び入れる。そして意識を飛ばし、石英の防御で炎を防いでいたマルテディとグリムを見つけ、ここへと連れてきたのだ。


 リナは冷や汗を拭いながら意識を飛ばして、改めて状況を確認した。


「……うん、高台の上は無事。でも、戦場全体が炎に包まれている。グリム、どうする? 時間掛かるけど、みんなをあっちに移動させる?」


「……そうだね。『女神像』の近くに陣取っている今、メルコレディの力しだいでどちらが最善か判断する。少し待って——」



 その時、



 皆の脳裏に『女神像』の顔が映し出された。



「ファウスティ!」



「ああ!」



 ——直後、『色彩』が、戦場を覆い尽くす——




 ——『大厄災』だ。








第六章「決戦[crescendo]」完。


終章「ライラと私の物語」に続きます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ついにラストかあ… 作品タイトルが章タイトルになるの最終回感がありますね 感慨深い
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ